見出し画像

注連縄(シメナワ)のはたらき ィイ・ヤシロ・チ㉕

伊勢神宮に無いモノ。鳥居の扁額、狛犬そして、鳥居や拝殿前のしめ縄。他の神社には普通に見かけるのに、伊勢神宮には無い。不思議だな、と思ったことだ。

特にしめ縄は、伊勢の街中の家々の玄関先にはスサノオに関わる蘇民将来の独特なしめ飾りが年中あるのと対照的だな、とまた思う。(蘇民将来のしめ飾りの謎については、また別に考察したい)

さて、改めてしめ縄、である。由来も表記も作り方、それに種類などなかなかに興味深いイヤシロチ・アイテムだ。

例えば、表記からして、いろいろ有る。シメとは素直に読めない漢字であらわされているのは何故だろう?疑問に思ったことのある人は、わたくしの他にもきっと沢山いらっしゃるはずである。しめ縄、謎が多すぎる!!!

ここ↓にしめ縄についてよくまとまった記事があり、理解が進んだ。おかげで、七五三についてまで知ることができた。

https://7idea-ad.com/ippan/753-shime.html

この表記を読むと、数年前実家が氏神である菅原道真公の秋の祭礼の陶屋(とうや・神社から深夜に御神霊をその年の当番の家屋にお迎えし、宮司と氏子たちで一日かけてお祀りし、翌日神社にお還りいただく慣習。わたくしの故郷のとうやはこの漢字だけれど、当家などの表記もあるらしい。)をうけたまわった体験を思い出した。祭の一週間前から、家屋全体をぐるりとしめ縄が囲み、祭事の前日には、室内に祭りのための特別な神棚がセッティングされた後、その部屋全体も内側から更にしめ縄で囲んだのだった

このような地域の習わしのこまごまとした決まりごとは、年長者の指示に従う。神具やお供えの種類と使い方など、ずっと伝わっていることに感動した。まさか、結婚して出てしまった後に、生まれ育った地域の中に昔から引き継がれている文化の存在とその値打ちに出会えるとは、思いもよらなかった。他にも、神霊を歓迎する獅子舞い数組をもてなす手伝いなど貴重な体験もさせていただいた。個人宅が神の居所になるという特異な陶屋の役割を引き受けた実母の決断に感謝である。

数日にわたる祭りを無事に完了した秋晴れの翌日、昼前にはしめ縄は撤去され、年に一度の神の宿泊所は普通の民家に戻った。この時のしめ縄は、標縄の意味あいだろう。神様は此処においでですよ、の標(シルベ)として。

シンプルなしめ縄については、標縄であろうが、他にも様々な意味合いや機能を持つしめ縄の世界がある。

http://simenawa.org/iroiro.html#iroiro.html

↑このサイトにはしめ縄のあらゆることがまとめられていて、情報の質と量が素晴らしい。ここで、しめ縄のことはたいてい調べられる。イヤシロチ巡りで出会うしめ縄に疑問が起これば、先ずはココを訪れればよいと自分のためにも記しておこう。

それにしても、人の仔は、いろいろと楽しい造形力を発揮するのだなと、改めて感心させられる。古代からは麻縄、真菰、今では藁を主な材料に、聖処を示し、ケガレから守り、または怨霊?を閉じ込める魔術(その時の縄は、標の「しめ」ではなく、その内側にあるものを閉じ込めるの「しめこむ」を意味するかも)を施すのかもしれない。

そうなれば、冒頭の疑問に対して、伊勢神宮は全体に十分に清まり、また閉め込む必要のある存在はいないとする解釈も可能だ。反対に大きな太いしめ縄のある処には、其処からナニカが出ていかないようにする仕掛けが必要ということだ。すぐさま巨大なしめ縄の出雲大社を思い浮かべ、他にも宮地嶽神社や諏訪の下社もと連想し、勝手に納得するわたくしである。

一方、しめ縄の形は、龍神や蛇など其処にかかわりのある存在も表現していたりする。わたくしがイヤシロチで目にした、「ザ・龍神」の形のしめ縄は、岡山の吉備津彦神社の楼門に掲げられていた。背後の吉備の中山の巨大な天津磐座(神を祭る石)磐境(神域を示す列石)への登拝後に振り返ると、ちょうど日の光がつよく拡がる青空を背景にとても神々しかった。中山に祀られているのは、八大龍王神なので、ナルホドしめ縄も「龍神」というワケである。縄は、二匹の蛇が撚り合わさる様を象っているのだから、それを使って大きな龍を作っているのはかなりの念の入れようにも感じるのだ。↓

https://tabiiro.jp/leisure/s/201697-okayama-kibitsuhikojinja/

このイヤシロチに夏至の朝日が楼門を通過する時は、きっと長い龍の入場のようなマジカルアワーになるだろう。この聖処に坐す神霊を崇敬し、これを考案した、この地に生きた人の仔の心にわたくしの心が共振する気がした。信じることの純粋さと、その表現力に。

さて、しめ縄絡みのご神事はあるのか?とググっていると、枚岡神社のお笑い神事を見つけた。このような皆で大声で密になって笑い合える福々しいお祭りが再び実施されますように、と願わずにいられない。↓

http://www.hiraoka-jinja.org/special/owarai-shinji.html

縄ないは心を込めて渦を作る作業だ。その縄の形にのせて、人の仔の笑いのパワーを一斉に空に解き放っているような、お目出たい光景。笑う門には福来る。天に愉快な気持ちを広げて、予祝するご神事のパワーは超絶最強と想像できる。クルクルとスパイラルに上昇する愉快な心たち。それこそが世界を幸せにするしめ縄の最高の魔術に違いない。

画像1

最後までお読みくださり、ありがとうございます。和風慶雲。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?