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時代が求める『本質』とはいったい何か?

今年もあと10日で終わろうとしています。
振り返ると、COVID‐19感染拡大の収束が見えないままに、2月に発生したロシアによるウクライナ侵攻、さらにそこから派生する様々な問題に象徴されるような「日常化した想定外」に翻弄される一年でした。
そして、それに呼応するかのように、多くの企業の中では似たような人材育成課題にも遭遇しています。
それは、「物事の本質が見極められる人材を育てたい」というものです。

「物事の本質を見極められる人材」と聞くと、聞こえはいいですが、興味深いことに「念のため、お聞かせいただきのですが、本質というのはどういう意味として捉えていらっしゃいますか?」と質問させていただくと、ほとんどの方が閉口されてしまうのです。

「本質」の定義

そこで、私なりにこの「本質」の定義について思考してみたところ、たどり
着いた定義が、「ある対象領域内において、反論の余地が乏しく、思考を展
開する上での強い前提となって、幅広い批判に耐えうる、より普遍的な要素、ないしは原理原則」というものです。

私たちの多くは問題解決を行う際に、演繹法、あるいは帰納法を用いて思考
しますが、そうした思考を進めていく上での大前提となりうるくらいに覆し
がたいものが、そのテーマにおける「本質」と言えるのだと思います。

もっと雑駁に言えば多くの人が「言われてみればそれはそうだ」と同意して
しまう格言めいた前提といえるかもしれません。

環境の変化が激しいからこそ、根拠のない思い込みにはまり込むのでもなく、場当たり的な対応に終始するのでもないというスタンスが重要です。

本質は突き詰められていればいるほど、様々な角度からの批判思考に耐えう
る強度を持っており、考える土台になりえます。そして、普遍性がある故に
環境変化にも耐えうる思考につながります。

本質を突き詰める力を養う、とは?

では、本質を突き詰める力を養うために求められることは何でしょうか?
それは「なぜ〇〇でなくてはならないのか」と自らに問うWhy must思考を
徹底することです。

多くの人が困難に直面した時「どうすればそれを解決できるか」を考えがち
です。このHow思考は一見ダイレクトに解決策を導くように見えるものの実
際は「そもそも論」に弱く、いとも簡単に土台が崩されてしまうことは少な
くありません。つまり環境変化が激しければ激しいほど計画の見直しを余儀
なくされるのです。

VUCAの時代は、私たちに前進する必要性を迫りながらも、自分たちの能力
が全く追いついていないという無力さの両方を突きつけ、私たちを翻弄し
続けていくでしょう。

普段からWhy must思考の筋力を鍛え、本質を見抜ける力を養っておくこ
とは、時代の荒波を乗り越えていく上でもとても大切になるのは間違いあ
りません。

しかし、それは口で言うほど簡単ではないことも事実です。

本質を見抜く力を養う暇もないくらい、時代に翻弄されていくのが私たち
のこれからの姿なのだとしたら、本当に求められるのは何が起きようとも
引き受けていく覚悟なのかもしれません。


時代が求める本質的な力は何かという問いは、これまでも時代を動かすリ
ーダーたちが向き合ってきたものような気がします。

もしその問いの答えが「覚悟」という精神性にまつわるものなのだとした
ら、環境の変化に呼応するように精神性の磨かれた人たちの出現も可能に
なる日も近いのかもしれません。

環境の変化が激しいからこそ、思考力や精神性が磨かれる。そんな皮肉な
法則の中に、人間の本質が紐解かれるヒントが埋め込まれているのではな
いでしょうか?

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