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まるい貴方へ


「地球は丸いんだって」

洗いたての白いスニーカー放り出して

小さな女の子   屋上に、ごろん   
四角い空は星の海

「まる   さんかく   しかく
貴方はどれでしょう」

ママは聞きました   
小さな女の子は言いました

「まる   だって   さんかくにも   しかくにも
ぴったり重ならないから」

ママはバケツに落ちた満月を指さしました

「まるは   誰と重なっても

空白ができるね

やさしい隙間   余ったところには何でも入るよ

甘いおやつでも入れちゃおうか」




水鏡に落ちた満月に伸ばす両手、ざぶん

掬っても波を立てて   

水の粒は星のように

その影は零れ落ちて




「地球は丸いんだって」

そうだろうね 

そうでないと

人間のお世話なんてやってられないよ

憧れて喰らって病んで甘えて   繰り返す

それでも   まるは全てを肯定する




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