7/13(水) クロユキさんLive配信ハイライト

本記事は、クロユキさん【Twitterアカウント名:@fkuroyukix】がLive配信されている内容を切り抜き、まとめたもの+自分で調べた内容を掲載しています。

今回はCPIの解説メイン

※記載内容は私の個人的な解釈であり、実際とは異なる場合があります
※リアタイ相場については割愛


➡︎前置きとして

なぜいま世界中でインフレ率が歴史的な高水準にあるのか?
様々な理由はあるが、一番の要因は【コロナウィルス】が世界的なパンデミック(=大規模な流行)の拡大により経済危機に陥ったことである(コロナショックとも呼ぶ)。

コロナショックがどう経済に影響したかというと、例えばロックダウンによる飲食店やエンターテイメインサービスの営業自粛、先行きの不透明さからくる失業の増加や所得の低下、国内だけでなく国を跨いだサプライチェーン(=商品の開発〜消費者の手に渡るまでの流れ)の停止、外出制限や自粛に伴う観光や宿泊などの需要が減少したことが挙げられる。

この危機的状況を脱するべく行われたのが量的緩和政策(=QE)だ。
QEとは、各国の中央銀行が市場に大量の資金を回して経済の活性化を図る政策である。
QEを行ったことで経済回復の兆しがみえてくれば、いずれQEを解消する必要がある。しかし、急にやめれば回復してきた経済は再び後退しかねない。
そこで必要なのがテーパリング(=市場に影響が出ないよう少しづつ規模を縮小していくこと)なのだ。
ある程度テーパリングの期間を設けていたが、コロナショックの反動なのか予想以上に物価の上昇が加速してしまった。
そこでFRBは、急激なインフレを抑えるため予定より3ヶ月前倒しでテーパリングを終了すると発表したのだ。

アメリカがインフレ対策を急ピッチで取りかかっている最中、追い打ちをかけるようにロシアウクライナ問題が発生。
両国は、小麦・とうもろこしなどの原材料や、天然ガス、石油と主要な資源の供給量が世界でも多くの割合を占めている(半導体の製造に使用される材料の産出も行っている)のだが、戦争をきっかけにほぼ停止状態。
供給量が減れば、もちろんモノの価格は高騰する。
また、中国ロックダウンも忘れてはならない。上海にある世界最大のコンテナ港がゼロコロナ対策による厳格な感染対策の影響で電子機器関連や医薬品等の円滑な輸出が不可能となってしまった。
上記の理由も重なり、さらなるインフレへの懸念が強まったのだ。

アメリカのインフレ率は約40年ぶりの高水準となっており、FRBは目標である物価の安定雇用の最大化適切な長期金利の維持を遂行すべく対応に追われている。


➡︎なぜドル高円安になっているのか?

前述したように、アメリカではテーパンリグが行われている。その一方で、日本は大規模な金融緩和を行っている。
イコール、アメリカは市場に回る資金を減らしている(=ドルの価値が上がる)が、日本は市場に回す資金を増やしている(=円の価値が下がる)。
両国の金融政策の方向性が違うため、金利差は開く一方なのだ。

先ほどFRBの目標について記載したが、日銀は2%の持続的、安定的な物価の安定を図ることに焦点を当てている。この2%の物価安定を達成するためには、所得の増加を行い消費者の値上げに対する許容度を高めることが必要だと考えているので、金融緩和を行っている。
なぜ2%なのかについては、今回のお題であるCPIの話から少し論点がズレるため省略するが、簡単に言うと世界で共通の目標数値であり、日本だけが目標を下げたりすれば他国との関係性に亀裂が生じる可能性があるのだ。


➡︎噂で買われて事実で売られる流れ

前回のCPI発表前後のUSD/JPYの動きを実際のチャートを用いて説明くださっている(12:39〜)。
市場ではインフレがピークアウトしたのではないかとの噂もされていたので、先月のCPIにも非常に注目が集まっていた。
数値次第では金利の上昇速度が鈍化する可能性もあり、CPI発表前にはずっと上昇を続けていたUSD/JPYも一旦は利確(=ドル売り)の動きがみられた。結果は、市場の予想値8.3%に対して8.6%と鈍化どころか悪化している現状を目の当たりにした。
この結果を受けて、市場は今度のFOMCで0.75%の利上げが濃厚ではないかとのムードが流れ始めた(=相場の織り込みが始まる)ことで、再びドルが買われ始めたのだ。
そしてFOMC当日、結果は0.75%の利上げ。しかしチャートをみるとドルは売られている。なぜか?答えは市場の大半がすでに0.75%の利上げを予想していたからだ。
これに加え、日銀と同じく金融緩和的な政策を支持する傾向のあったスイスの国立銀行(SNB)が17年ぶりとなる0.5%の大幅な金利引き上げを決定したことは、世界中で大きなサプライズとなり、続いて日銀の金融政策にも影響があるのではないかと噂されていたために、一時的に円が買われさらなる下落となった。
しかし日銀の政策金利に変更はないとわかると、相場は再度ドルが買われる状況に戻ったのだ。

