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歩いてトルソーを買いに行った。

数日前から作品を飾るトルソーが欲しいと思っていて、ネットで中古を検索していたがなかなかちょうど良いのが見つけられないでいた。
安いのを見つけても結局送料がかかるし、古いトルソーの傷み具合は実物を見てみないと自分が許せる範囲かどうかは判断できない。

今日はとくに用事が無いので、お散歩がてらリサイクルショップまで見に行くことにした。
行っても有るとは限らないし、無駄足かもしれないけど運動にはなるだろう。
徒歩30分の場所にあるその店には車で行った事しかなかったけど、歩いてみたら案外歩けるもんだ。

店の中をくるくる見てみる。
ホームベーカリーが3台位、3000円前後で売られていて、挑戦する気持ちと飽きて手放す気持ちを両方感じた。
北海道の木彫りのクマも数種類あって、懐かしくてついつい買ってしまおうかと思った。

この調子ではらちがあかないので店員さんに聞いてみた。
「トルソーありますか?」
店員さんは倉庫で探してくると言って居なくなった。
店内にはワイヤーで作られたオシャレトルソーが置いてあったけど、服を着せたいと思うと実用的ではない。私が欲しいのはよく服屋さんに置いてあるような、服を着せて着用感をきちんと見せられるトルソーだ。

しばらくして倉庫から持って来てくれたのは黒いトルソー。
(おお、それちょうどいいやつだ!)
だけどそれはお店で現役で使ってる物だったらしい。
店員のお兄さんと店長さんがそんな話しをしているのを、聞いちゃまずいかな?という気持ちで眺めていた。

私も倉庫に寄らせてもらって、他にもあるという在庫のトルソーを探したが、見つけたそれは私が希望する物とはちょっと違っていて、上半身だけのトルソーだった。
店長さん、店員さん、私の3人で、どうする?という顔をお互いチラチラ見やる。

店長さんには私が服を作る作家である事、服を展示する時に着せるためのトルソーが欲しい事を話してあったので、お店で現役で使っているというそのトルソーがちょうどいいよね、というのは目線で通じる感じだった。

「じゃあ、良かったらこのトルソーどうぞ。」
店長さんはそう言ってくれたけど、
「でも今使ってるんですよね?いいんですか?困りませんか?」
いいの?って思うそのままを聞いてみたけど、
「そこまで頻繁に使ってる訳じゃないので。」
そう言って譲ってくれた。
もちろん有料だけど。

こちらがそのトルソー。
傷がある所はあるけど上から生地を貼って修理すればいいし、気を使わないで使えるからちょうどいい位だ。しかもパンツが履けるタイプ。これがいいんだよ!トルソーによっては真ん中にパイプが通っていて、そうするとスカートしか履かせられないのだ。ありがたやありがたや!

店長さんにお金を払って
「ありがとうございまーす!」
と元気にお店を出た。

徒歩で来ているという事は徒歩で持ち帰るという事。いや、後日取りに来ても良かったのだけど、今日の事は今日おしまいにしたかったのだ。

トルソーのネジをゆるめて、高さを1番低い位置に調整して、片手に持って歩き出した。
アトリエまで約20分。
トルソーをまるでカバンみたいに持って歩いたのはちょっとおもしろかった。

今日はいい買い物できたし、いい運動もできた。
春夏の作品展がこのトルソーのデビューになる。
一緒にがんばるぞー!!

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