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ナカさんの寄席日記 「第七回雷門小助六 雷門音助スケスケ兄弟会」

2020年の落語納めになった会です。今年はコロナでほとんど寄席には行けず、小さい落語会中心に聴きに行きました。小助六師匠は松戸の聖徳大学での講座を2回受講したので、今年一番聞いた噺家さんだったかなー、と思いきやなんと音助さんの方が上回っていたようです。なんでだろう?
とにかく今年は雷門スケスケ兄弟には大変お世話になりました!
各々2席と兄弟トーク、たっぷり聴かせていただいて楽しい会でした。

毎回お席亭さんが趣向を凝らしたBGMで会場を温めてくれています。今回は「兄弟会」なので兄弟デュエットなどの曲をチョイス。狩人のあずさ二号とか。兄弟トークの時に鳥羽一郎の「兄弟船」でお二人が登場したのには笑いました!落語らしくないBGMもその会の個性が出て楽しいです。

小助六師匠「加賀の千代」。私の中で加賀の千代といえば音助さんのイメージでしたが・・。お金を借りてきて、という女房・・・年末っぽい噺に入るのかなーと思いきや加賀の千代でちょっと意外。音助さん「うどん屋」。酔っ払いがあんまり酔っぱらってなかったけど、サゲの「うどんやさぁーーん」というのが大好きなので音助さんで聴けて良かったです。音助さんお酒呑んでグデングデンになったりするのかな?小助六師匠はお酒お好きだそうですが、二人とも羽目を外して酔っぱらいそうもないタイプに見えます。

仲入りで「二人への質問」を書いた紙を前座さんが回収してまわりました。それと小助六師匠「助六師匠への誕生日プレゼント、何あげればいいのか真剣に悩んで困っているので皆さんにも一緒に考えて欲しい。質問の紙に書いてください」との事。入門からもう20年も毎年プレゼント考えるの大変だよー、と。そりゃそうですよね、もうさすがにネタが尽きますよね。

仲入り後は兄弟トーク。真ん中に進行役の楽ぼうさん、ソーシャルディスタンスとって左右にお二人が並びます。お客さんからの質問にどんどん答えていくお二人。入門したての音助さん、師匠の家の年末大掃除の時に換気扇掃除がとても上手だったので「良い弟弟子が来たな、辞めないで欲しいね」って二人で喜んだ話。ポテトチップスは音助さんは塩味が好き、小助六師匠はコンソメ味が好きだそうです。「着物・スーツ・スポーツウェア以外のファッションについて」の質問には「ジーンズって、あの、履くと冷たいヤツでしょ?」(笑)あれは古い師匠なんかだと「作業服だ」と良く思われないので履かないですね、とか。コロナ自粛期間中で小助六師匠は大変お痩せになったとの事。音助さん曰く「カロリーの殆どを打ち上げで摂取していた証拠」と(笑)音助さんは太ったり痩せたりしやすい体質の様で春先に比べて引き締まっていました。こうしてトークを聴いていると、小助六師匠はシニカルな中にも少年っぽさがあり不思議なバランスを持っている思う。キャリアはベテランの域に入るような落語の名人ですが、まだ38歳なんですよね。見た目と中身のギャップが魅力なのかも。音助さんは一児のパパなのでポヤっとしていながらも現実的なのかな。お二人ともタイプはまったく違うし、入門までの経緯も全く違う二人ですが、共通しているのは、力まない、汗かかない、無理しない、自分のペースをちゃんと持ってる。「汗だくになってやるほどですかねぇ、落語って」「そうそう」。雷門助六一門、良い一門ですね。助六師匠は高齢だしコロナ怖いからと、今は寄席にお出になっていらっしゃいませんが、いつか三人で親子会やって欲しいです。

後半は音助さん「粗忽長屋」。マクラで「ぼく、こう見えて、ものすごいそそっかしいんですよ、見た目で損してるんです!」フツー”見た目で損”って「外見がダメだと内面が真面目でも悪くみられる」ことですが、音助さんの場合「外見が真面目に見えるから内面がそそっかしいとは思われない」逆・見た目で損するタイプ!斬新な言い方!たしかに音助さんで粗忽長屋ってイメージなかったけど、今日の演目の中では一番面白かったです!音助さんを初めて聴いたのは「心眼」でめちゃくちゃ感動したんだけど、意外とコッチ方面のトボケた落語も似合っているんじゃないかと思いました!イメージで決めつけはよくないですね、色んな噺聴かないと・・・。
トリは小助六師匠で「百川」。これも意外なネタ来た~!百兵衛さんの訛りがめっちゃネイディブで流れるような北関東弁で爆笑してしまった!それはまるで日本人が演奏するウィンナワルツと本場ウィーンっ子が演奏するウィンナワルツの違い位、滑らかな訛りでした(笑)栃木、茨城、千葉でも北の方って感じですよね、百兵衛さん。秋に聴いた古今亭志ん陽師匠の百川もとても良かったんですが、小助六師匠の百川もとても良かったです。小助六師匠のリズム感、音感が素晴らしく良いんだと思うんですよね。珍しい噺もたくさんお持ちの小助六師匠、色々な噺を聴いたみたいな、と思いました!

年内はもう一つ落語会行く予定がありましたが、ますますコロナ感染者が増えて会自体が中止になり、このスケスケ兄弟会で年内は落語納め。いま、これを書いている2021年1月7日、ついに東京都のコロナ感染者が日に2000人を超えてしまい、夕方には緊急事態宣言が出る予定ですが・・・これからどうなってしまうんでしょうかね。噺家さんや芸人さん、アーチストさんを応援したいけどどうすれば一番良いのか・・・。こんな状態がいつまで続くのか・・・クサクサしてないで寄席でガハハ!っと笑いたいものですよね!

2020/12/26 日暮里サニーホール
第七回雷門小助六 雷門音助スケスケ兄弟会
楽ぼう 狸札
小助六 加賀の千代
音助 うどん屋
 仲入り
兄弟トーク
音助 粗忽長屋
小助六 百川

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