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1月11日(水)「清水寺随求堂の胎内めぐり」

仕事の納品帰り、新年なのでと思い立って、清水寺へ行くことにした。
真冬のわりには暖かいし、たまには観光地でのランチもいいかと、
茶わん坂を上る。
観光の人たちは、日本の方より外国の方のほうが多いような雰囲気。

随求堂の前を通りかかったとき、「胎内めぐり」を説明する係員さんの声が聞こえた。
若いカップルさんに「入ってみませんか」と促している。
えぇ~、こんなところあったんかぁ。
清水寺には何回も来ているのに、随求堂「胎内めぐり」は記憶にない。
調べてみたら、平成12年からお堂に入れるようになったらしい。
そんなに来てへんかったかなぁ。

私も初めての経験なので、100円で「胎内めぐり」ができるのなら
やってみようと、靴を脱いで堂内に入る。
本尊の大随求菩薩は、私たちのどんな願いも叶えてくださるという
大悲のお母さん仏。
その母のおなかへ入る、つまり胎内に戻ってみるという体験ができる。

堂内は真っ暗。
まず、手すりを伝って5段ほどの階段を下りる。
その後は、壁の左側に沿わせてある数珠だけが頼り。
「左手は絶対に離さないでくださいね」と注意されていたので、
握る手にも力が入る。
漆黒の世界なので、両手に何も触れられなかったら、
自分がどこにいるか、わからないと思う。
目をぱっちり開いていても、何も見えない。
「そのうち一筋の光が見えてきますから」、
そこまで小さな歩幅で数珠を伝う。
ああ、見えた、細い一筋の光が差している。ほっとした。

さらに進むと、スポットライトが当てられた平たくて丸い石が現れる。
石には梵字が一文字、記されている。
「その字を撫でて願い事をすると叶いますよ」、
家族みんなの健康を願った。

それからまた数珠に沿ってへ進むと、出口の方向らしく、
だんだん明るくなってきた。
現世に出られたようだ。

全道程5分くらいの異世界、ずっと不安だった。
暗闇に一人放り出されて、動悸が激しくなるし、足は震える。

珍しい体験してるんやから、ゆっくりこの状況を味わったらいいやん
と思う自分と、怖いし早よ出よと思う自分とのせめぎ合い。
やっぱりもっと居たいし、この通路、戻ってみようかと頭をよぎったけど、
なんか怒られそうで、やめた。
母の胎内を逆行したら、この世には出てこられへんよなぁ。

少し前を行くカップルの声が聞こえていなかったら、
もっと怖くて、早々に駆け抜けていたかもしれへんなぁ。

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