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問いが変われば世界が変わるーHow編ー

私が携わらせていただいている企業様へのご支援テーマは、コンプライアンス事案、ハラスメントに関すること、ビジョンに関係すること、または業務プロセス改善など多岐に渡っています。

壁打ちセッションという形で、それらテーマに関するお話を伺い、どこが問題か・どこがレバレッジポイントかをお伝えするというサポートをご提供しているのですが、テーマの内容に関わらず柔軟な思考ができず袋小路にはまってしまっているときには、共通の傾向があるなと感じたことがあります。

それは、Howの「問い」にどっぷりつかっている、という時です。
普段何気なく使っている問いかけ方かもしれませんが、決して万能ではなく実は限界がある、と感じています。
今回はそのことについてご紹介していきます。

(1)「How」の限界

まず、Howの問いとはどのようなものなのでしょうか?

私は「ゴールに向かうための道筋・手段を探る問い」であると考えています。
状況によってはHowの問いが有効である場合もありますが、厄介なのが
『とにかくゴールにたどり着けばいい』
というマインドセットがいつの間にか生まれてしまうことだと考えています。

このマインドセットが引き起こす影響は、主に3つあると整理しています。
ーーーーー
1)ゴールへの到達手段探索の幅を狭めてしまう
2)ゴールと現状を疑えなくなる
3)手段の副作用に気付きにくくなる
ーーーーー

1)ゴールへの到達手段探索の幅を縮めてしまう
達成のためのやり方が1つでも見つかると、他のやり方を探さなくなります。
例えば、パズルの解き方が1つ分かったら、その方法でパズルを解くことだけしか意識しなくなる、ということです。
打ち手が1つしかない、という状態は、柔軟性を著しく失わせます。

2)ゴールと現状を疑えなくなる
「どうやってやるのか?」という問いになった瞬間、ゴールにたどり着くことが前提となります。
そうすると、いかに良い手段が検討できるか、ということに囚われてしまい、現状に対して疑いと検証の目が向かなくなります。

3)手段の副作用に気づきにくくなる
ゴールにたどり着くことが第一義になるので、思考停止状態となり、手段の検証をしなくなります。その結果、効果だけに着目してしまい、どのような副作用を及ぼすのかに気づきにくくなります。

このように、Howの問いは「手段」への囚われと視野狭窄を引き起こします。
そして、冒頭の通り、柔軟な思考ができなくなり、いつの間にか袋小路にはまってしまうのです。

(2)「How」の問いに変わるもの

さて、Howの問いに限界があるとしたら、かわりにどのような問いを立てればよいのでしょうか?

私は「What」の問いをお勧めします。
「『何があれば』ゴールにたどり着けるのか?」という問いを立てるのです。
これは一見「How」と似ているようですが、似て非なるところがあります。
手段という道筋そのものを探すのではなく、「何があればよいのか」という問いかけにより通過点やプロセスを考えるようになるとともに、それぞれの手段の『効果』を常に考えるようになります。

効果を考える過程で、
「そもそも、何が効果として必要なのか?」
「今の自分は、どういう状態なのか?」
と、現状やゴールの再検証にも目を向けられるようになり、同時に副作用についても考えられるようになります。

検証が可能になったことで、手段は「たった一つの正解」ではなく「いくつかある選択肢」として捉えられるようになります。
そして、効果に着目しているために、手段の変更はよりよい効果を生み出すための機会として受け止められるようになる、ということも期待できます。
手段へのこだわり、囚われから脱していれば、謙虚な態度で、余裕をもって物事をみることができるようになり、予期せぬ出来事への対応も素早くできるようになると思います。

(3)問いが変われば世界が変わる

今回は問いの可能性についてご紹介しました。
このタイトルには、いくつかの想いを込めています。

思考は、その人の行動だけでなく、人の内面の意識にも影響を及ぼし、そして「世界のとらえ方」をも変えていきます。
人が、自分自身の人生や世界にどのような意識で向き合い行動しているのかが、社会に影響を与えているとしたら、人の意識を変えていくことは、個人だけでなく社会全体に対しても非常に重要なことだと思います。
また、実際の社会においても、Howの問いで対応し続けたあまり、副作用に気付けないまま色々な手段ばかりを講じてしまい、結果積もり積もって環境問題などに発展している、ということも起こっているのではないかと思っています。
人の意識が変わるきっかけの一つは「問いが変わること」であると考えています。
そして、問いを変えるのは日々の訓練で誰もが身に付けられることです。

あなたにとって、問いを変えることで変わるものは何ですか?   

次回も引き続き、「問いが変われば世界が変わる」をテーマにお届けします。


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