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健やかなるときも、病めるときも@自宅療養中

入院と手術に付き添ってくれたあーちゃんも一緒に帰ってきたよ。

退院イコール完治ではないと重々わかっていた。
でも、多少は動けるんだろうと思っていたが甘かった。
退院2週間経ったけれど、歩みはそろりそろり(←チョコプラ風)。
今の身体の状態では、寝そべるという単純な動作も出来ない。
腹筋を使うと傷口に響く。
リクライニングに支えられないと、休息すら出来ないとがく然とした。
「介護ベッドレンタルしたから、安心して帰っておいで」
退院2日前、夫からメールがあった。
催促したわけではなく、私の気持ちを先回りして夫が気を利かせてくれたのだ。
ありがたや~!

***

怖くて見られなかった傷口を、抜針(医療用ホチキスで傷口を止めたの)してすぐ、身体を病室の鏡に映して見た。
傷口は右わき腹をざっくり、20cmもあった。
刀で切られた武士のようだなと鳥肌が立った。
退院してすぐ、夫に「傷口見る?」って言ってみたが、顔を強ばらせて拒否られた。
夫は職業柄、傷んだご遺体を目にすることがあるが、さすがに家族の手術創を見るのは抵抗があるようだった。

***

「俺が隅々まで洗ってあげるよ」
自宅で初シャワーしようとした時、夫がイヤらしい顔つきをして私を笑わせようとした。
入院中は嘔吐したりむせたりすると傷口に響いた。
退院してからは、痛みの原因の一つに笑いが加わった。
今まで私は何の気なしに笑って暮らしていたのだろう。
ああ、大口開けて腹の底から笑いたい。
無事に自宅に帰ってこられて良かった。
好意をありがたく頂くことにして、夫に足と背中を洗ってもらった。
あれほど拒否していた夫は、傷口をまともに見ることになった。
風呂上がりに、長男と次男にもお披露目した。
半ば強制的に。
戦った勲章ですもの。
「すごいね~」って褒めるなり震え上がるなりして欲しかった。

その健やかなるときも、病めるときも、
喜びのときも、悲しみのときも、
富めるときも、貧しいときも、 
これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、
その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか。

結婚式の時は「病めるときも、悲しいときも、貧しいときも」これらのすべて想像すら出来ない幸せの絶頂期だ。
若く健康な私たちにとって、リアリティーがない話だった。

この度の入院や手術は、夫はもちろん二人の息子も両親も義両親も支えてくれた。
病めるときに家族はそっと寄り添ってくれた。
誓いの言葉がどれほど覚悟の必要なものか、結婚27年目にして気付くことができた。
必ず恩返しするよ。

~2022.2.19~

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