見出し画像

モードの世界で:展示会へ!

できたての名刺を持って、私たちは早速展示会場をめぐりました。この初回から日本からやってくる取引先の担当者たちをアテンドすることになっています。
私たちのお客さま方のために下見をして、おすすめのメーカー・ブランドをピックアップし、そこと取引が可能かどうかなど下調べをしておくのです。

取引が可能かどうか、というのは、重要な商談ポイントでした。
どのお店・会社も気に入ったブランドの商品を買い付けできるというものではなく、メーカー側はお店の雰囲気や他に扱っているブランドなどがそのブランドの方向性にふさわしいかどうか、そして、すでに同じ国内で取引先があれば、地理的なバッティング、営業的な取り決め等を考慮した上で、商品を扱ってもらうかどうかを判断します。

幸いなことに、当時、ヨーロッパのメーカーにとって日本はいろいろな点で安心して取引できる良いお客さんだったようで、初めての私たちもだいたい歓迎してもらえました。

営業担当者のみならず、デザイナー本人や生産の担当者もブースにいることが多く、商談用テーブルに座るよう促されると、コーヒーなどを出してくれて、みな詳しく私たちとお話しをしたがりました。彼らの物作りへの情熱、日本市場への関心が伝わってきてとても面白かったです。特にイタリアの靴メーカーの職人さんや、縫製工場の機械担当者などとお話ができたときは、例えばですが、デザイナー側の、「こんな縫い目をデザインアクセントにしたい」などの要望には、今まであり得なかったことだとしても、「やってみよう!」という職人のプライドで応じている様子を見たり、また、デザイナーも営業担当と私たちバイヤーとの商談に混じって、お客さんはどんなものを求めているのか。なぜ、このデザインは日本では受けないのか?など一生懸命に取り組む姿勢を見て、こうしてデザイン・生産・営業が一団となって、良いものづくり、常に新しい何かを生み出すことに情熱を燃やしているのだと、深く感心しました。のちに日本でデザインをするようになった時に、このあたりの事情の違いを感じることになります。

バイヤーの活動を通して、

ヨーロッパでは、特にフランスでは、ファッションは主要な産業であり、人が身に纏い始めた時からの長い歴史を持つ文化であり、芸術なのだとつくづく思い知ることになったのです☆


続く

画像1


1月の展示会シーズンを終えて、チュニジアに旅をしました。
初めての北アフリカでした。
フランス人に人気のリゾート地から、四駆のジープに乗り込み、サハラ砂漠で1泊するツアーに参加しました。途中で見ることができたユニークな砂漠の中のオアシス、村、廃墟はまるでスター・ウォーズの世界でした。写真は途中で立ち寄った砂漠の中のカフェの立て札で。パリ・ダカールというカーレースのコースでもあったこの辺りは砂漠と言っても石もゴロゴロしていて、なめらかでオレンジ色のサハラ砂漠は、また全く違う世界でした。

ちなみにパリ・ダカールはパリからセネガルのダカールまで、何も無い砂漠を縦断して12000kmを走るという過酷なレースですが、砂漠にロマンを感じるフランス人は多く、Paris-Dakarという名の男性用オードトワレも人気がありました。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?