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第1回限築杯に向けて2 ~侵略者へのファイレクシア流対処法~

ハッピーファイレクシア!(挨拶)

 前回の解説記事について、多くの方に御好評いただきました。これもこの次元に住む偉大なるヨーグモス様へ忠誠を誓ったたくさんの同志のおかげでございます。ただ、80名を超える参加者が集まった限築杯にもかかわらず、黒単で参加しようとしているファイレクシア人があまり見受けられないように感じます(ギタクシア派調べ)。
 というわけで、今回はインベイジョンブロック構築という環境下で、採用率の高いカードとその対策について微力ながら解説していきたいと思います。「噓か誠か」や「ウルザの激怒」のような、どのデッキにも同様に脅威となりうるカードに関しては今回は省略しておりますので御了承ください。

《十二足獣/Dodecapod》[APC] 茶U

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対戦相手の効果で手札から墓地へ送られる場合、5/5となって戦場に現れるクリーチャー。黒単で高い採用率を誇る「貪欲なるネズミ」の効果は対戦相手が選んだカードを捨てさせるため、2ターン目にこのクリーチャーが降臨してしまう状況もしばしば。また、無色のクリーチャーのため「サーボの暗殺者」の効果で破壊することができず、早々に戦場に出てしまうと対処が難しいクリーチャーとなります。
<対策>
このカードが採用されるのは主にサイドボード、つまり2ゲーム目以降となります。黒単で相手が選んで手札を捨てるハンデスは「貪欲なるネズミ」もしくは「惑乱の雲」が多いかと思われます。そもそもの対策として、このタイプのハンデスを採用しない、という極端な例もあります。また「無謀な悪意」は黒のクリーチャーこそ対処できませんがアーティファクトクリーチャーは破壊可能です。

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《名誉回復/Vindicate》[APC] 金R

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対象のとれるパーマネントであれば種類問わず破壊可能な超万能除去。クリーチャーだけでなく土地まで破壊可能なため、多色環境となるインベイジョンブロック構築では使用用途が多岐に渡る優秀なカードです。ソーサリーであるため使用タイミングは限られますが、動きの遅い黒単にとっては恐るべき驚異の1つとなります。
<対策>
黒には2種類のプロテクション白を持つクリーチャーが存在します。対戦相手の平地の数だけP/Tが上がる「無法の騎士」と、もう1種「墓所の天使」です。

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「墓所の天使」は飛行とプロテクション白、そしてインキの染みを持つクリーチャーです。プロテクション白を持つ2種のクリーチャーであれば、除去を「名誉回復」に頼っていたデッキは処理することが難しくなります。また「万物の声」や「探索するフェルダグリフ」のような白の優秀なフライヤーをかわしながらクロックを刻むことも可能です。

《幽体オオヤマネコ/Spectral Lynx》[APC] 白R

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2マナ2/1、再生とインキの染みを持つクリーチャー。このクリーチャーのせいでアグロデッキが大失速する展開となることもしばしば。また、パワーが2あることから多くのクリーチャーを打ち取ることが可能で、2ターン目に着地してしまうと処理できない場合にクロックが稼げず負けてしまうこともある侮れないクリーチャーです。
余談ですが、このクリーチャーの北京語版はインキの染みがないエラーカードとなります。

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<対策>
白のクリーチャーのため、上述の「無法の騎士」、「墓所の天使」で問題なく対処可能です。これ以外だと、「疫病吐き」も有効なカードとなります。

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再生を許してしまいますが、再生はタップ状態となるためこちらの攻撃を守る壁としての機能は妨害することが可能です。「サーボの暗殺者」であれば再生を許すことなく破壊可能ですが、黒と同数以上の白のクリーチャーが必要なため過度な期待は厳禁です。

《ジェラードの評決/Gerrard's Verdict》[APC] 金U

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2マナで相手の選んだ手札2枚を捨てさせる驚異のハンデス呪文。さらに土地を捨ててしまうとライフを回復されてしまうため、どのタイミングで使用しても強く使える優秀なハンデスとなります。「貪欲なるネズミ」等のハンデスは後半は余った土地を捨てられるため効果が薄いですが、このカードだとそれさえもライフに変えてしまいます。
<対策>

