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手を伸ばしたくなる青だ

ふと見上げると
涙が出るくらい澄んだ空の青が広がっている
頬を掠めるひんやりとした風が
清らかな気持ちを運んできてくれた

週末に十年来の友人の舞台を観劇した
創り上げられた演出と脚本
他のどこをとっても
君らしい舞台でとても素晴らしかった

溢れんばかりの拍手喝采を浴びる作品も
そして何より君が誇らしかった

久々に再会した君は歳を重ねて
若々しかったあの頃よりもぐんと大人びて
立ち居振る舞いも表情も凛々しくなっていた

僕より少し高い身長は変わらずに
あの頃と同じように名前を呼んでくれる

社会に出ると中々下の名前で呼ばれることが少なくなった僕は
懐かしさとその優しい雰囲気に呑まれて泣いてしまった
君は僕の憧れだ

君は僕とは違う色の世界で一歩一歩着実に前進している
僕はそんな君を見守ることができる同じ世界線にいる

お互い違う色の世界でも僕らの関係は何も変わらない
どちらかが偉くなろうが
それを引き金に見下したりはしない

僕は君と会う約束をした
その時もあのふと見上げた青空だといいと
あの青を思い出した


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