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欲張ったらキリがない
20180306麦秋(1951;監督:小津安二郎)
おもちゃ箱から出して遊んだおもちゃはきちんとお片づけしないといけないよ。母に言われた覚えがないのは、母が言わなかったのか、言われても言うことを聞かなかったのか。
昔の人は娘が嫁に行くことを片付くと言ったが(この言葉は差別的であることは認識した上で)、この言葉について少し考えた。
歌舞伎や能、狂言などの伝統芸能で「型」というものの考え方がある
時計の針が動き出す、静かに、ゆっくりと
ぼくを探しに(2013:監督;シルヴァン・ショメ)
ポール青年が失った母(と父)を探す物語。
主人公のポールは言葉が話せないが、表情や仕草で彼の感情は豊かに表される。昔からの格言にもある。雄弁は銀。沈黙は金。
不思議なおとぎ話のような内容だが、真実を知ったポールが再起し家族を築いていくラストにホッと胸をなでおろす。欠如からの回復、再生の物語。
随所で奏でられるウクレレの音が静かで穏や
20180215タイピスト(2012;監督:レジス・ロワンサル)
灰被りの少女エラ(シンディー・エラ)の物語も、物語の母型のうちで有名なものの一つである。全世界に広く同様の物語が語られている。(シンデレラともいう)
タイピストもその王道を行くサクセスストーリーだ。
「花より男子」「エースをねらえ!」「ガラスの仮面」「のだめカンタービレ」などが思い出された。
フランス大会に臨む際に泊まったホテルのシーンの照明がゴダールっぽいと思ったら、監督が好きな映画
20180213バーフバリ 王の凱旋(2017;監督:S・S・ラージャマウリ)
物語には母型があると語ったのはジョゼフ・キャンベルだったと思うが、この作品も世界的に広く存在する物語の母型の一つのパターンに沿って展開する。
兄弟間の王座争い、姑と嫁の争い、国と民、善王と悪王、…。様々なモチーフが登場するが、「ライオン・キング」、「スター・ウォーズ」、「朱蒙」、「ハムレット」など、同様の型を持つ作品が想起される。
勧善懲悪の物語がスッキリとするのは人間的な感情なのだろうか
20180212バーフバリ 伝説誕生(2015;監督:S・S・ラージャマウリ)
大学の近くにインド料理屋があった。店長はインドからの出稼ぎで、「妻と子どもがインドで待っているから早く会いたい。次の休みはインドに帰るんだ」と笑顔で語ってくれた。単身赴任のお父さんの苦労を感じつつも、いつも笑顔の店長に会いたくて、何度もカレーを食べに行った。元気にしてるかな。
モノには組み合わせがある。阿と言えば吽。ツーと言えばカー。弥次さんに喜多さん、C3POにR2D2。ラーメン屋には週刊ジ
東京物語(1953;監督:小津安二郎)
杉村春子演じる長女志げの「お父さんったら、もう、嫌んなっちゃうわぁ。」というセリフと表情が大好きだ。このシーンは何度見ても楽しい。
父周吉と母とみが、三人の子どもが住む東京に来て、上二人の子どもから迷惑がられ、最終的に末っ子が一番優してくれる。このストーリー、どこかで見たなぁと思ったらシェイクスピアの「リア王」だった。そうか、これは小津版リアなんだな。
父は東京に住む旧友と再会し酒を飲むが
20180205 スリービルボード(2017;監督:マーティン・マクドナー)
ハムラビ法典の「目には目を」という文言を思い出す。戦争の世紀と呼ばれた20世紀から戦争のない世紀を夢見ていたが21世紀を2001年9月11日のNYでの”同時多発テロ”と呼ばれる事件からスタートさせてしまった。テロとテロに対する報復の応酬。暴力が恐怖と悲しみと怒りを産んでいる。
ヨーロッパ圏におけるテロも北朝鮮が核爆弾使用をちらつかせ世界を相手に訴えている動きも一連のもののように思われる。テロリ
20171217スターウォーズ ローグ・ワン(2016;監督:ギャレス・エドワーズ)
エピソード4の前日譚。デススターの設計書を巡るドラマ。物には来歴があり、多くの人の想いが込められている“物”の意味を感じた。それは憲法や人権などの抽象的なものについても同じかもしれない。多くの人の命が賭され、生まれ受け継がれて来た憲法や人権。その歴史を学校で習うが本当に理解するためには想像力が必要だ。
シリーズに一貫するテーマの一つである帝国に対する反乱軍という構図がここでも描かれる。それは
20180206 希望のかなた(2017;監督:アキ・カウリスマキ)
俳優が感情表現を抑制することにより、却って観客がその人物に感情移入しやすくなることがある。この作品もその手法が上手く効いていた。カウリスマキ監督も敬愛する小津安二郎監督にもその手法は遡ることが出来るかもしれない。
この映画を見ていてシェイクスピア劇を思い出した。主人公の青年が暴力に晒されるシーン。妹との再会シーン。人間ドラマはシェイクスピアの時代からさほど変わっていないのかもしれない。
20180209ヒットマンズレクイエム(2007;監督:マーティン・マクドナー)
好きな作品の作者の別作品を追いかけたくなる。比較を通してより深くその作者が表現したいものに迫れると思うからだ。
「スリービルボード」に続いての本作。2作品を通して監督が興味を持っているのは、友情、小人(障害者)、バタフライエフェクト(ある一つの行為が予期せぬ所で他に波及していくこと、(日本語で言えば“風が吹けば桶屋が儲る“)当たりだろうか。
「スリービルボード」では気づかなかったが、キリ