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炊き合わせ商法

いわゆる日本料理に炊き合わせというメニュー名がある。
炊き合わせの定義は二種類以上の煮物を盛り合わせた料理の事である。
基本的に別々の鍋で煮るのが原則だが一緒にニルヴァーナ……もとい煮る場合がある。
元々関西の料理で材料の味、色などを引き立てる為に薄味に炊く。
関東においては煮合わせという。

という訳で炊き合わせを作っていこうと思う。
先に言っておくが簡単だが家でやるのは大変だ。
野菜を別々に煮ると鍋が足りない、冷蔵庫のスペースも足りない。ついでに食べでも余り無い。
なかなかに面倒な料理である。
そんな訳で今回はとことん面倒に行く。

まずは時間のかかる大根。
下茹でする。出来れば米の磨ぎ汁を使いたい。
柔らかく煮えたら湯を捨て出汁で煮含める。
出汁で煮ても柔らかくならないので最初に柔らかくなるまで煮るのがコツである。
味はおでんの倍くらい薄めたくらいで良いだろう。

次は人参。
味と香りを活かす為に下茹でしない。
出汁に砂糖、薄口、で炊く。
野菜の甘さによって砂糖の量は加減する。
嫌いな人は下茹でしてからが良いだろう。

その間に干し椎茸は戻しておきませう。
埃がついてるのでさっと洗ってから戻す。
前の日から冷蔵庫とかで戻してもよいがどちらにしろ一回加熱したいので普通に戻す。
出来るだけ弱火でぬるい状態を長く保ちながら戻す。一回沸いたら火を止め冷ます。
後は切り分けて戻し汁と砂糖、濃口で甘辛く煮る。

南瓜は切り分けてから甘辛く煮る。
いつもは皮を半分だけ剥くが皮が美味しい時も有るので今回はそのまま。結果だけ言えば今回は美味しくなかった、やはり国産南瓜の方が美味しい。
出汁に砂糖と濃口で煮る。ぐらぐら煮たたせると崩れるので沸騰前に火を弱めて柔らかくなったら火を止め蓋などして余熱で仕上げる。

長芋は出汁に砂糖少しと塩。今回は昔買ってあんまり美味しくないので残っていた桜の塩で味付けする。色は着けたくないがほんの数滴だけ薄口醤油で香りつけする。長く煮るとホクホクしてつまらないので沸騰したら火を止めこれも余熱で仕上げる。
そもそも生でも食べられるので十分である。

茄子は一度揚げてから煮含める、細かい事は秋に多分書くので割愛。
味は砂糖と濃口、鷹の爪団。

メインは今回は魚を捌いたら出てきた白子を使う。
鰆とイサキ、鯵のを混ぜてしまう。
さっと湯通ししてから、出汁とみりん、薄口。好みで生姜の千切りを一緒炊いても良い。

種類としてはざっとこんなもんだろう。
炊き合わせの盛りつけで大事な事は出来るだけ全部の食材が見えるように盛る事である。
なおかつ似た色が隣り合わせにならないように気を配る。
この2つを満たしていればだいたいOKである。

ただ野菜や魚を煮ただけとも言えるがなかなかに手がかかっている事がおわかりいただけただろうか。
お高い弁当などに入っていても「なんだ野菜の煮たのか」等と思わず意外と奥が深い物なのだと思っていただければ幸いである。

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