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泣ける授業


こんにちは、こんばんは。
たけだです。


ひさ〜〜しぶりに頭を抱えています、実はちょっと真面目な話。

私はね、教員免許取得を目標に、日々様々な授業を履修している大学生なのです。
そんな文学部生なのです。

高校の担任の先生は進路相談の時、私に言いました。
「あなたは教師に向いていると思う」

私は、それがとても嬉しかったことを今でもはっきり覚えています。
今考えるとそれは何故だったのだろう。

私は、いつもヒントを欲しがった。

「将来は何になりたいの?」
私はいつも、その答えをみんなに伝えることに少し躊躇してしまうから。
だって、あまりにも突飛で具体的じゃないんですもの。
周りが保育士さんや看護師さん、公務員になる夢を語る中、私の夢は誰かに語るだけでさえ勇気が必要だった。

だから具体的な将来を欲しがった。
名前のある将来を探さなければならなかった。

だから「教師」という将来は、悪くないのかもしれないなと思った。


確かに、社会人になってからも大好きな日本語に携わる仕事がしたいと思っているし、「人に教えるのが上手だね」と褒められると嬉しかった。

ちなみに今はあの頃の将来の夢、おっきな声で言える。
「私ね、なりたいの。小説を書く人に」

その日の帰り道、お母さんに言いました。

「今日ね、担任の先生から国語の先生を目指したらどうかって言われた。向いてるって」

だけどお母さんは言いました。
「う〜〜ん、そうかなぁ。あなたにはもっと向いている仕事があると思うけど」

何で、やる気を削ぐようなことを言うかね。
一瞬、そんなやさぐれた気持ちになった記憶はありますが、それ以上そのことについて深く考えることはありませんでした。

その答え合わせ、今日できたかもね、お母さん。

今日の授業は、私たち学生を中学生に見立てて、先生が国語の授業をするというもの。

本日の課題は、文学的文章を書こうというものでした。

先々週くらいに予告をされて、少し楽しみにしていました。腕が鳴ると言ったらおかしいけれど、久しぶりに公的(?)に物語が書ける。

だけど、びっくり。
今回のテーマ、「冒険をテーマにした物語を書いてみよう」

「冒険」!!!?

自由じゃないの?
好きに書いていいんじゃないの?

まあ、ここまでは良いでしょう。
あくまでこれは中学生の授業。好きに書いて〜って言われて困る生徒さんに対するヒント的なものでしょう、と納得しました。

しかし、頭の中で考えてきたものが全部使えなくなったな。まあ、でもこれは私が先走ってしまったのが悪い。反省。

するとまた、びっくり。
配られたのは「冒険物語を書くための学習パック」。

なんやて!!!?

なんか、私、この「学習パック」とやらに、すっごい嫌悪感をあらわにしてしまって。
何故なのでしょうね、落ち着いた今でも分かりません。

そりゃあ、そうですよね。
これは私たちの文章能力を底上げすると同時に、中学生に対してどのような指導方法を取るのかっていう授業ですもんね。現場でこういうものがあるんだろうし、当然ですよね。

でも、すごく言い難いけれど、やだった。
面倒くさい女ですよ、全く。

その「学習パック」に沿って、みんなで一斉に構成を考えていきます。

「マインドマップを書きましょう。今から5分間、よーい、スタート」
「5分経ちました。それでは周りの人と意見交換してみましょう」
「次にあらすじを考えましょう。1行か2行でいいですよ」
「では、冒頭の部分のイメージを絵にしてみましょう」
「では登場人物の名前を決めて、年齢や人柄、特徴なども考えてみましょう」

ああ、こぼれていく。
私の言葉も、アイディアも、文章も。

周りの人たちは先生の合図に合わせて、「学習パック」の指示に沿ってスラスラ構成を書いていく。

その間、先生は私たちの書きかけの構成を見て歩きます。

1番、苦手。
書きかけのものを後ろから覗かれて、首を捻られたり、声を掛けられたり。
それが、私は1番苦手でした。
学校生活の中で、1番の苦痛でした。
2番目は給食。

私は何も書く気になれませんでした。
いや、シャーペンを握りしめたまま、頭では「どうしよう、どうしよう」と考えてはいたものの、それを言葉にする気は全くなかったのです。

短いスパンで次の工程、はい次の工程。
流れていく、こぼれていく。まとまらない。
書きたくない、好きなものを好きなように書きたい。駄目だ、分かってる。ちゃんと分かっている。

この授業の本質が分かっていないから、そんなことを考えてしまうんだ。この授業の本質は、自分が書きたい作品を書くことではない。

じゃあ、この作品は何のために書くの?
何のため?
書きたくもない物語、書きたくないテーマ。
私の世界、見せたくない。こんな消化試合で、私のとびきりを使いたくない。今までひっそりこっそり大切にしてきた、私の世界。
書きたくない。書けない。

本当に私ってわがまま姫かよって思う時あります。
意気地無しの癖して、頑固で融通が効かない。
分かってます、分かってます。
でも曲げられない、曲げたくない。

せめて、自分の納得するものを仕上げたい。

誰かに分かってもらえるとは思っていないけれど、ここまで嫌悪感を覚えたのは初めてで、少し困惑しています自分でも。

時間です。
先生は言いました。

「今、回っていたらね。色んな人がいました。ほとんど埋まっている人が半分くらいかな。3割くらい書けている人もいれば、彼女はまだ一文字も書けていない。スピードは人によって違いますからね、焦ることは無いです」

私を指して言いました。
「書けていない」??

