無題

眠るのが下手。苛立ちばかり募る。
ここ数日は気分の上下がある。運転も上手くなって、料理も楽しくて読書や音楽に打ち込めててハッピー!頑張ってる!と思える時もあれば、
なーんにもたのしくない。もう終わりにした方がいい。どうせ明るい未来なんて望めない。無為ないちにちがまた繰り返されるだけ。と。思ってしまう。その交互の繰り返し。
こんなにも5月頭の自然は美しいのに。散歩の帰りに桜を見ようと顔を上げたら、ひこうき雲が伸びていた。わたしもどこか遠くへ行きたい。ここではないどこか。もううんざりした自分ではないなにか。

過去に思いを馳せてしまう。そんなことに意味はない。昔の恋人との思い出なんて。向こうはきっともう忘れてしまっているし、きっと新しい奥さんと同じベッドで彼は夢を見て眠っている。わたしのなんと馬鹿らしいことよ。でもそこにしか、いまは、拠り所がないんだよ。雨の日のくすんだ風景、あの川は鴨川だったのかな。ビニール傘を居酒屋に忘れて帰った。晴れた日のバスの中で手を繋いでくれた。そんな記憶がフラッシュバックする。まぶしすぎる光。もう7年も前に別れた恋人の話。どうして忘れられないのだろう。どうして執着してしまうの?やり直したいなんて断じて思っていない。ただ、ふとしたときに換気扇の下で思い出してしまうだけ。まとわりつく虚しさ。人は愚か。


恋人が新しくできたら、こんなふうに夜にのそりと目覚めて、わたしを噛み殺そうとする承認欲求をうまくやり過ごせるのかな。最近は夜遅くなると人と話したくなってこまる。困っている。でももちろんわたしの友人たちは仕事や家庭のことで忙しいし、メッセージを送れば返してくれるものの、つきっきりでわたしの孤独を慰めてくれるわけではない。自分の孤独を埋められるのは自分の手だけだ。物分かりが悪いね。

新しい恋人が、万が一できたとて、そこから始まるすり合わせや努力の日々を思うと眩暈がする。わたしもいつかは結婚して、自分の家庭を持ちたい。でもそこまでにはクリアしなければならない問題がいくつもある。だいたい、仕事もしていなければ貯金もゼロの、障害に苦しんでしょっちゅう寝込む30歳超えの女を、一体誰がパートナーに選びたがるというのだろう。
まずそこをクリアできたとて、まだ問題は山積み。転勤することになったら?向こうの親との付き合いは?新しい家をどこに探す?そのお金は誰がどのくらい出す?
眩暈がする。まだ起こってもいない未来のもしものトラブルたちに。わたしにはもう、恋愛のエネルギーが尽きているのかもしれない。それを諦めたくないというより、まだ直視できないだけ。


明日は通販で頼んだデスクや食器を受け取って、料理をして。まぁ最低限それだけできればいいだろう。勉強と運動ができたら最高。がんばって休肝日にもしたい。何の意味が。うすく乾いた日々を地層のように積み重ねていくことに、何の意味が。


眠れない夜に日記を書くと、心が落ち着く。癒しなんてない。救済もたぶん、ない。今夜はアイマスクをして眠ろう。今のわたしに必要なのは暗闇。