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壬生義士伝の勧め

 ついさっき、壬生義士伝を観終わりました。Amazonプライムで配信中なので、新撰組が好きな人は是非観てみてくださいね。吉村貫一郎という隊士にフォーカスした作品です。
 ネタバレを最小限に抑えて、この作品の感想をば。

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B00F2ZXYWY/ref=atv_dp_share_cu_r

 まず、キャスティングから。
 新撰組を題材にした作品、漫画であれドラマであれ映画であれアニメであれ、近藤勇、土方歳三、沖田総司、(芹沢鴨)あたりはあんまり雰囲気に差がありませんよね、この辺りはキャラクターとしてのイメージが固定されていたり、肖像画のイメージが完全に定着していたりしていますしね。沖田総司なんかは、完全に危うく儚いながらも茶目っ気のある美青年といったイメージがあるのでは?
 この作品の沖田総司役、なんと堺雅人さんです。ちょっと驚きましたが、端正な顔立ちと堺雅人さんらしい笑顔が沖田役にマッチしすぎている印象。谷三十郎の弟を近藤家の養子とするシーンでは、斎藤一とともに襖を挟んでそれを耳にする沖田ですが、腹に何かを抱えているような、皮肉るような、そんな笑顔がいかにも沖田らしいです。他にも吉村を写真に誘って面白がったり、真剣を使わせたりと、危うさと可愛らしさの調和が取れすぎている印象。唇の薄い俳優さんの笑みは良いですね。
 近藤勇や土方歳三はかなりいつも通りの雰囲気です。あとは斎藤一と永倉新八、谷三十郎、伊東甲子太郎あたりは作品によってイメージが割とばらけますよね。(他の隊士もばらけますが今回出てくる隊士のみということで)それぞれの作品でどんなキャスティングになるのか、ちょっとワクワクするところです。
 そして今回、重要人物として斎藤一がフォーカスされています。斎藤一についてはミステリアスな雰囲気で描かれることが多いような気がしますが、今回の斎藤一、序盤はかなり傍若無人というか、人格破綻者というか、人間を糞袋と呼んで人間味を感じさせないキャラクターですが、だんだんとなぜ斎藤一がそのような振る舞いをしていたのかがわかってくるようでした。きっと彼らは「優しさ」なんてものをありありと見せ付けていては、生きることすらままならなかったのでしょう。なので逆に吉村のような人間は腹立たしかったのでしょうね。優しくて、脱藩してなお故郷を思う気持ちを持っていて、守るものを心に置いたままの人間が。
 しかしそんな斎藤一も、だんだんと吉村との距離が近くなり、少しずつかれの人間らしい姿が見えてきます。多くは語りませんが、吉村と斎藤のおにぎりのシーンは必見です。

 吉村はとにかくいいですね。序盤はがめつい人間なのか?と思わせるシーンがコミカルに描かれていますが、なぜ吉村がああまでがめついのか、物語が進むとわかるようになります。彼は義に忠実なキャラクターであり、守るべきものを見失わない心の強い人でしたね。それぞれを天秤にかけざるを得ない状況に置かれながらも、最後までどちらも失わずに生きました。
 途中、吉村の息子である嘉一郎が吉村からの手紙をこっそり読むシーンがあるのですが、このシーンで当時吉村の家族が置かれていた状況をより鮮明に理解することができるようになっています。追いかけてきた大野千秋に気づいた嘉一郎、見るに耐えませんね。心が辛い。
 この大野千秋は、吉村の幼馴染みとして描かれ後に身分の差ができてしまう大野次郎右衛門という架空のキャラクターの息子なのですが、親子共々幼馴染みでありながら身分の差がありありと描かれていて、人々の歩く道の違いがはっきりとしてしまいます。しかし、吉村と次郎右衛門、嘉一郎と千秋それぞれに身分の差を超えて友情が先行するシーンがあります。胸が熱くなる展開です。


 それにしても、しづと大野/吉村の関係を考えると後にみつが結婚する相手、、、因果ですねえ。

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