見出し画像

会議革命をつくろうー会議の価値とはー

みなさんは、「会議」にどのようなイメージを持っていますか?

日本の会議は生産性が低い、とはよく言われますが、ファシリテーターとしてご支援させていただくと、もはや生産性が低いどころではないと感じる場面に直面することが多々あります。
「僭越ながら、その話をしたところで一体何になるのですか?」と申し上げたことは一度や二度ではありません。
本当は5分、10分で決まるであろう話を何年間も繰り返している。
大袈裟に聞こえるかもしれませんが、そのような例をいくつも見てきました。
そしてそれは、多くの方が社名をご存じであろう大企業であっても同じように起こるのです。

この状況は、単に生産性が低いというだけでは説明できないと思います。
いったいそこには何があるのでしょうか。

まずは、どのような問題症状が起こっているのか。
よくある会議の風景から考えていきましょう。

1)会議に見られがちな症状
・発言者が偏っている
「声の大きな人の意見が良く通る」とはよく言われますが、毎回の会議で「いつも同じ人が喋っている」ということはないでしょうか。

・同じ話題が繰り返される
かれこれ5年前からこの話をしている、というように、同じ話が何度も繰り返されているか、もしくは、堂々巡りをしているという状況です。

・結論が出ない
結局ただ話し合いをしただけで、次のアクションには繋がっておらず、何が決まったのかもうやむやになって毎回の会議が終わるパターンです。

・担当決めの段階になると沈黙する
個人的には、こういった場面で毎回耐え難い苛立ちを覚えます。
そして、決まらないところから「今じゃないよね」という雰囲気が充満し、よくわからないまま先延ばし…ということが起こり得ます。

・脱線する
話の最中の「あ、そういえば」の一言から始まって、元々の話題から逸れていく。そして脱線話の方が盛り上がった結果、それまで議論していた内容について「やっぱり”今”じゃないのでは?」と結論がひっくり返る。
時には、梯子を外されるといったこともあると思います。

まさに「こんな会議は嫌だ」というシーンが勢揃い… といった様相です。
「会議」と指してはいますが、会社組織における「会議」と名のつく場に限らず、様々な話し合いの場面において起こり得る症状です。
そして、残念ながら本当に多くの会社組織でこういった症状が蔓延しているのを見てきました。

これらの症状を取り除くことは可能なのでしょうか?
その検証のためにも、皆さんと考えてみたい問いがあります。

『会議が生み出すべき価値とは、
本来どのようなものなのでしょうか?』



2)会議が生み出すべき本来の価値とは会議が生み出すべき本来の価値とは?と訊かれて、すぐ明確に答えられる人は少ないのではないでしょうか。
今回ご紹介するのはあくまで私なりの考えではありますが、一つの見方として捉えていただければと思います。
シンプルにまとめると、以下の4点を可能にすることだと考えます。

・話し合って
・決めて
・行動に違いを作って
・結果に違いを作る


集団でする、という観点に着目すると、まず「話し合って」「決める」ことがポイントです。
話し合う必要がないことなのであれば、それは担当者独りで進めればよいだけの話であり、集団で取り組むべき課題であるからこそ、会議を開いて進める必要があるのです。
「行動に違いを作って」とは、会議のビフォー・アフターを比較して、会議を経てどんな変化が生まれたのか?ということです。
そして最後の「結果に違いを作る」。ここで「結果を出す」とは敢えて表現しません。
複雑性が増す環境下において、結果を出したからと言ってその先の未来に繋がっているのか保障はなく、むしろ結果を出したことの副作用が生まれたり、余計なことをしているという事にもなりかねません。
そのため、今までと違う結果が生まれているか?という観点の方がより現代に相応しいのはないかと考えているからです。


さて、この4点の深掘りを通して、会議の価値について考えてまいりましょう。

1)「話し合って」→文脈形成
文脈形成とは、話し合ったメンバーの中で「何が当たり前になっているか?」という事です。
「こういうことだよね感」が、どれだけメンバーの中に生まれているか。
この感覚がないと、会議終了後に結論が出たとしても「全然腹落ちしてないんだよね」のような感覚が残り、結果的に3つ目の「行動に違いを作る」ことに繋がらなくなります。
それは、面従腹背とも言いますが、とりあえず表面的には「そうですね。
わかりました」と言いつつも、全然何もやってくれない…ということです。
そのため、文脈が揃っているか、すなわち「私たちにとってこういうことだよね、そうそう」感が会議のビフォー・アフターで高まっているかどうかが、まず1つ目のポイントになります。

2)「決める」→合意形成
前提として、文脈形成があって成り立つものですが、それが何であれ”何か決めている”状態です。
全員が”納得している”状態にしなければならない、ということではありません。
少なくともこの結論で行こう、ということに「そうですね」と承諾しているかどうかがポイントであり、その場にいる全員が意図して最終意思決定者に権限を委譲しているのであれば、意思決定者の一存で決める、ということでも構わないのです。
一方で「鶴の一声」とも言われる状態は、意思決定者のワンマン、トップダウンで決まったものの、結論に至るまでの合意が形成されていない状態であると言えます。
きちんと文脈形成が為され、そして合意形成されていくことが重要です。

3)「行動に違いを作って」→行動変容
決められたことが実行されることで、会議のビフォー・アフターで行動変容が生まれているかどうかが重要なポイントです。
また、この行動変容のフェーズでは、時には外的環境だけではなく、人々の内面、例えば感情や信念、価値観などが影響を及ぼして、うまく行動に移せないという場合もあります。
そのため、行動の妨げになっているものがある場合は、それを扱うことも必要になるかもしれません。

4)「結果を作る」→変革実現
変革と言っても、大きな変革である必要はありません。
ルール決めなどの小さな変革実現が着実に積み重なっていくことで、時間と共に少しずつ変化が形作られていく。
そのような変革を実現していくことが重要だと考えます。

いかがでしたでしょうか。

加えて、自分たちの会議を振り返るために、最適な会議の評価方法について考えることが重要だと思います。

会議が終了した後に、文脈形成、合意形成、行動変容、そして変革の実現に向けた進展があったかどうかを【はい/どちらでもない/いいえ】の三択で確認する。
もしこれらのすべてが達成されていなかった場合、その会議は何も意味を持たなかったと言えるかもしれません。

改善のためには、どの点で工夫が必要かを見極めることが重要です。
ただし、行動変容や変革実現は、会議の数日後や数ヶ月後、さらには数年後になって初めて測定できるものです。
したがって、簡単な評価方法としては、会議後に参加者が
「この会議を受けて行動変容が生まれそうだ」
「変革が実現しそうだ」
と感じるかどうかを聞いてみることができます。

評価の結果、もし全員が【どちらでもない】や【いいえ】と答えた場合、何らかの見直しや改善が必要になる可能性が高いです。
また、ビフォーアフターでの違いを意識することも重要です。
会議参加者が違いを意識していない場合、問題症状は容易に再現されます。
ただし、問題を指摘するだけでなく、自分たちは何を作り出すのかを意識することが重要です。
でなければ、それは批判的評論家を増やすだけになってしまうからです。

   
あなたの会議から
生まれ出ようとしているものは何ですか?


メールマガジンのご案内
”ビジョン・プロセシング”マガジン「未来からの問い」
ご登録はこちら:https://regssl.combzmail.jp/web/?t=mt23&m=r8v6

★書籍「ビジョン・プロセシング(仮称)~人と組織の『未来と向き合う力』をどう育むか~」予約受付中です。
詳しくはこちら↓

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?