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華麗なる雑談は静かにもぐる #5【エピローグ】

あれから二週間が経過した。

その日は朝からキーボードを忙しなく叩いていた守島 康一郎だったが、ふとある違和感に気付き手を止めた。作成中の見積書を改めて見直す。

「おかしいな。こんな金額になる筈ないんだけどな、、」

やがて商品数量の桁が違うことに気付き、すぐさま修正を加えた。修正の間際の一瞬「このまま一桁多い数量で見積書を提出すれば先方も誤ってたくさん注文してくれるかもしれない」という不埒な思いも頭を掠めたが、流石にその考えは改めた。

「いっそのこと気付かなければ良かったな。」
守島は独りごちながらメールを送信する。まだ不埒な思いに後ろ髪が惹かれているようだった。

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