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ナカさんのクラシック音楽コラム 21《手放せない音楽》V.A./Greensleeves

手放せない、というか一旦手放してまた手元に戻ってきたCDです。父にあげたCDでしたが、去年に父が亡くなったのでまた自分で聴くことにしました。

父はいわゆるガテン系の仕事でした。仕事やめてから絵手紙を始めたりクラシックやジャズを聴いていてちょっとビックリしました。作業服で重機を運転していた父のイメージとかけ離れていて可笑しかったし。若い頃はバイクに乗ったり釣りやスキーなどアウトドア系の父でしたが、晩年にそんな内向的な趣味が出来るとは。。。人は見かけによらないものですねぇ。絵手紙や添えられた短文を見ると意外とロマンチストだったのかなぁと思います。私の音楽や文学、絵画が好きで凝り性な性格は父に似たのかもしれません。

父のCD棚を見るとヴァイオリン協奏曲など弦楽器のものが多かったので、きっとこのCD気にいるかな、と思って自分の棚から持ってきました。
あとで「聴いてくれた?」と尋ねると、「外国盤じゃぁ、ダメだよ」とのこと。なるほど、日本語解説が無いから、ってことね。父はそれほどクラシック音楽に精通しているわけではなかったので、有名な曲や入門的CDの方が良かったのかも。解説書はやっぱりあった方が良いのか。べつにそれ抜きで聴いても、とても良い曲が入ってるから聴いて欲しくてあげたのに。。。

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Various ‎– Greensleeves
レーベル:EMI Laser ‎– CDZ7625272
イギリス音楽の美しいところを集めた、色とりどりに咲く花束のようなCD。とにかくイギリス音楽は「美メロ」の宝庫ですね。
表題曲のヴォーン=ウィリアムズのグリーンスリーヴス幻想曲。揚げひばりのヴァイオリンの天に昇っていくような音色が好きです。
そのあとにはディーリアスとかバターワース、エルガーの曲がいろいろ入ってますが、静かにレースのカーテン越しに光がゆらゆらしてるような、そんな音楽が続きます。英国音楽の穏やかさが好きです。聴いてて疲れません。
日本の残暑の涼しくない風を窓から入れ、このCDを聴くでもなし聴いているうちにウトウト・・・そんな心地よさ。最後に吹奏楽でおなじみのイギリス民謡組曲が入っていて、楽しい気分で終わるところも良いと思う。

オーケストラも室内楽的響きで美しい。
演奏は定番のボールトとかバルビローリですが、なかに知らない指揮者の名前を見つけました。ネヴィル・ディルクスという指揮者。イングリッシュ・シンフォニアというオケを振ってます。1930年生まれですから、ラドミル・エリシュカ(1931年生)ウラジーミル・フェドセーエフ(1932年生)あたりと同世代。今は活動されているんでしょうか、情報少なくてわかりません。

1988年リリース、EMIのCDZ規格なのでいわゆる廉価盤ですね。解説はなくてジャケットは1枚ペラを折っただけの簡素なものです。でも背ジャケが青なのでCD棚に並べた時にちょっとイイ感じ。(EMIは基本赤い)ジャケット写真は小川で牛が草をはんでいるのどかな田園風景です。
EMI LASERシリーズはいわゆる「BEST OF ・・」みたいなCDがたくさん出てます。英国音楽のオムニバスは他にも2枚あるみたい。The Best Of BritishCountry とGardens。どちらも良い曲入ってる、欲しくなってきた。

EMIの品の良い選曲にワクワクして、父の思い出をすっかり忘れていました。そんなわけでこのCDを聴いてくれたのかは今となってはわかりません。でも、揚げひばりを聴くとヴァイオリンの音色が好きだった父を思い出します。元気でいたら音楽の話とかしてみたかったです。生きてた時は照れくさくてそんなことできなかったけど。死んでしまったら色々と思うものです。

2020.8



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