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リモートワークの世界を滑らかに

リモートワークがウイルスという目に見えない敵のせいで俄然脚光を浴びることになってしまいましたね。

自分は Evernote という会社で長年新しい働き方を提唱し、また実践してきました。また、類は友を呼ぶといいますか、自分の周りにもそういう働き方を日頃から実践している人が多くて、今さら?という感じもなきにしもあらずです。

元同僚の Yukari Majima さんが以下の記事を書いていて、私は「完全に普段使いのリモートワークですね」とコメントしました。

一方、今自分が仕事をしている人たちは意外と昭和な働き方をしている人が多く、お互いのプロトコルが合っていないな、というのを実感します。

そこで、リモートワークを普段からしている人たちと、これまであまり関わってこなかった人たちが、いかにスムーズに仕事を進めていくかについてまとめておきたいと思います。

と書いたところで、なんとなくそういうのを昔書いたことがあるような気がする…、と思って調べたら、やっぱり書いていました。

4 年以上前に書いた記事ですが、今読んでもまったく古い感じがしないのがすごいです…。当然ながら若干 Evernote 推しになっていますので(笑)、改めて基本をまとめてみます。

基本はこれまでの働き方と同じである

いきなり逆説的な見出しですが、「新しい働き方」とは、今までにないとんでもなく素晴らしい方法があるのではなく、仕事のやり方を少し変えるということです。

こんな例を考えてみましょう。

水曜 10 時の定例チームミーティングを終え自席に戻ったあなたは、金曜日にクライアントに提出しなくてはならない報告書の作成を始めました。その中で使うあるデータが欲しいのですが、あなたはそれを持っていません。隣の部署の鈴木さんが持っているはずなので、聞いてみよう、と思い、席を立って鈴木さんのデスクのほうを見てみます。でも鈴木さんは席にいません。「席外しかな、あとでまた見てみよう」と、また別の仕事を始めます。

ランチ時間に「そうだ、鈴木さんに聞かなきゃ」ということを思い出し、席をチェックしてみましたが、また席にはいないようです。周りの人もいないので、ランチに行ってしまったのかもしれません。ポストイットに「XXのデータを今日中に欲しいのですが、お願いできますか?」というメッセージと部署名、名前を書いて鈴木さんのモニタに貼っておきました。また、念のため同じ内容をメールしておきました。

そろそろ 6 時を周り、周りの席の人が帰宅し始めました。そんな時に思い出しました、「そうだ、鈴木さんの件、忘れてた…。メールの返事もなかったな…。」またデスクをチェックしたのですが、鈴木さんは席にいません。そうか、もう今日は帰ってしまったのか、仕方ない、明日頼もう…。」

note を使っているような方にはこんなゆったりとした働き方をしている人はいないかもしれませんが(笑)、今でもこれに近い働き方をしている人は少なくありません。

そもそも、鈴木さんは本当にこの日出社していたのか?それさえわかりません。もしかしたら長期休暇中なのかもしれません。

なぜリモートワークが難しいと思われるのか?

そもそも、人はなぜ「オフィス」に集まって仕事をしているのでしょうか?様々な理由があるとは思いますが、おそらく一番大きいのは「そのほうが効率がいいから」ではないでしょうか。上記の例のように、隣の部署の人とすぐに話したいときに、近くに座っているほど便利なことはありません。

要は「チームワーク」が効率的にできるか、が大きいのです。リモートワークを成功させるためには、「同じ場所にいないチームメンバーと、いかに上手にチームワークができるか」が鍵になると言えます。

スケジュールを共有する

まず重要なのは、スケジュールを共有することです。これまでのオフィスであれば、それぞれの部署の連絡用のホワイトボードがあって、そこに「XX直行」「有休」「外出」「YY直帰」「○月X日〜△月◆日休暇」などと記入しておく、などというルールがあるのではないでしょうか。

オフィスに全員がいるとは限らない環境では、オフィスのホワイトボードはチーム全員のスケジュール共有ツールとしては不十分になります。そこで必要になるのがオンラインの共有カレンダーです。Outlook や Google カレンダーをすでに活用している方も多いと思いますが、共有の設定はきちんとされているでしょうか?

カレンダーは自分の予定を管理するものと考えがちですが、チームで働く環境の中では、チームに自分は何をしているのか、どこにいるのか、を知らせる重要な伝達手段です。ミーティングの申請も「水曜日で空いている時間はありますか?」などというメールをやりとりして時間を決めるのではなく、初めからカレンダーで空いている時間はミーティングを入れていい、というルールを決めておくほうが効率的です。

そのためには、きちんとカレンダーを最新情報にアップデートすることが重要です。プライベートな事項であったり、新製品関連の活動などで機密情報が関係する活動内容については、周りの人には「予定あり」とだけ表示される機能もあります。

チャットツールを活用する

デスクに鈴木さんがいるかを目視で確認するのと同様のことが、チャットツールでも可能です。Slack、Microsoft Teams、Skype などのチャットツールには、「ステータス」の機能があります。在席中、離席中、会議中など、必要に応じてステータスを更新しておくと、「この人在席中のはずなのに、連絡が返ってこないな」と相手をイライラさせることを減らせるでしょう。

また、仕事でチャットツールを使うときは「仕事」の話をすることがほとんどになってしまいがちですが、チャットは本来「雑談」という意味。オフィスで同僚とするちょっとした雑談も情報交換の場、そして重要なチームの潤滑油であるように、チャットツールは仕事の気分転換やチームメンバー同士の結びつきを深めるためにも活用したいものです。

なお、上の記事にも書いたように、メールとチャットの使い分けは会社によっても、人によっても、大きく感覚が違うところです。気持ちよく仕事を進めるためには、一緒に働く人たちの間でこの使い分けのルールを決めておくとよいと思います。例えば、緊急の順序でいくと、電話→チャット→メール、正式な依頼はメール、チャットはそのフォローで使う、など。

不要なミーティングを見直し、ビデオ会議を活用

参加しているメンバーのほとんどがパソコンを開いて、ミーティング内容と関係ない仕事をしている…、そんなミーティングに参加したことはありませんか?リモートワークが広がるとビデオ会議や電話会議を使用することになりますが、この環境ですとますます参加者が「実際には何をしているのか」が見えない状況になります。

そもそも、ミーティングは複数の人の時間を使うという、コスト的にはとても効率が悪い時間。それだけに、目的をはっきりさせ、本当に必要な人だけを招待し、できるだけ短い時間に済ませることが重要です。この機会に、ミーティングそのものの必要性、参加者や時間の最適化を検討してみてはいかがでしょうか。

また、ビデオ会議ができるのであれば、できるだけカメラをオンにすることをおすすめします。ちらかった家を見せたくない、パジャマのまま参加したいのでカメラはオンにしたくないといった人もいると思いますが、アイスブレイクのネタにはもってこいです(笑)。

ちなみに Google ハングアウト、Skype、BlueJeans、HighFive などなど、これまで様々なビデオ会議ツールを使ってきましたが、自分的には Zoom が一番いいように思います。無料版でもそこそこ使えます。

最終的には人と人のつながり

仕事は一人でできるものではありません。普段から「チームワーク」を意識しておけば、お互い気持ちよく仕事を進めることができます。

いくつかのツールを紹介しましたが、ツールはあくまでもツール。「チームメンバーに、どういう情報を、そしてどうやって共有したらみんなの仕事がやりやすくなるか?」そして「オフィスにいないチームメンバーがいるかもしれない」ということを常に念頭に置いておけば、きっと今まで以上に快適な仕事環境が実現できるはずです。


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