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死ぬがよい。

《翻弄する魔道士/Meddling Mage》[PLS] 金R

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カード名を指定し、指定されたカードを唱えることを禁止してしまうクリーチャー。デッキの中核を担うカードを指定することで、環境によってはデッキを機能不全にすることも可能な凶悪なクリーチャーとなります。また、P/Tも2/2とアグロデッキ相手のチャンプブロック要員としても最悪使えるクリーチャーとなります。
<対策>
黒単において一番指定されたくないのは「無謀な悪意」やクロックを高める「アンデッドの王」でしょうか?どちらにせよ、ファイレクシア人相手でなければ黒単における最重要カードなんでピンポイントで指定できるとは思えません。黒単は前回の記事でも解説しました通り、非常にマイナーなカードが多数採用されています。故に、対黒単でこのクリーチャーを上手く使ってくるプレイヤーがいるということは、それは逆に喜ばしいことではないでしょうか?

《排撃/Repulse》[INV] 青C

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3マナでクリーチャーをバウンスし、1ドローまでついてくるインスタント呪文。黒単においてテンポロスは非常に辛い状況となり、また「ファイレクシアの盾持ち」をキッカー込みで唱えている場合、3点が後半大きく響いてきます。また、「神秘の蛇」を戻されたら目も当てられません。黒単には青に対する対策カードがなく、インベイジョンブロック構築環境でトップクラスに使われたくないカードの1つです。
<対策>
「頭の混乱」で青を指定して、気合でハンデスしてください。リキャストし易いクリーチャーを優先的に展開していくプレイングを心がけておけば、致命傷で済むはずです。

《ゴブリンの塹壕/Goblin Trenches》[APC] 金R

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土地を生け贄にすると1/1のゴブリンを2体生成するエンチャント。トレンチの中枢を担うフィニッシャーでもあります。トレンチはクリーチャーを採用していないことが多く、除去が軒並み腐ってしまうのが難点。またサイドボードからクリーチャーを入れてくるので減らすのも悩ましいところ。
<対策>
この手の並べるデッキに対しては「疫病吐き」が効果が抜群です。ただし、「疫病吐き」がダメージをばらまけるのは自分のアップキープであり、バウンスを絡めてターン終了時に大量展開されると対応が難しくなります。生成されるトークンが赤白であるため「無法の騎士」であらかじめクロックを稼いでおけば打点勝負になったとしても勝機は十分にあります。

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《はね返り/Recoil》[INV] 金C

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「排撃」に黒を足したらドローできなくなった代わりにハンデスがついた。「排撃」同様にテンポを阻害されると苦しくなる黒単において脅威となるでしょう。また、手札がない状態でバウンスされるとそのクリーチャーをそのまま捨てなくてはならず、実質除去として使用可能な場合もあります。
<対策>

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悪夢は見れたかよ?

《虚空/Void》[INV] 金R

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5マナで指定したマナコストのアーティファクトとクリーチャーを破壊し、手札の指定のマナコストのカード全てをハンデスする豪快なカード。マナコストが3と4に集中している黒単において、事実上の「総崩れ」にハンデスがついたような度し難いカードとなります。展開をしようがしまいがごっそり戦力を削がれてしまうため、ここからの立て直しが非常に困難となります。
<対策>
相手に4マナを指定させることができればベストとなります。戦場の「ファイレクシアの盾持ち」や「無法の騎士」は破壊されますが、手札の「十二足獣」を展開可能となります。どうしても3マナに「アンデッドの王」や「霊魂焼却」等が存在するため3を指定されがちなので、割り切って全力展開するのも手ではあります。手札がなくなる前提となるため、3ターン目までに「ファイレクシアの闘技場」をなんとしても着地させたいところです。

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《集団監禁/Collective Restraint》[INV] 青R

