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ゴールデンシャドーとは?

先週に引き続き、3年前のインテグラル・ヨーロピアン・カンファレンス(IEC)より、キム・バルタとテリー・オフェロンの二人による「Harnessing the power of organizational shadow(組織のシャドーの力を活用する)」のレポートをお届けします(連載・第2回)。

前回は、人間が持つ「取り入れ・投影」という心理機能によって、私たちは、個人や社会を歪めて見てしまうことがある。その歪みである「シャドー」に自覚的になることが大切だということに触れました。

このシャドーは、個人から個人に対するものから、個人から集団、集団から個人、そして、集団から集団に対するものまで、様々な種類があると言います。

例えば、個人から集団に対するシャドーというのは、経営トップが特定部門に対して否定的な見方をしたがために、本当にその組織が後退してしまうと言ったようなケースです。
また、集団から個人に対するシャドーというのは、世論がある個人を槍玉にあげてスケープゴートにしてしまうといったケースが該当するでしょう。
そして、集団から集団に対するシャドーというのは、例えば、政治の場面では、保守対リベラルという形であったり、組織の中では、営業部対開発部門という形であったり、あるグループを型に当てはめて見るということが該当します。

こうしてシャドーの種類を知ることで、シャドーに対するアウェアネスを高めることができるように思います。
その意味で、興味深かったのが、シャドーは、ネガティブなものだけでなく、ポジティブなものとしても存在するという話で、それを彼らは「ゴールデンシャドー」と呼んでいました。


例えば、誰からも尊敬されているような絶対的なリーダーや、スタープレーヤー揃いの絶対的な組織を見るとき、私たちは「ゴールデンシャドー」にはまってるかもしれないのです。

理想を掲げる、憧れを抱くということには、一見、何の問題もなさそうに思えますが、キムとテリーは、自分たちが崇拝している対象が持っている特性や能力を、実は自分たち自身も持っているかもしれないにも関わらず、自分たちには「ない」と思い込んでしまい、せっかく備わっている素晴らしさを十分に活かし、育むことができない、この部分がシャドーの負の影響だというのです。

自分たちには「ない」と思っていることが、実際は「ある」ということに気づくというのは、マインドフルネスや禅の教えにも通じる考え方だと思います。

外に向かっている注意を、自分たちの内側に引き戻し、自分たちが持っている要素を一つひとつリストアップして確認していくこと。
それを透明性高く行うことが、シャドーによって物事を判断しているかどうか識別する方法の一つだと言うことでした。

<次号に続く>


あなた自身が持っている、ゴールデンシャドーは何ですか?       
                                

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