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名古屋大学 研究フロントライン

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ポッドキャスト番組「名古屋大学 研究フロントライン」をテキストでお届けします♪ 名古屋大学の最近の研究の話題を、週に1回、柔らかめのトーンで紹介しています。
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2022年3月の記事一覧

50. 植物の気孔はじっくり時間をかけて作られる!

植物の気孔ができるときに、細胞分裂でどのようなことがおきているのか、明らかになりました。世界を変える新しい分子を発見・開発するトランスフォーマティブ生命分子研究所(ITbM)イチオシの研究成果です。 ↓音声でもお届けしています♪ 植物の体の表面にある気孔は、孔辺細胞という1対のゼリービーンズのような形の細胞からなり、まるでヒトの唇のような形をしています。その間のわずかな隙間を開閉し、二酸化炭素や酸素などのガス交換と水分調節をおこなっています。 気孔は、植物の成長と生存に

49. 超伝導の起源にせまる! カギは「揺らぎ」

今回は、ツイスト2層グラフェンという物質の研究をご紹介します。理学部三年、髙山楓菜です。 ↓音声でもお届けしています♪ グラフェンを含めたナノカーボン分野は、名古屋大学が得意とする分野で、第45回でもツイスト2層グラフェンの別の研究をご紹介しました。 上の記事にもありましたが、ツイスト2層グラフェンは炭素原子をシート状に並べたものを2つ重ねて、わずかに回転させたもののことです。特に、回転させる角度を1.1度にしたものは魔法角ツイスト2層グラフェンと呼ばれ、超伝導が現れる

48. 方角を感知、渡り鳥のナビシステム

もうじきツバメがやってくる時季ですね。第48回目の今回は、渡り鳥が迷わずに目的地にたどり着く不思議に迫る研究です。 ポッドキャストでもお届けしています♪ ツバメのように夏を日本で過ごし、冬に南に移動する渡り鳥を「夏鳥」といいます。今回は、夏鳥の一種「オオミズナギドリ」に着目した研究です。 オオミズナギドリという名を初めて聞く方もいるかもしれませんが、バイオロギングという分野では世界で最も研究が進んでいる動物の一つだそうです。バイオロギングは、生き物を意味する「バイオ」と

47. ヨルダン遺跡調査続報 - 石器に見るホモ・サピエンスの応用力

こんにちは。理学部4年の小川詩織です。 今回は、ホモ・サピエンス繁栄の背景に、石の特徴を石器に活かす応用力が見えてくる研究をご紹介します。 以前に、ホモ・サピエンス拡散の出発点となったヨルダンの遺跡の発掘調査についてお届けしました。今回は、その続報です。 なぜホモ・サピエンスだけが人類として生き残ったか…。その有力な手がかりをつかもうと、名古屋大学などの研究グループが調査しているのが南ヨルダンの旧石器遺跡群です。その1つのトール・ファワズ遺跡の年代を約4万年前と推定した成