そこまで爪を研いだのなら、もう空を飛べばいいよ| #あなたのnote読みます
智春(ちはる)さんからDMを頂いたのは先週金曜日のことだった。丁寧な文面で私が企画している『あなたのnote読みます』に応募してくれたのを記憶している。
彼女の希望は文章の添削であったが、依頼されたnoteのリンクをたどり一読した結果、私は彼女の文章の添削をしないことを決めた。それが書き続けてきた人間の文章であることが一目で分かったからだ。実際noteだけで半年の間に数えきれないほどの文章を書いた履歴があった。決して多いフォロワーがいるわけではない。でも智春さんのnoteには必ず誰かが読んだ形跡が残っていた。きっとセロ弾きのゴーシュばりに小さな声援を受けて書き続けてきたのだろう。
私は返信した。
拝読いたしました。添削をご希望とのことでしたが、エッセイに限って言えば基本が既に出来上がっていますのでアドバイスはほとんど必要ないかと思います。現実、note内で100以上のスキがつく書き手と遜色ありません。
あとは1,000単位、10,000単位の人に読まれるか読まれないかの経験の差だけです。本当に不思議な話なのですが、文章は多くの人に読まれることによって風格を帯びます。同じ文章であったとしても、誰の目にも触れずに放置された文章と多くの人の目に触れた文章ではその意味合いが変わってきます。これは一人で書く日記のような文章が悪いと言っているわけではありません。例えばあの時書いた日記が10年後に宝物になっている。こういったことはもちろん人生において起こりえます。でも人の目に触れることを前提に書かれた文章は日記とは全く別の次元を生きることになります。
智春さんが書かれた文章は世間に知られていないだけで既に人の目に触れられるレベルに達しています。
本当に彼女に必要なのは1,000単位、10,000単位で読まれること。この経験だけが必要だと思った。
皆さんにも是非とも読んでいただきたい。
はじめの数行ではありふれた若い女同士のいざこざ話に思うかもしれない。でも違うのだ。後半になるにしたがって文章のギヤが上がってくる。事象と心象が交わった上で考察に考察を重ねた文章は読み手を驚かすことになるだろう。
文章の総合的なレベルについて。
実はまだあまい点はあるが、それは私が教えることではないと思った。それよりも場数だ。彼女には伸びしろがある。些細な文章レベルの話なんて関係ないだろう。そんなものは今までにないぐらい多くの人目に触れながら書き続けることで自然と解消されてゆくだろう。
noteには優秀な女性の書き手が多い。
近い将来、智春さんもその中に名を連ねるだろう。
「もう爪を研いでいる段階ではなく、空を飛ぶ練習をしなければなりません」と私は彼女に伝えた。
ここのコメントを目にしてくれてるってことは最後まで読んでくれたってことですよね、きっと。 とっても嬉しいし ありがたいことだなー