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【名大URA通信】vol.35「大学の先生は、小説家や芸術家みたい!?」

[1]【URAコラム】大学の先生は、小説家や芸術家みたい!?

吉田有人(よしだ・あると):名古屋市出身。東北大学大学院農学研究科で微生物の遺伝子工学を研究し、博士号取得(農学)。キリンビールをはじめとするキリングループ各社で研究開発に従事。2022年、T-GEx事業担当URAとして着任。趣味は気ままなドライブ。

ー吉田さんは企業時代、研究開発一筋だったんですね。

ー(吉田)定年退職するまでの約30年間、ずっと研究開発でしたね。最初の10年ぐらいは医薬品への応用なんかを見据えて、NEDOの大型グラントで糖タンパク質の糖鎖の研究をしていました。その後は機能性食品や清涼飲料の開発もしましたが、ビールの開発や製造をしたことはありません(笑)。

ーそして、大学に戻ってこられたんですね。

ー(吉田)退職すると、「”〇〇社”の吉田」という冠がなくなって、次に自分に何ができるのか、自分の価値がわからなくなるんですよ。私の場合、ずっと企業で研究をしてきましたが、「自由な研究をもう一度見てみたい」「今時の大学の研究はどうなってるのかな」という興味も湧いて、大学が候補になりました。また、自分の経験を活かせるのは研究分野や人材育成かな? と漠然と思いました。

ーそれで、若手研究者を育成するT-GEx事業に応募されたんですね。

T-GExが目指すのは、異なる領域の知と経験を縦横につなぎながら新たな課題に常に挑戦し、
チームを牽引して世界的問題解決を実現する高度な知の「開拓者」。
大型の国際的・学際的研究プロジェクトを牽引するPIや、産学連携や起業を国内外で
活発に展開する高度人材など、若手研究者が自らの定める方向で成長していくことを支援する。

ー(吉田)企業でも人の育成にはエネルギーをかけていましたし、T-GEx事業なら、失敗も含めて自分の経験が若い研究者たちの役に立てるかも、と考えました。「まぁ、出してみないと始まらないな~」と思い、興味本位で応募したところもあります(笑)。

ーT-GEx事業では、具体的にはどんなお仕事をされてるんでしょうか?

ー(吉田)T-GExは文科省に採択された、若い研究者を世界で活躍できるよう育成する事業です。研究者を個別に支援する場面もありますが、私の主な仕事は、育成対象者の採用、育成プログラムの企画・運営、連携機関や運営側の先生方の連絡調整、JSTの視察対応や報告など、事業の年間プログラムを円滑に動かす、全体コーディネーターとしての役割がメインです。

ー着任して1年経ちましたが、印象的だったことは?

ー(吉田)とにかく驚きの連発からのスタートでした。企業出身のURAは皆さん同じでしょうが、カルチャーの違いにはかなり戸惑いました。大学は個人主義の色が濃く、組織マネジメントの意識が希薄! 〆切が守られないこともしばしばで、計画的に事業を動かす業務の大きな障害になりそうだと感じました。大学の先生は、小説家や芸術家みたいな方なんだと直ぐに気持ちを切り替えましたけどね(笑)。とにかく、私の着任当時は自転車操業的で、〆切が目の前に来てからアタフタしてる、という感じでした。
 そこで「週1回、定期的に打ち合わせをします!」と宣言して、プロジェクトマネージャーの先生だけを必須に、他の先生方は可能な範囲で、という形で、どんどん物事を整理して決めていきました。そもそも打ち合わせの日程調整に大きな労力をかける無駄を排除したいという気持ちもありました(笑)。最初は2時間かけても課題が残りましたが、今では40分で済む日も増え、ディスカッションの時間を取る余裕もできました。

今でも企業時代のジャンパーを愛用している。
デスクで仕事しているこの後ろ姿を、よく見かけます。

ー企業時代の経験をプロジェクトコーディネートに活かしているんですね。

ー(吉田)そうですね。企業でも、研究所全体を動かす企画業務を担当していましたから、PDCA的な考え方は慣れていますし、沢山失敗も経験していますから、何かトラブルが起きても、引き出しから対処法を考えられる場合も多いです。
 こういう仕事は、経験が少ない若いURAには難しいかもしれませんね。URAの仕事も「個」の能力に依存する部分が大きく、ノウハウが残り難いマネジメントになっているところは気掛かりです。大学としても、学術研究・産学官連携推進本部としても、組織力を強化する工夫が出来るといいですね。

[2] NU Friends Scholarship (名古屋大学全学同窓会米国支部奨学金)のお知らせ

名古屋大学全学同窓会米国支部「NU Friends」では、将来米国を舞台に国際的な研究やビジネスなどに従事したい学生に対し、米国で行う学修や課外活動、米国の学生等とオンラインで行う活動など、キャリア形成に資する活動経費の一部を支援します。詳しくは下記の応募要領をご確認ください。
・支援金額:$2,000
・対象:名古屋大学学部生(大学院生は対象外)
・〆切:2023年6月10日
・募集要項及び申請書:https://drive.google.com/file/d/1Nhq4bvOBzY3ZZpzEnLHknFWoa8pYb31b/

