見出し画像

特別な料理でも、流ちょうな英語でもなく。一人一人のゲストに合わせた「ほんのひと工夫」を加えています 

NAGOMI VISITホストの方へのインタビューをご紹介します。東京にお住まいで、NAGOMI VISITが活動をスタートした2012年当初からホストとしご登録され、長年受け入れを楽しんでくださっている室さんにお話を伺いました。前編と後編に分けてお届けします。
 
▼前編はこちら
サポーターと役割分担。子育て中のホストがやっている、ゲストの受け入れを楽しむための工夫
 

事務局)子どもがいない構成のゲストの受け入れもたくさんされていらっしゃいますが、そのような場合、室さんのお子さん達に対してゲストの反応はどんな感じですか?

 
わが家のプロフィールを見た上でマッチングが成立するため、子どもフレンドリーな方が多く、子どもに対してとてもやさしく接してくれて、子どもに声をかけてくれますし、一緒に遊んでくれることもあります。

イスラエルのカップルのゲストがいらした時には、「イスラエルでは子どもを大切にする文化が根づいているんだよ!」と教えてくださったり、オーストラリアのカップルのゲストがいらした際には、互いの国の政治や経済について話している文脈の中で、「オーストラリアでは出産後地域のママ達をつなぐコミュニティ作りを政府が支援しているんだよ」と教えてくれて、子育てに対する国の取り組み例についてシェアし合ったこともありました。

駅からわが家までお連れする際に、2歳の子どもが走り回ってしまった時には、一緒に伴走してわが家までマラソンしてくれたこともありました笑。

事務局)これまでの交流で、特に記憶に残っているエピソードはありますか?


どの受け入れの経験も、本当にひとつひとつが大切な思い出です。あえてひとつ挙げるとすると、「私もゲストもお互いの国の料理を作ってシェアする」という密かな私の夢が叶った時。

私はお料理を作ることが大好きなのですが、同時に色んな国のお料理を食べることも好きで、お料理のexchangeのようなことをいつかやってみたかったのです。

イギリスのパブでシェフをしている彼と彼女のカップルがいらした時、事前のメッセージに「シェフをやっているからお料理を作ってもいいよ!」と書いてあって、「ぜひに!」とお願いしました。

当日、ゲストは事前に日本のスーパーで材料を買ってきてくださって、カリフラワーチーズ(ボイルしたカリフラワーに濃厚なチーズソースをかけて焼いたお料理)とヨークシャープディングを作ってくれました。さすがプロで、特にカリフラワーチーズが絶品、感動しました。

「イギリスでは、週末に家族で集って、プディングとローストしたお肉や野菜を皆で食べるのが習慣なんだよ」と教えてくれて、彼らの週末に仲間入りさせてもらったような、とても素敵なひと時でした。

masako_muro1
「ゲストとお互いの国の料理を紹介しあう」という夢が叶った

事務局)最後に、あなたにとってNAGOMI VISITでホームビジットの受け入れをすることはどんな意味がありますか?今はまだホームビジットの受け入れに迷いがある方にアドバイスがあればぜひお願いします。


「一生に一度かもしれない日本への旅行。最高のものにするために私ができることを届ける」という想いのもと、一人一人のゲストに合ったプログラムを考え、提供しています。

世界の人口は75億人、その中で異なる国で暮らしていたホストとゲストが、ほんの偶然からプログラムを通じて出会い、食卓を共にする。相手を考えて心を込めて準備をすると、たった2時間というわずかな時間でも、心が通じ合うなんとも言えないマジカルな瞬間があります。この瞬間が好きで、私は長年ホストを続けています。

また、日本にいながら、色んな国の生活や文化について触れることができることも、意義深いと思っています。ローカルな方のレンズを通じて見える街の様子や生活、街の魅力は、新たな発見に溢れています。

例えば、ここ数年予約が増えているイスラエルのゲストの場合。以前イスラエルに行った時に「なぜこの国ではこんなにスタートアップ企業がたくさん立ち上がってるのか?」と疑問に思ったので尋ねたところ、「イスラエルという国自体がスタートアップだからね、新しいことをする精神は自然と持っているんだよ」との返答をもらいました。

国の成り立ちと国民のマインドの関係性について聴くことはなかなかないので、とても新鮮でしたし、納得感がありました。色んな話をしているなかでも、「これはやってみてもよいかもだね」等、次々とサービスのアイデアを話している様子からも、こうやってどんどん新しいビジネスが生まれていくんだな、と察しました。

受け入れに迷いのある方へのアドバイスとしては、「ゲストのことを思い浮かべながら、自宅のご飯をおすそわけするような感覚で、気軽に受け入れてみましょう!」ということです。

NAGOMI VISITの主旨は、手の込んだお料理でゲストをおもてなしすることではなく、通常の家庭料理を通じて交流することであり、ゲストもそのような気持ちでいらっしゃいます。

50名程度受け入れる中で、私自身あの手この手でがんばった時もあったのですが笑、普段作らないようなものを出すよりも、日本の家庭で一般的に作られているローカルなメニューの方が好評だということに、途中で気づきました。

お料理はあくまで一般的なものでも、そのメニューを選んだ理由をお伝えしたり(桃の節句の時期なのでちらし寿司にした/今の季節が旬のたけのこを使った等)、ゲストの国について事前に少し調べて質問を考えておいたり、そのゲストが楽しんでくれるようなほんのひと工夫を加えるだけで、とても素敵な体験となります。

英語に自信のない方の場合も、

・話したい気持ちさえあれば大丈夫、単語と表情だけでも伝わるので、コミュニケーションをとりたいという気持ちを表現する

自分もゲストも互いの国の写真をスマホで見せ合う (言葉だけだと大変ですが、写真があればぐんと伝わりやすくなります)

・卓上で一緒に何か作る (言葉でなく所作でコミュニケーションがとれますし、一緒に何か作ることで場があたたまります)

・メニューと食材を紙に書いて渡す (説明の助けにもなりますし、ごはんを温めている間や配ぜん中の場つなぎにも有用です)

等々、方法はたくさんありますので、がんばってみてください。
必要であればいつでも相談に乗ります!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?