【昨日星を探した言い訳/河野裕 著】”忘れてはいけない大切な事”が詰まった作品(奈伽の本棚vol.2)
こんにちは 奈伽です。
今回は久しぶりに、最近読んだ本の中から選ぶお気に入りの1冊をご紹介したいと思います。
本日、ご紹介するのは、
河野裕 著 『昨日星を探した言い訳』 です。
あらすじ
『昨日星を探した言い訳』
自分の声に自信が無くあえて寡黙な優等生を演じている坂口孝文は、ある日、学校に転入してきた緑色の目を持ち将来は総理大臣になると宣言する才色兼備の美少女・茅森良子と出会う。彼らを取り巻く古臭いしきたりや差別、偏見の目に対し、坂口と茅森、2人の周りの人々がそれぞれ自分なりの「正しさ」を持って、器用にも不器用にも、まっすぐに突き進もうと奮闘する青春小説です。
物語は、25歳になった現代の坂口と茅森の2人、そして中学生~高校生時代の2人という2つの時間軸を行き来し、少しずつ過去の出来事を振り返り謎解きをしながら2人に起こった出来事の真相に迫ります。
おすすめポイント
”忘れてはいけない大切なこと”が沢山詰まった素敵な作品。
作中では、登場人物たちがそれぞれの持つ考えについて、まるで哲学対話のように議論する場面が多数登場します。議論の中で発する彼らの言葉は、どれも無視できないくらい印象的で、いつの間にか忘れてしまっていた”大切な事”に気づかされます。
読みながら「はっとした」感覚を忘れない内にきちんと心にとめておきたくて、最後まで読み切った瞬間、今すぐもう一度読み返したくなるのです。
ここでは、私が忘れたくないと感じた言葉の中から3つだけ選りすぐってほんの少しご紹介します。
\Point1/
1つ目は、坂口と司書教諭の中川先生との会話。物語を読んでいて、一番初めに強く心が揺れたのがこのシーンでした。
差別や偏見が発生する根源的な人間の特性を、言い当てているように感じ、はっとさせられました。
どんなに話しても互いに理解し合えなかった時、意識せず「こんなこともわからないのか、この人は」と見下してしまう。そう感じる事によって、人は理解し合えなかった事への悲しみや怒りを抑えているのかもしれません。
でも本来、理解し合えないという状況下でそこに存在するのは、「優劣」ではなくて「違い」でしかない。そこに「違いがある」というだけの事なのに飛躍して相手と自分の間に「優劣」の差があるように曲解してしまう心理こそが差別の根源なのかもしれません。
\Point2/
茅森から「平等って、なんだと思う?」と問われた時の坂口のことば。
すごくお洒落でロマンチックで、恰好つけた返事だと感じました。でも、そこがすごく素敵。こんなこと、好きな女の子にさらっと言えてしまう男の子の行く末が少し心配になってしまう…笑
そしてこの言葉、物語終盤に響いてくるキーワードでもあったりします。
\Point3/
茅森のこの言葉に込めた思い
どんなに価値観が違っていても、差別や嫌悪の目を他人から向けられても、全部許すと決めている茅森。そんな茅森がただ一人、坂口だけを例外にした。
物語を読んでいなければ、ただ子供っぽく「あんなやつ大嫌い」と言っているだけのようにも聞こえる、このことば。物語を読み進めた終盤でこの言葉を見た時、じわっと心に広がる思いがあります。
”魅力的な登場人物”
登場人物たちは、それぞれに軸を持ってぶれずに自分の考えを貫いています。
凛としていてカッコよくて、でも人間らしい魅力的なキャラクターたち。
それだけに、主人公の2人だけでなく、そのほかの登場人物のこの後の物語も読めたらいいのに…と読み終わった後に少しだけ寂しく思ったりもしました。
しっかり文量のある物語だけれど、語り口が美しくすぐに引き込まれてしまうので、早く続きが読みたいと思っているうちに気づくとあっという間に読み終わっていた、という感覚でした。
本当は、もっとずっと、坂口と茅森と、その周りの人たちの物語を読んでいたい。沢山の魅力が詰まった素敵な作品でした。
ご興味がある方は、読書の秋の課題図書の1つに『昨日星を探した言い訳』をリストアップしてみていただけたらと思います。
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