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余談: なぜチベット語(アムド方言)を学ぶのか?

 初めてチベットに行ったのは、1999年。
北京に留学してた当時、ネパールから国境越えしてチベットへ(歩いて入ろうとしたら追い返されて、国境中間地帯でどっちにも入れず苦労したけど、その話はまた)。標高5000m近いところを抜けて数日後にたどり着いたラサは、高山病でふわふわと夢の中のような世界でした。
 それから15年後の2014年。ラサまで高原鉄道も開通し、これなら高度順応しながら行けると。さらに中年になれば高山病になりにくいと言う話も聞き、上海在住の日本人の友人と二人で、西寧経由で列車でラサへ。
 ただ、当時はラサで降りるには旅行代理店を通してガイドをつけるのが必須でした。その証明書がないと、ラサの駅から出られず。
 駅で迎えてくれたガイドさんは、漢民族の女性で、地元の料理を食べようとしても衛生的でないと四川料理に連れていかれたり、現地で知り合いになったチベット族の人と共通語である中国語(普通話)で話していたら、チベット族の人を見下すような感じで邪魔をされ、なかなかのストレスでした。
 高山病はまあまあくらいでしたが、15年で街が一気に漢民族化され、さらに当時は緊迫している状況だったので、もう当面ラサに来ることはないかなあと。でもチベット人と交流するには、やはりチベット語が必要!と思い、上海でチベット語教室を探した次第。

 そこで知り合った先生は、青海省出身で、チベット語の中でもアムド語(アムド方言)の先生でした。
 初めてチベット語には、「ラサ語」、「アムド語」、「カンバ語」(方言というよりは、異なる言語ほど差があり)の大きく3種類があることを知りました。私がアムド語を習い始めたのは、先生との縁が大きいですが、次にまた行くならラサより自由のある青海方面と思ったということもありました。ちなみにチベット語の使用人口としては、アムド語が一番多いそうです。

 アムド語の学習は、まず文字の読み方から。
་(黒ポチです)までの文字をまとめて一つの音として読みます。上下前後に文字が3-4個くっついて一つの発音だったりで、読むだけで一苦労。
 ちなみに私が好きな文字はཉ་(発音はニャ、魚🐟の意味です)。
 ハングルよりもさらに難解。その上、単語レベルで他の言語と共通性が感じられず(中国語、韓国語は単語レベルで日本語との共通性があり、語彙を増やしやすいですよね。ラテン語形容も語源が分かれば発音が近かったり)、親戚や家畜の名称が性別年齢などで変わったり、そもそも書き言葉と口語で同じ意味なのに発音が全く変わったりと、細々と学習を続けていましたが、とても身につきそうになく。
 最初は対面授業だったのが、外国人や台湾人にチベット語を教えてるということで先生に○局から指導が入り、オンライン授業へと…

 そして早、8年。
 チベット語は全然上達していませんが、先生が毎日アムド語(チベット語のアムド方言)を少しずつ勉強しようと発信してくれるので、(先生はアムド語を中国語で解説。結局中国語を介している現状は変わらず)、備忘録的に日本語で学習記録をつけています。
 同じようにアムド語を学ぶ人(日本でどれくらいいるのかな?)の参考になれば嬉しいです。気がついたことがあれば、ぜひ教えてください。

2023年9月追記:
2023年の春から、思い立って日本でラサ語の学習を開始しました。
これまでアムド語とラサ語はかなり違うと聞いていたので、ラサ語の学習は混乱するかもと避けていたのですが、日本ではラサ語のテキストや授業が圧倒的に充実しているので。
始めてみて気がついたのは、混乱するほどにもラサ語は身についていなかったということ…。
日本語での発音や文法の説明に触れることで、やっと腑に落ちて理解できることも多く。
そして、やはりチベット語。ラサ語とアムド語での共通する部分も多いと感じ、ひとまずラサ語をしっかり勉強して、またアムド語に戻ってみたいと思うようになっています。
ラサ語を学習し始めて、半年ほどたちましたが、チベット語マスターへの道は、まだまだ遠いなあと。
のんびり続けたいと思います。


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