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たった一枚の木の板をひたすら磨くということ。それは人の手で赤ちゃんのお尻の肌触りを産み出すということだ

木工を趣味とする人間が一度はあこがれるもの。
ダイニングテーブル。
単純な構造でありながら奥が深い。
そう、あれはただのテーブルなどではない。
家族の中心に位置する神聖な天板である。
その姿は艶やかでずっしりしている。大物である。
基本的には本職の人が精魂込めて作った物を買うべきである。
けっして趣味でつくってはいけないのだ。

普通は「作りたい」といった時点で妻から反対されるものである。
想像してみてほしい。
ただの木工好きのにわか仕込みの人間がいきなりあんな大物を作ることが許可されるだろうか?答えはNOだ。
まずは家族からの信頼を勝ち得なければならない。

私は三年腕をみがいた。
そしてついに念願かなったのでnoteにしたためる。

◇◇◇

まずは妻との打合せで天板のサイズはW1,500×D720mmとした。
脚の高さは700mmだ。
これは家族4人がゆったりと食事ができるサイズである。

上の画像はホームセンターで購入した集成材の板である。
厚みは25mm。
結構重たい。

このままでは使い物にならないので加工する。まずはコーナーを丸くする。

これは電動工具のジグソーである。曲線を切るのに便利な道具だ。

これは先程のジグソーという電動工具で角を落としただけの板だ。画像で見てもまだ足りないことに気付くだろう。ここからトリマーという電動工具で面取りしなければならない。下の画像の工具がトリマーだ。

先端に上の画像の様なビットを装着して、木の角を丸く面取りするわけである。

お分かりでしょうか?こんなにきれいに丸くなるのです。

◇◇◇

そしてここからが天板ゆえの繊細な仕上げが必要になってくる。

集成材は比較的表面がきれいな材料であるが、それでも手で触れば多少のザラツキがあるのがわかる。たいしたことがないように思うがそれがあとあとの後悔につながる。
やってみればわかると思うが、このまま塗装しても毛羽立ちがある為、ほこりが付いた時にひと拭きできれいにならないのだ。
これはダイニングテーブルとしては致命的な欠陥になりうる。

だから、ひたすら磨くのである。
紙やすり(サンドペーパー)で磨くのが基本になるが、ただ擦れば良いというわけではない。粗いヤスリでいくら磨いても削れるだけでピカピカにはならないのだ。

サンドペーパーには粗さ・キメ細やかさによって番号分けされている。
60番はザラザラ、120番でザラッ、240番でサラッ、400番でサラサラ、600番でもっとサラサラ、1200番でめっちゃサラサラと番号があがるほどキメ細やかさが増してゆく。

これを徐々に番号のランクを上げながら延々と磨き続けるのである。
磨き面積が大きければ大きいほど労力が必要である。

あるとき赤ちゃんのお尻のような肌触りになる瞬間が来る

木の肌が本当に赤ちゃんのお尻のような肌触りになるのである。
あの瞬間の感動はやったものにしか訪れない。

そして不思議なことが起こる。
あの重たかった木の板が持ったときに軽く感じるのである。確かに削っているのだから多少は軽くなっているのかもしれないが、それ以上に軽くなるのだ。
気のせいと人は言うかもしれないが何度体験してもそう感じるのだから私は軽くなっていると信じている。

水性のオイルステインで着色し、蜜蝋ワックスで仕上げる

色はウォルナット調にした。水性オイルステインを二日に分けて二度塗りし着色、乾いた後にBRIWAX(蜜蝋ワックス)をこれまた二日に分けて二度塗りし仕上げる。BRIWAXの色はジャコビアンにした。

どんどん色濃く艷やかになってゆく。
試しに水を垂らしてみる。

綺麗な水玉となって水を弾いてくれている。
これでダイニングテーブルの天板として格好のつくものとなった。

あとはパーツを組み上げてゆくだけである。

ガンガン組み立てる。

こうしてダイニングテーブルが出来上がった。
丹念に磨きあげた天板は優しい肌触りである。
重厚な色合いであったとしてもあたたかみを感じる。

5歳の娘なんかは天板にほっぺをくっつけてその感触を楽しんでいた。

頑張って良かった。

#diy #自作 #木工

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