春を感じる野菜たち ヌチグスイ*⑮
スーパーに若ごぼうが並んだのを見ると、「春が来た❣」と反射的に小躍りしたくなるわたくし。脳内がサンバっぽくなったり、ならなかったり。(笑)
母が甘辛で炊いてくれる、お揚げと若ごぼうの煮つけが好物なのだ。調理するのは結構手間がかかるのだけれど、これを口にしないと本格的な春が来ないような心持ちになるので、しっかり丁寧に下ごしらえ・あく抜きをして、母の味を真似て作る。この頃ようやっと、ほぼ同じ味を再現できるようになってきた。
若ごぼうのレシピは、ここ↑にとてもうまくまとめられていた。
関東では店頭に出回らない?という記述も他処で見かけたけれど、もし若ごぼうと出会える機会があれば、是非とも、この短い旬の出ものを取り逃がさぬようにされたい。なぜなら、葉っぱも茎も根っこも全部おいしく食べられるキク科の、とっても魅力的な野菜だから。
他にもう一つ、春の野菜と言えば、わたくしにとっての思い出の野菜、ウドがある。↓
ウドが栽培される、ウド小屋に足を踏み入れる機会を得たことがある。ひょんなきっかけで農道で声をかけてくれた農家さんが、「もう晩生だけど、残っているのを分けてもいいよ。」と小屋の中に誘ってくださった。春めいているとはいえ、吹き渡る風はまだ冷たかった。なのに、一歩ウド小屋に踏み入ると、その中はふんわりと温かく、独特な匂いのするしっとりとした空気に満ちて、足元もフカフカしていた。
野菜を育てるために、期間限定の稲わらの栽培ハウスを建てるとは!と初めて見る育成方法に驚かされた。其処で掘り出してくれたウドを示して、「これでいいかい?」とにっこりと笑顔を見せてくださったおじさんに、今も貴重な体験とおいしいウドへの感謝でいっぱいである。
分けていただいたウドは、春を感じさせる柔らかな乳白色にうっすらとピンクがかかる全体が可愛らしく、周りの皮をむいてから、包丁の刃を入れると、サクサクとみずみずしい良い音を聞かせてくれた。
下処理をして、同じく春の生わかめとのお吸い物や、キュウリとかまぼことの酢の物、ベーコンとの炒め煮など存分に味わった。鼻孔を通るすっきりとした香りも気持ちの良いシャキシャキの歯ごたえも最高だった。五感を刺激する心地よい春野菜、それがウドである。
さらに、春野菜は全体に栄養価が高く、冬の季節に体内にため込んだ不要物のデトックス効果もかなり期待できるようである。つまり、温かさを運んでくれる季節の到来を慶びながら、おいしく健やかになれる、まさにヌチグスイ。あなたは、どの春野菜がお好みだろうか?
自然が用意してくれる解毒とこれからの活動の後押しをしてくれる生命力をもたらす、春の恵みを積極的に取り込んでいこう。
最後までお読みくださり、ありがとうございます。和風慶雲。