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問いが変われば世界が変わるー Why編ー

前回は「問いが変われば世界が変わる」と題しまして、
Howという「ゴールに向かうための道筋・手段を探る問い」の限界
についてご紹介しました。

同じようなことが「Why」の問いにも言えると考えております。
今回は「問いが変われば世界が変わるWhy編」としてご紹介します。

私は2000年頃にコーチングに出会い、2001年にCTIジャパンでコーチ資格を取得したのですが、当時の講座で言われて非常に驚いたことがあります。
「『Why』という言葉は使わないようにしてください」最初のキャリアであるコンサルティング会社では、とにかく「なぜ?」を突き詰められる日々を過ごし、また「なぜ?」と問うことも仕事であると考えていた私にとって、このことは本当に衝撃的でした。
その当時、「では何と訊けばよいのか?」と質問したものの明確な答えは返ってきませんでした。
また、そもそもWhyの問いの何がおかしいのかもよくわからなかったため、その後自分なりに模索し、「問い」を体系化した中から、今回ご紹介したいと思います。

(1)「Why」の限界

そもそもWhyの問いとはどのようなものなのでしょうか?

Whyは「なぜなのか」という「結果」としてのとある事象に対して、原因を問うときの言葉になります。
その「結果」を引き起こした原因は1つではなく、実は無数にありうるということをご想いただけるでしょうか。

例えば、「ノートパソコンの電源が入らなくなった」原因を考えてみます。
直接的な原因は何らかの部品故障だったとして、そもそもなぜその部品が故障したのか?
という理由は無数に挙げられると思います。
・知らないうちに漏電していたから
・経年劣化
・持ち運びの際の衝撃があったから
・乱暴に電源OFFしていたから
更にこれらは「なぜ」起こったのか。製造時の何かが影響しているのか、人の手によるミスなのか、偶然が積み重なっていったのか、…挙げればきりがありません。

無数の原因があるという前提で、「Why」という問いは何を引き起こすのでしょうか?

それは、原因究明とその正解探しを回答者に強制するということです。
「なぜ、そんなことになったの?」と言われた瞬間に回答者にとっては正解を言うことが強制されている、という体験になります。
これが重要なポイントであり、回答者に以下のような心理的負担を負わせることになります。

1)回答者に原因究明の責任を負わせることで、恐怖の感情とともに「正解を言わねばならない」というプレッシャーを負わせる
2)「適切な回答が話せないと知性が問われる」という状況に立たせる
3)ケースバイケースではあるものの、原因究明とともに自分の責任も問われる、という可能性を生み出す

こうなると、回答に窮して相手とのラポールが形成されづらくなる、自由な内省ができなくなる、ということが起こりえます。

冒頭の「コーチは「なぜ?」という問いをクライアントにあまり使わない方がいい」というのは、これらの理由によるものではと思っています。
また、「回答者に心理的負担を及ぼす」という点においては、コーチングに限らず、コミュニケーション全般においても言えることでしょう。

(2)Whyの問いに変わるもの

How編でお伝えしたものと同様に、Whyについても「What」の問いに変えてみるのがよいと思います。

「Why」の問いは、無数の原因があることに対して、ともすれば回答者にすべての責任を負わせてしまうような体験をさせるところに辛さ・苦しさがあると思います。

それに対して、Whatの問いに変えることで、
「何が原因だとあなたは見ていますか?」
「どんな原因・要因がそこにあったかと思いますか?」
という問いかけになります。

原因・要因は、その人とは関係ないところにあり、「その要因はあなたはどう見ているのか?」という問いかけをすることで、姿勢が問われる・責任が問われる、という強制感から離れやすくなるのではと思います。
Whyは原因究明であるのに対して、Whatは原因探索である、というのが大きな違いであるとみています。

Whatの問いかけを通して、質問者も共に原因を探索する姿勢であることが伝わるということ。
これがコミュニケーション上非常に重要だと思います。

更に言うと、Whyの問いは原因の領域を限定していません。
「ノートパソコンはなぜ壊れたの?」という問いかけは、使い方・部品・性能、その他様々な領域があるもの、すべて回答者に委ねてしまいます。
しかし、Whatの問いをうまく使うことで、「どんな部品が故障の原因だったの?」「どんな使い方がまずかったの?」と、領域を限定できるので、回答者の思考を深める手助けになるでしょう。

これは、自分自身の思索をするときにも同様に有効な問いであるとも思います。


Whyという問いの限界について、そして、Whatの問いに変えることでの変化をご紹介しました。
Whyの問いにより答えは出てくるかもしれませんが、回答者との関係に緊張が生まれたり、場合によっては相手の自信を失わせてしまう、またはモチベーションを下げてしまう可能性があります。
そこで、Whatの問いかけに変えることにより、相手との関わり方が変わります。
そしてそこから、自分と相手の思考が深まる可能性を創りだすこともできると思っています。

前回にもお伝えした通り、思考は行動に影響し、行動は世界に影響を及ぼします。

あなたの可能性を拓く問いは何ですか?

この記事が、みなさんの可能性を拓くことの一助となっていることを願ってやみません。

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