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端午に丹後旅 その1 ィイ・ヤシロ・チ㉙

そんな積りではなかったのに、振り返ると端午の節句に丹後鉄道に乗って、丹後半島に出掛けていた自分のダジャレな行楽旅行に気づいて、ちょっと呆れた連休明けである。(ただ、タンゴを踊る程まで重症に至らなかったことには、正直ホッとしている)今回は、おばちゃん二人GWイヤシロチ旅のレポートバージョンをお送りしたい。

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日本海側の久美浜に宿を取ったので、最寄り駅の丹後鉄道久美浜駅までは、豊岡から移動した。たまたま旅の行程の都合で、青松号に乗車した。まったくの予備知識無しだったから、乗り換え時に素敵なデザインの一両だけの車両に驚いた。車内にはカフェサービスコーナーもあって、感じの良い接客の素敵なお姉さんがサーブしてくれていた。可愛らしいオリジナルスイーツやグッズも用意されているのを見ると、鉄分のないおばちゃん二人組もうきうきと心が躍る電車旅となった。

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流石にGW、始発駅で混み具合は満席に近かったのだけれど、好青年がガラガラとキャリーケースを引いているわたくしたちに、「どうぞ」と笑顔で席を譲ってくれたおかげで、二人座っての移動となった。ありがたや💖男性に席を譲ってもらったのは多分人生で初体験だと思う。此処まで生きてみるものである。ただただ嬉しい限り。旅は始まったばかりなので、出来る限り体力を温存したいこのタイミングに座らせてくれるなんて、「君は神様ですか?」なんて思うほど感謝感激である。

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初めて見る風景や車両内をキョロキョロと見回すうちに、目的地の久美浜に到着。駅の看板を見ると、龍伝説?なぜかまた龍がらみになってしまうわたくし。この看板の他にも、久美浜湾に突き出した明神谷岬が龍の形だとか恵みの雨を降らした龍のお話などが伝わってるとか。

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お天気は雲一つない最高の青空。しかも気温はそれほど高くはならず、日陰に入ればサラリと涼やかな体感である。駅舎も大変素敵な風情。昔、久美浜県があった時の県庁舎を再現したのだそう。「書状集箱」なるレトロなポストも傍らにあった。此処は5時までの観光案内とレンタサイクルの用意もある。元気な方々なら、この自転車で久美浜湾を気ままにくるりとまわったり街並み散策を楽しめるだろう。

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さて、わたくしたちは、この駅からバスに15分ほど乗って、観光案内所の女性から丁寧に教わった、和久傳の森に向かった。お目当ては食材にこだわったランチと安野光雅氏の作品を収蔵する安藤忠雄氏の設計する美術館である。初夏の光あふれ新緑に縁どられた美しい建築物、厳選された食材、心懐かしい安野光雅氏の作品で心身共にリフレッシュ。

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美術館での展示テーマは、「私の好きな子どものうた」と「京都御苑の花」。どちらも心のコリやストレスがほぐされる。歌詞が書かれているのでもないのに、題と絵を見ると、うたをついつい歌を口ずさんでしまった。自然と笑顔になるのも、不思議である。子ども時代に、さほど楽しい思い出もないと思うのだけれど。

https://www.kyotango.gr.jp/events/event/22244/

そうだ、わたくしは、子どもの頃に安野氏の描いた挿絵のあった、レコードブックで何度も歌ったり、お話を聴いたのだった。身体が弱くて、屋内でレコードのお話や歌を何度も聴いて過ごした幼児期だった。今思うと、一人でレコードブックを眺めて聞いているうちに、言葉や歌を憶えたのだ。わたくしは、自分が小学校に上がるまでに、既に黙読ができていたことに気が付いた。安野氏をはじめとする作家やナレーターの皆さんの手抜きなしの創作活動のおかげである。

そして、それは、世界文化社のドレミファブック全20巻プラス別冊1という、子どもを一人前扱いした、なかなかシビアなお話も満載、挿絵もナレーションも一流の方々による上質なものだったと、改めて理解した。これを選んで私に与えたのは、父?母?誰だったのだろう?今現在のわたくしのシニカルでクリティカルな(日本語で言うと、ひねくれた理屈屋という身もふたもない)性格形成に少なからず影響を与えていたのは、このレコードブックだ。まさかの自らの成育歴の発見をした美術鑑賞である。このドレミファブックについての記事も拝見し、そうだ、そのとおりと共感と懐かしさをおぼえた。↓

https://blog.goo.ne.jp/jikannoshizuku/c/00bb593778219a35fdf7d41473fa503e

それとは別に、安野氏の最晩年のお花の絵画は優しく、和やかな自然の恵みに温かな希望を感じる作品群であった。自然は季節の移ろいの中で花を咲かせ、実を結ぶ。人間も同じ生き物だと素直に感じ、テレビが垂れ流す醜い様々な出来事の方が不自然でおかしなことだと思い直すことができた。

更に、おりしも京丹後市で公演される、人間国宝の坂東玉三郎氏を描いた、非公開の絵画も特別展示されていて、大変ラッキーだった。この地のもう一つの伝説、天女の羽衣の舞踊劇の一こまを描いた大変美しい絵画(この後に、天女と羽衣が頻繁に出現する旅の後半があるとも知らず)を喜んで、じっくりと間近に鑑賞した。

https://mori.wakuden.kyoto/1119/

こうして、和久傳の森を堪能し大満足の気分で、宿にチェックインとなった。丹後旅一日目、混雑も行列も無縁のゆったり楽しい休日を過ごせた。久美浜湾を見下ろす宿からの絶景を眺めながら、青い電車+青い空+青い海と美しい青に染まる旅に、心から感謝した。

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最後までお読みくださり、ありがとうございます。和風慶雲。





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