[3]  学術研究・産学官連携セミナー「東海国立大学機構におけるオープンイノベーション活動の今後」

学術研究支援や産学官連携に関する最新情報や分析をお伝えする「学術研究・産学官連携セミナー」。次回は「東海国立大学機構におけるオープンイノベーション活動の今後」をテーマに開催します。
・日時:2023年5月17日(水)8:45~9:15 *オンライン
・話題提供:寺野真明
 (未来社会創造機構オープンイノベーション推進室 特任教授/室長)
・対象:東海国立大学機構所属の教職員
・申込:https://www.aip.nagoya-u.ac.jp/headquarters/seminar(機構内限定) 

*前回のセミナー動画は以下よりご覧いただけます。(機構内限定)

[4] 対面開催☆第93回名大カフェ「深海9801m、岩石学者が本当に欲しかったもの」

名大カフェの対面開催を再開します! 名古屋大学NIC館 1階のIdea Stoaを会場に、研究にまつわる話題をお届けします。ぜひ、お好きな飲み物を持参して、ご参加ください(会場では飲み物の提供はありません)。
・日時:2023年5月30日(火)18:00~19:00
・会場:名古屋大学NIC館 1階 Idea Stoa
・ゲスト:道林克禎(環境学研究科 教授/海洋研究開発機構 客員研究員) 
・対象:どなたでも
・詳細・申込:https://www.aip.nagoya-u.ac.jp/research-information/mcafe/event93

[5] 名大発アカデミックフラッシュ 第22報

若手研究者による若手研究者のための「アカデミックフラッシュ」第22弾!
・日時:2023年5月19日(金)12:00~13:00 *オンライン
・発表:名古屋大学大学院医学系研究科・加藤真一郎 特任助教
    名古屋大学宇宙地球環境研究所・飯島陽久 特任助教
    名古屋大学大学院工学研究科・中村真季 特任講師
・対象:東海国立大学機構の若手研究者が主な対象ですが、学部生、大学院生、教職員も参加いただけます。
・詳細・申込:https://www.aip.nagoya-u.ac.jp/event/16317.html

[6] 起業支援プログラム「第9回 1stRound」エントリー受付中

「1stRound」は、大学に関連する優れた技術や着想の事業化、社会実装を支援する国内最大の大学横断型インキュベーションプラットフォームです。現在、2023年6月採択分のエントリー受付中です。
・対象:名古屋大学を含む、1stRound共催大学13校に関連する起業家/起業チーム
・支援内容:コーポレートパートナー等の協力により、下記が無償提供されます。
 *最大1000万円のNon-Equity資金
 *クラウドリソースやオフィスなどの開発環境
 *キャピタリストと専門家による6ヶ月のハンズオン
・エントリー〆切:2023年5月29日(月)
・詳細:https://www.aip.nagoya-u.ac.jp/venture-support/16499.html

[7] ビジネスプランコンテスト2023 エントリー受付中!

東海地域のすべての大学の大学生・大学院生を対象とし、大学発ベンチャーの創出と起業家育成を目的とする「ビジネスプランコンテスト」。受賞チームには事業化支援プログラムや活動支援金等のサポートが提供されます。現在エントリー受付中。ぜひご参加ください。
・エントリー〆切:2023年5月28日(日)
・予選会:2023年6月3日(土)13:00~18:00 @名古屋大学 *オンライン可
・本 選:2023年6月17日(土)12:30~19:00 
     @デザインホール(名古屋市中区栄3-18-1 ナディアパーク3階)
・詳細・申込:https://tongali.net/biz-contest2023/

[8] Tチャン海外編2023 <2>アメリカ

テーマは「テクノロジー・スタートアップとしての知的財産の活用」。ビジネスを確実に成功させるためには、知的財産(I P)の保護が不可欠です。特許を中心に、知的財産権制度をうまく利用し、会社のビジネスプランの範囲内で最大限の利益を得るためのヒントや戦略についてお話しします。
・日時:2023年5月18日(木)18:00~19:30 
・ゲスト:Alexandros Zan Diamantis氏(米国特許弁護士)
・対象:どなたでも参加可、特に大学生・大学院生
・会場:名古屋大学 NIC 3階大会議室
・言語:英語
・詳細・申込:https://tongali.net/events/tic2023-intl-2nd/

[9] 名大研究フロントライン ★ポッドキャスト★

最後までお目通しいただきまして、ありがとうございました!
■発 行:名古屋大学 学術研究・産学官連携推進本部
■問合せ:企画・プロジェクト推進部門 情報発信ユニット  
■メール:outreach@aip.nagoya-u.ac.jp  電話:(747)6790


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