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攻撃に際し、対戦相手のコントロールする基本土地の種類の数だけマナを支払わないと攻撃ができなくなるエンチャント。中盤に出されると攻撃か展開かのどちらかしか選ぶことができなくなり、また2枚目を展開されるとほとんどの場合、どうすることもできなくなってしまいます。黒単をはじめとするアグロ寄りのデッキへの強烈な対策カードとして、ドメインで採用されています。
<対策>
インベイジョンブロック構築の黒単には他のブロックと違いエンチャントを破壊できるクリーチャー「泥沼のドルイド」がいます。

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能力の軌道に緑マナが必要なため「ラノワールの荒原」も併せて引き込まなくてはいけませんが、「集団監禁」をはじめとする強力なエンチャント達に対抗可能であることは黒単界隈でも非常に稀であります。「アンデッドの王」とのシナジーで毎ターンエンチャントを破壊することもできるので、着地してしまえばプレッシャーを与え続けられることでしょう。また「不寛容の仮面」を採用することで、攻撃をしなくともバーンダメージを与えて勝つという戦法も有効となります。

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《魂売り/Spiritmonger》[APC] 金R

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5マナ6/6、再生と自身の強化と色変更能力を持ったクリーチャー。十分すぎるマナレシオと共に再生による耐久力とチャンプブロックするだけで強化できるとデザイナーちょっと表出ろ。また、地味ながら色の変更能力も使いどころが多く、「殺戮」や「無謀な悪意」、「サーボの暗殺者」による除去が実質不可能となります。単純な戦闘では6/6を超えることは難しく、黒単でまともにこれを相手にするのは骨が折れます。
<対策>
最も効果的なのはやはり「頭の混乱」によるハンデス戦略となります。戦場に出されてしまうとどうすることもできないため、「アンデッドの王」によるゾンビのチャンプブロック程度しか対策がありません。

《パワーストーンの地雷原/Powerstone Minefield》[APC] 金R

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ざーこ♡ざーこ♡アタックもブロックもタフネス2しかないから、すぐイっちゃう♡タフネス3以上でももうヘロヘロでしょ♡こんなエンチャント1つにわからせられちゃうんだ♡情けなーい♡
<対策>

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いつもの。プロテクションはダメージも受けないため、これらのクリーチャーは「パワーストーンの地雷原」の効果を受けません。「無法の騎士」であれば平地の枚数も期待できるためクロックも刻むことができます。ただ、対戦相手も地雷原を超えてくるクリーチャーをメインにしていることが予想されるため、除去を合わせて使用してください。

《探索するフェルダグリフ/Questing Phelddagrif》[PLS] 金R

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インベイジョンブロック構築における最強最悪のクリーチャー。プロテクション黒を付与できるため、攻守において縦横無尽に戦場を支配できる。また、アーティファクトクリーチャーによるブロックも飛行によって回避されてしまうため、黒単でこれを出されてしまうと事実上のゲームエンドとなる。パンプアップの際に1/1のトークンが貰えるが、「疫病吐き」に巻き込まれ死亡するという実質デメリットなし状態となってしまう。
<対策>
黒単でこれを破壊可能なカードは「サーボの命令」ただ1種です。

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指定フェルダグリフとすることでしか、この「探索するフェルダグリフ」を処理することはできません。間違っても指定カバとしないようにだけ気をつけてください。貰えるトークンはカバですが、本体はカバではありません。

 以上、長々と説明いたしましたが、実際問題として黒単ではどうすることもできないカードというものが存在しています。しかしながら、古の時代から困ったらハンデスしとけ、という文化が黒には存在しています。「頭の混乱」はカウンターでありクリーチャー除去でありエンチャント破壊でもあります。なんとでもなるんです。
 黒という色には無限の可能性があり、長いMTGの歴史の中でも数多くの黒単が名を残していきました。しかし、このインベイジョンブロック構築で黒単を使用するという選択はフレイアリーズでも冷静になって対話を求めるレベルの異常であると私自身も感じております。それでもこの令和の時代に突然開催されたお祭り、ガチに優勝を狙うのもいい、子供のころの憧れのカードをフィニッシャーにするのもいい、羽目を外してダンシング・ストロサスを使用してもいい。私はまずは楽しむことが大切だと思っています。目標は1勝、当日は対戦よろしくお願いします。

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