私の難しかった生活

私は産まれつき他の子とは違う部分が多々ありました。

・早口で話されると聞き取れない
・声の音程によっては言葉として認識出来ない
・関節が弱い
・人に触れない
・集団の中にいることが出来ない
・においに敏感
・人の表情から相手の心境を読み取れない
・なぜそうなのか。を説明して貰えないと分からない
・続けて話すことが出来ない
・セロトニンの分泌が少ない

こういった体質、性質でした。
他にもあるのですが、特に生活するにあたり難儀したことを抜粋しました。

それではどう困り、どう対処していた又はどうなっていたのかをお話させていただきます。

人は怒ると早口になってしまう人がいます。
もちろん相手は怒っていますから私が理解出来ていないと更に怒ります。
それの繰り返しです。
悪循環です。
あまりにも分かっていない私は脳の異常も疑われました。
保育園から

『注意したが理解ができていないと思われます。脳の障害の可能性があるかと思いますので、1度検査を行ってあげてください。』

こういった事を何度も連絡帳に書かれていました。
小学校でも同様です。

早口で話す先生の授業は全く理解も聞き取ることすら出来ていませんでしたし、声の低い先生、高い先生の声は音でしか聞こえず言葉としては認識できません。
そうなるとただ板書を頑張るしかありません。
ですがそこで問題なのが関節が弱い事です。
早く文字を書くということは出来ないのでどんどんまだ写していない部分が消されて行きます。
その結果授業を受けていてもちんぷんかんぷんです。
もちろん点数は下から数えた方が早く、教えている先生も『なぜ教えているのに出来ないのか?』という疑問から脳の障害を心配されました。
親も心配になり検査をするもこれといった異常はありません。

そして私は『馬鹿』というレッテルを貼られました。

更に私を苦しめたのは人と触れ合う授業です。
体育、グループ授業は兎に角苦痛でした。

まず問題は体育です。
もちろん更衣室は狭く、人との距離は近くなります。
これについてはほぼ人が居ない状態になってから着替えていました。
中学生になると女の子は制汗剤を使い始めます。
もう臭い地獄です。
混ざり混ざった匂いは完全に私の中で臭いと化しめまいを起こさせるほどでした。
息を止めて素早く着替え、冬服の際は下に制服を着たままにしていました。

スポーツをしていると体がぶつかります。
それが怖くて上手く立ち回れません。
バスケットボール、プールは恐怖でした。
体操服も常に冬用で居たい私と、夏は夏服、冬は冬服という決まりのある学校との意地の張り合いです。
プールに関しては風邪や生理を理由にし1度も入ったことがありません。
そもそも屋外のプールである為色々な物が浮いています。
そして臭いも。
本当に無理だと思った時は保健室に逃げていました。

グループ授業では机を合わせて人との距離が普段より近くなります。
通常の授業でも教室内にいることすら苦痛で仕方がない私です。
もっと距離が近くなるグループ授業は恐怖でしかありません。
なるべく端の方に机を置き、椅子の端の方に体を置いていました。

さらに私を苦しめたのは人の表情の読み取りが出来ないことです。
グループ授業も普段の生活も相手が怒っていることに気付けません。
周りは気付いて気を使っているのに対して、私は全く気付かず火に油を注ぐことも少なくありませんでした。
そして冒頭早口で話されるとに繋がります。
仮に聞き取れたとしてなぜそう怒っているのか。を理解出来ず、なぜ?なぜ?と聞いてしまう私。
ヒートアップする相手は怒りのあまり手が出ることも少なくありませんでした。

そしてさらに『馬鹿』というレッテルは強くなりました。

コミュニケーションには必ず『続けて話す』ということが大切になってきます。
私はそれができません。
なぜなら『どの言葉が今の自分を意見を表すのに正しいか?』を考えてしまうからです。
話し合いの中でそれを考え思い浮かんだ時にはもう既に結論は出ているんです。
そこで私はこう思う。と伝えると周りはもう終わったことを言うのはおかしい。となります。
そこで不満が生まれどんどん周りとは決別していきます。
私は話し合いに入ることすら出来なくなっていきました。
自分自身もそれでいいや。と投げやりになっていたのです。

そして1番困ったのはセロトニンです。
幸福感というものが無いのです。
例えば部活です。
私は美術部でした。
美術部ですからもちろん作品を出展するということがあります。
そして極々稀に賞を貰うことも。
周りは良かったね!すごいね!と言っていますが、私は何も感じないのです。
この絵が賞をとったんだな。というどこか他人事でした。
そんな私を見て周りの部員の先輩や同級生、後輩は賞を貰ったのになんで喜ばないのか?という疑問を抱きます。
中には聞いてくる人もいました。
ですが説明が出来ないのです。
そうなんだ。としか思わない。と言えば顰蹙を買う、何様のつもりなのだと。
賞を取れたー!と喜んでいてもその後の会話についていけないのです。
賞を貰った時はできるだけ遠くに、又は作品を出さなくなりました。
顧問には怒られますが、その後の面倒事を考えると出したくないのです。

結果として私は『馬鹿』を続けていくことになりました。
ただ体質や性質が違うだけです。
ですが、それがどうにも生活に負担を与え周りからの目もそれに伴い変わっていったのです。

以上が私の難しい生活でした。

最後に私が伝えたいことをお話させていただきます。
世の中にはこういった事で悩んでいる方がいらっしゃるかもしれません。
そしてそれに伴った何かを強いられてる方がいるかもしれません。
そういう風にするしかない。我慢すればいい。と思っている方がいらっしゃるかもしれません。
私のように『馬鹿』を強いられている場合も。

そういった方々に伝えたいことは

【自分の体質、性質を先に話しておくこと】

受け入れられても、受け入れられなくてもです。
伝える事で何かが変わるかもしれません。
また、伝えておくことで周りの負担も減るかも知れません。
話せない場合はそっと離れてもいいのです。
そこに固執して苦しむようであれば、否定されるようであれば離れることも1つの手です。
周りを守るより自分を守ることの方が大切なのです。

そして周りの方は理解しなくても、受け入れられなくても

【そういう方もいるんだ】

ということを忘れないでください。
忙しさのあまり忘れてしまうこともあるかもしれません。
ですが、思い出した時にそうだったな。と思うことで自分自身のストレスを軽減できる場合もあります。
ストレスが軽減されれば自分自身の心も守れます。

常にではなくても
伝えて、分かってもらっておく。
伝えてもらい、分かっておく。
これだけで日常のストレスは少し軽減されます。

お互い心穏やかに過ごせますように。