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華麗なる雑談は静かにもぐる #2【焦りと孤立】

守島 康一郎は静かに書類に目を通した。

その書類は佐原 治がバイヤーに向けて作成した提案書であり、内容は自社商品を店舗導入させることでどのように顧客の心が掴めるか、そしてどれだけの売上増が見込めるかをまとめたものである。

ざっと見るだけでも商品のコンセプト、ターゲットとなる顧客層の分析、既存実績から導き出される裏付けされた数値などがチャートを交え明確に記されていることが分かった。

守島は素直にたいしたもんだと思ったが、若手が作った資料である。確かに詰めが甘いところもあるのは事実であった。でも佐原が悩んでいる点はそんな内容ではないことも薄々感じている。

さて、問題はどれだけ踏み込んで相談に乗ってあげるかだ。

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