体育会系でも文化系でもない!? 名大アーチェリー部——70メートル先の的を射抜く
東山キャンパスの“山の上”にある野球場の脇にある小道を抜けた先に現れる、フェンスに囲まれた細長~い空間。ここで名大アーチェリー部のメンバーが、70メートル先に設置された的を目がけて練習に励んでいます。9月4~6日に愛知学院大学の第三グラウンドで開催される「七大戦」に向けた練習を取材しました。
70メートル先のわずか12.2センチを狙い、矢を放つ
弓に矢をセットし、狙いを定めて矢を放ち、的に当てる。弓道と目的を同じくするアーチェリーですが、違うのは使用する道具と的までの距離。70メートル先の的の中心にある、直径わずか12.2センチの「10点エリア」を狙います。照準器を使うため矢を大きく外すことは少ないそうですが、最高得点の10点に当てるのは簡単ではありません。その精度を高めるため、練習ではひたすら矢を打ち続けています。主将の中山 弥央(ねお)さん(工学部3年)は「的の中心に矢が当たると素直にうれしい。ルールもわかりやすく、シンプルだけど奥が深いスポーツです」と魅力を話します。
全国大会経験者が入部し、競技志向に
コロナ禍で活動を制限していたこともあり、中山さんが入部した頃は「サークルのようにゆるい雰囲気だった」という名大アーチェリー部。しかし、昨年入部した現2年生たちを中心に、少しずつ雰囲気が変わってきました。2年生の中には高校時代に全国大会に出場経験のある選手が2人いることもあり、より競技志向にシフト。今年は新歓で熱心に勧誘したおかげで10名が入部しました。「1年生への指導を積極的にやってくれ、部を盛り上げてくれています」(中山さん)と、チームの雰囲気は良好です。大学からアーチェリーを始めた越野 哲郎さん(工学部3年)も「独学で射形を学んだので、あまりキレイなフォームとは言えません。いつも後輩たちに教わっています」と、2年生たちに感謝します。
部員の8割が未経験者。入部してすぐは練習用の木製の弓を使い、数メートルの短い距離で射形を身に付ける「近射」を行います。ある程度フォームができたら、10メートル、30メートルと徐々に距離を伸ばし、9月に開催される新人戦(30メートル競技)への出場を目指します。
なぜか部員の大半を占めるのが工学部の学生で、その理由を「モノづくりが好きな学生が興味を惹かれるのでは」と挙げる中山さん。「弓のカスタマイズで正確性が増すこともあり、メンテナンスが欠かせません。道具を工夫するのも面白いです」と競技以外の魅力を語ります。「いわゆる体育系とも違うし、文化部でもない。ちょうどその中間にいるような不思議なメンバーばかりです」と部員たちの雰囲気を表現します。
個人の力だけでは勝てない「七大戦」
七大戦では団体戦の総合得点をもとに順位が決定します。昨年大会は1年生ながら伊藤大智さん(医学部2年)が個人戦で優勝。しかし、団体戦では6位に終わりました。突出した選手がいても団体戦では勝てない現実を突き付けられた中山さんは「課題は選手層の薄さ」にあると身をもって感じています。
七大戦の団体戦は1チーム3人が制限時間2分以内に同じ的にそれぞれ2射するルール。いかにスピーディーに打てるかが勝負のカギを握り、打つ順番やスムーズな選手交代など、チームとしての戦略も重要です。「個人競技ではあるけれど、チームスポーツ的な側面もある」(中山さん)と意外な一面を話します。
今大会の目標は優勝。エースの伊藤さんと、もう一人の全国大会経験者である今田 天翔(てんしょう)さん(工学部2年)を核に、他のメンバーが少しずつ得点を重ねる戦略です。
中山さんは取材の最後に「来年の名大チームはかなり強くなると思う。そのために後輩たちが競技に集中できる環境づくりをしたい」と、さらなる活躍を願いました。
【追記】
七大戦 アーチェリー・最終順位
1位 北海道大学
2位 東北大学
3位 東京大学
4位 京都大学
5位 名古屋大学
6位 大阪大学
7位 九州大学
主将、中山弥央さんの大会終了後コメント:
「運営も点数も思うようにいかないことばかりで、部員たちには悔しい思いをさせてしまいました。自分は引退してしまいますが、来年の七大戦に向けて後輩たちには悔いのないように全力で頑張ってほしいです」
▼▽▼七大戦についての紹介記事はこちら▼▽▼
<リンク>
・名古屋大学 公式ホームページ