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名古屋大学 研究フロントライン

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ポッドキャスト番組「名古屋大学 研究フロントライン」をテキストでお届けします♪ 名古屋大学の最近の研究の話題を、週に1回、柔らかめのトーンで紹介しています。
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#AI

提案! AIに任せっきりじゃない構造ベース創薬

今、創薬のスタンダードとなりつつある構造ベース創薬。英名のStructure-based Drug Designを略してSBDDとしても知られるこの創薬メソッドに、AIを導入する例はいくつかあります。 そんな中、「AIに従うのではなく、AIと協調する」アプローチを提唱するのが阿部一啓さん(細胞生理学研究センター/大学院創薬科学研究科 准教授)。胃の中で胃酸がどのように作られるか、そのしくみの解明に長年取り組んできた、構造生物学の研究者です。 まるでAIを共同研究者かのよう

ミクロの仕組み、AIでアプローチ ─多結晶材料情報学の幕開け─

今回は、以前紹介した金属3Dプリンターの話題に続く、新しい材料研究のお話です。 多結晶材料学という分野をご存知ですか?少し目線を上げて周りを見わたせば、多結晶が必ず目に入る…スマホの液晶画面、セラミックスのお茶碗、太陽光電池パネルなどなど、実は多結晶は暮らしに欠かせない存在です。より優れた性能の多結晶の開発を目指す多結晶材料学に、AI(情報学)を活用していこうとする動きが、ここ名古屋大学で起きています。 今回お話を伺ったのは、宇佐美徳隆教授(工学研究科)と、工藤博章准教授

70. 治療薬予測、AIで素早く!

こんにちは。理学研究科修士2年、成瀬美玖です。 今回は、AIを使って細胞の形から適切な治療薬を予測する研究を紹介します。 創薬スクリーニングの難しさ 病気の治療に欠かせないのが薬です。薬は、原子が集まってできた「分子」ですが、どのようにして作られるかご存知でしょうか?様々な方法がありますが、一般的には病気の「モデル細胞」と呼ばれる発症メカニズムと同様の現象を示す細胞を使って、数万〜数十万にも及ぶ膨大な数の分子の治療効果を評価して、薬としての効果を示す分子を選抜していきます

AIとタンパク質デザインのコラボ、好相性! 【27】

「タンパク質」といっても、食べ物や栄養の話ではありません。 実は今、タンパク質が暮らしに役立つ、と注目されています。 そんなタンパク質を創り出す「タンパク質デザイン」の研究を紹介します。 ↓ 音声でもお届けしています! みなさんは、「デザイン」と聞いて、何をイメージされますか? 私は、ファッションやインテリア、ウェブデザインなんかを思い浮かべましたが、実はタンパク質にも「デザイン」の概念があるんです!  そもそも、デザインとは日本語で「設計」のことで、「車を設計する」と