「駅弁を食べるタイミング」
私事ながら・・・。
現在、故郷の「南海日日新聞社」様にて、定期的に、「紬エッセイ」というものを書かせていただいております。
「南海日日新聞」は、私の地元の奄美大島を中心に発行されている新聞で、
主に地域の話題を中心に記事が掲載されております。
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本日、私のエッセイも載りましたので、どうぞお読みください。
・・・と、さすがに文字が読みにくいので、
こちらに、原稿の方をアップしておきますね。
★つむぎ随筆
◎駅弁を食べるタイミング =小説家・中得一美
突然ですが、読者の皆さまは、駅弁をどのタイミングで食べているのでしょうか。
乗ってすぐなのか、それとも景色を楽しんでからでしょうか。私事ながら、この駅弁を食べるタイミングにいつも悩んでしまうのです。
先月、博多から東京まで新幹線に乗る機会があり、駅のホームで駅弁を買って乗り込むと、隣の席にスーツ姿の男性がいるではないですか。ここでハタと気がついて…。この状態で弁当を広げても良いものかと迷ってしまったのです。
私には駅弁に対するトラウマがあって…。あれは私がまだ就学前のこと。親族一同で指宿へ旅行した事がありました。楽しみは一面の菜の花畑、ではなくて、生まれて初めて食べる駅弁。よくドラマで、駅弁売りの人が首から箱をぶら下げて売りに来る場面を見て、期待していたのでした。
無事に駅弁も買え、ネットに入った蜜柑まで母におねだりして、いざ列車に乗り込むと、車内は混んでおり、向かい合う座席の通路側しか空いていません。
それでも幼い私が「窓側がいい」と、ぐずっていると、大学生と思しき若者たちが、席を譲ってくれたのです。しかし、そんな彼らの厚意も意に介さず、窓側に移るとすぐに両親は駅弁を取り出し「早く食べんね」と言い出しました。隣に大学生がいるのにです。せっかく席まで譲ってくれた彼らの前で、いくらなんでも弁当を広げることなんてできません。
でも、「今食べなければ食べる時間はない」と叱られて、泣く泣く弁当を食べる羽目に。その時の味は覚えていません。あれほど楽しみにしていたのに、人前で食べなければならない緊張感と恥ずかしさ。
しかも、私たちが食べ始めると、若者たちのお腹もグーと鳴り、急にそわそわし始めたのです。あの時の申し訳なさは今でも鮮明に思い出します。
けれど、あれからン十年。今は「図太く?」なった私が、遠慮せずにサラリーマンの前で弁当を広げると、なんとその名は「薩摩御膳」。鹿児島から来た私が、何ゆえ博多でこの弁当?
やっぱり私にとって、駅弁はトラウマなのでした。(龍郷町)
地元の話題なので、少々、分かりにくい点があろうかと思いますが…。
(*´ω`*)
注釈1 指宿というのは、九州鹿児島の薩摩半島、最南端にある場所で、砂風呂が有名です。この季節は、一面の菜の花畑でも知られています。
注釈2 奄美大島は、鹿児島県の離島。一昨年、島全体が世界遺産に登録されました。みなさん、いもりんしょれ~。(^◇^)
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