久しぶりに思い出したこの反抗心。
はあ、やだな。もう大人なのに。
上手に世間を渡れよ、バカ私。

「書けていない」発言からは分かりやすく、何も書こうとしなくなりました。
シャーペンを握って考え込んでいるだけ。
「学習パック」は白いまま。

面倒くさい私を置き去りに授業は進みます。
別に、構わない。

反抗期か!?ハタチやぞ。適当に書いて流せよ。合わせろよ〜。
今思うと、そんな感じ。

でも書けないんですもん。
書きたくないんですもん。
今の私に、お手本通りの冒険物語なんて。

きっと印象悪かっただろうな。
謝らないけど。

「書けていない」私は結局、何も書きませんでした。意地と嫌悪の二段階拒否です。

他のみんなはあらかた構成ができたみたいです。
見せてもらった物語は、お手本以上にお手本のような物語でした。

きっとこれがこの授業の正解なのでしょう。
自分が持つ武器を最大限使いこなすのではなく、加減をして綺麗な物語を作る。
何故、みんなにはできて私にはできないのでしょう。

誤解していただきたくないのは、私は決して自分の書く文章が優れているとか、そんなこと思っていないのです。

ただ、誇りには思っている。説明が難しい。
作品の優劣に関わらず、私は納得のいくものを書きたいし、そのために手加減ができない。おまけに超がつくほど頑固。この性格、直したい。

だから、まあプライドが高いとか言われたら否定することができないのかもしれない。
文章を書くことがとても好きだから、誇りに思っているから、ね。

友達が言ってくれました。
「私も全然書けてないから〜」

ああ、気を遣わせてしまったのだな。ごめん。
「書けていない」と、指をさされたことに私が落ち込んでいると思ったのね。ありがとう。

私の友達は、教師に向いていると思う。
先生が望んだ模範みたいな作品を書けるあなたも、私の様子が変だということに気が付けるあなたも。

彼女たちは向いている。
きっとこんな人たちが教師になるのだろうなあ。

だからね、私は最後の足掻きとして、授業後に一人で先生の研究室へ行ったのです。

「冒険物語は、必ずあのお手本の通りの流れで書かなければダメなのでしょうか」

「ああ、君もちゃんと考えてはいたんですね。ですがこの授業の本質は、あなたが『書きたい』ものを書くのではなく、中学生に文章の書き方を教えるためにはどのように指導すれば良いかということなので、あの通り書いてくれなければ減点対象です」

悔しい、知ってるさ。
だったらいっそのこともう言ってやってくれよ。こんな捻くれ者だから、はっきり言われないと自覚できないんだよ。

「お前、教師に向いてねーよ」

そう、今日突き付けられた事実は単純明快。

ただこれだけです。
授業の本質より、己の「書きたい」「書きたくない」を優先してしまいました。
途中で全て放棄したいと考えてしまいました。

ね、お母さんって凄いよね。
やっぱり周りの大人の誰よりも私を知ってるんだね。昔から。
そうだよ、私はやっぱり向いていなかった。
人にスタンダードな書き方を教えるより、好きなこと、書いてみたいことに現を抜かしていたい。そんな親不孝な子だわ、全く。

何だろうね、減点対象って。
それならもう単位なんていらないのに。
減点されても、私は書きたいものを書きたいし、それが幼稚なのも分かっている。

大学って泣ける場所、あんまりないんですよ。
知ってましたか?

昇華できるかな、この悔しさも嫌悪も、自分への苛立ちも。
見返せるかな、私は書けるんだぞって。

少なくとも、「満点の星空」なんて、あまりにも有名な間違いをしている先生には負けたくないんです。

そうです、思い出した。
私の人生、いつも「負けたくない」から出発している気がする。

つくづく主人公気質とかけ離れているなと感じます。いつも1回負けてから思い知る。

「勝ちたい」ではなく「負けたくない」
目的と手段。その本質は全く異なります。

と、いうことで、私はやっぱり書くことにします。ここで敢えて自分の「書きたい」を貫く人が、主人公なのでしょうが。

まあ、どんな私でも私が主人公なわけですし、私にはそんな度胸も実力もないわけで。

だったら、ルールの範疇で魅せてあげる。
私がこれまで培ったとびきりの世界。
仕方ないから、今回だけは書いてあげる。

勘違いしないで、駄作を世に放つ気は無い。書くなら書く。今自分にできる最大限を。納得のいく作品を。

実力不足は補えないかもしれないけれど、根性だけが取り柄の私、見せてあげるわ。諦めの悪さ。

書くよ、書こうと思う。
つまらない構成だろーが、「学習パック」だろーが、ありきたりな展開だろーが。それでも自分の好きな作品を書いてやる。

そんな情緒不安定な、今日を精一杯生きてる私の話。実力不足で、間違いだらけの私。誰もいないところまで涙を堪えた、そりゃあまあ健気な私。

提出まであと1週間。納得がいくまで詰めようと思います。なので、他の課題は静かに息を引き取ってください。

戦闘準備は、珍しく完了している。


今日も独り言にお付き合いいただき、ありがとうございます。
素敵な一日をお過ごしください🎐

リアルリベンジャーズ卍

またね(^-^)

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