上記に記載した通り、実質的な数値が出てから行動するのでは遅い
金利が上がるのか下がるのか、方向性を示す判断材料(雇用統計や消費者物価指数など)がFOMC前に発表されたり、FRB関係者が事前に結果を示唆するような発言をすることにより、大方の方向性がわかれば、早めに行動するのが人間心理である。その一連の行動が噂で買って事実で売るという相場の格言と言われている由来なのだ。

※6月に関しては、CPI発表〜FOMCまでの期間が短かったこともあり、FRB関係者はブラックアウト期間(金融政策決定会合に関係する者は、金融政策や金融経済情勢について一切発言してはならい)だったので、FRBお抱え?のマスコミに情報を流したのであった。


➡︎7月もお宝相場はやってくるのか?

現状、総合指数が前月の結果8.6%で市場の予想値は8.8%、生鮮食品やエネルギー関連を除くコア(=天候によって価格に変動が出ない数値)が前月6%で予想値は5.8%(各予想数値は前年比)と、市場でもインフレはさらに悪化すると見込んでいる。
この市場予想から次回のFOMCでも大幅な利上げが噂されており、先週までは0.5%もしくは0.75%の予想だったが、現在は0.75%もしくは1%の予想へと変化しいる。
背景としては雇用統計の結果が良かったこともあり、大幅な利上げをしても労働市場は堪えられるのではないかと考えられているのだ。

ここで、再度前回のCPI発表前後からFOMCまでのUSD/JPYの流れを思い出してもらいたい。
6月のCPI発表からFOMCまでの期間は、上昇相場であった。
今回のCPI数値が予想値よりさらに悪化する結果となれば、再び上昇相場=お宝相場がやってくるのだ。
ただし、要人発言によっては一気に相場が動く可能性もあるので、十分注意する必要がある。
実際にお宝相場がやってきたとしても、FOMCギリギリまでポジションを持たないよう気を配らなければならない。なぜなら、FOMC前で市場参加者の大半がポジション整理をするからだ。FOMC後、一度は下落するが下がりきった後には再び上昇を始めるので狙える可能性もある。
極めて可能性は低いが、仮に日銀が金利を上げると発言した場合もお宝相場はやってくる。その場合、円買いの流れが起きるからだ。

繰り返しにはなるが、現状日本は金融緩和政策を行っているため金利を上げることはほぼないと言われている。しかし、欧州や英国の通貨に関しては、日銀と金融政策の考え方が違うため政策金利の指標発表にも注意が必要だ。
だからこそ、USD/JPYは余程のことがない限りお宝相場になる可能性が高いのである。


➡︎大きな指標のエントリーには注意せよ

指標の結果発表と同時にエントリーするのは大変危険だ。
なぜなら、スプレッド(外貨を取引する際、買う時と売る時の価格が別々に設定されいる。スプレッドとはこの価格差を指す)が大きく開くからだ。
スプレッドが開いている時にエントリーすると、チャート上では利益が生じているようにみえても、実際にはマイナスになることもある。
エントリーするならば、このスプレッドが落ち着いてからエントリーするのがベスト。
ちなみに、ドルが絡む通貨ペアのスプレッドが低いのは、米ドルが世界の基軸通貨であり流通量が最も多いからである。

※スプレッドの恐ろしさについては、動画内でクロユキさんが実演して下さっている。


➡︎気になるCPIの結果は?

予想値8.8%に対して、結果は9.1%かなり悪い結果であった。
この結果を受け、FOMCでは1%の利上げを行う可能性も高まってきた。
今回のFOMCまでのブラックアウト期間は、16日(土)〜なので、それまでパウエル議長らFRB関係者の発言にも要注目だ。
市場で1%の利上げが濃厚になれば、お宝相場となる可能性は十分に高い。