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カタン世界選手権のトーナメントルール和訳他(11/28追記あり)

カタン世界選手権2022(CWC2022)のオフィシャルトーナメントルールが参加者へ共有されました。来年度の日本選手権へ反映されるルールもあるかもしれないので、参考用にゲームに関わる部分の勝手日本語訳を掲載してみます。信用ならんという方はいずれ原文が公表されますので、是非原文をご覧下さい。
また過去のルールからの変更点や特筆すべきと筆者が考える事項について、コメント致しますので、そちらについてもご興味ある方は是非読んでみて下さい。
(11/28追記)
11/18~20に世界大会へ参加し、それを踏まえて、下記にコメントを追記致しました。
3.0.2
3.0.7
3.0.10
3.0.14
3.0.16

国内ルールの研究もしているのでご興味ある方は是非ご覧下さい。


3.0 追加規定と補足規定

以下に挙げるのは、時折混乱を招くCATANルールの明確化である。標準ルールとこれらの説明文の間に不一致がある場合、説明文が公式ルールとみなされます。

3.0.1 ターンの開始

プレイヤーのターンは渡されたダイスを受け取ることから始まります。プレイヤーはサイコロを振る前に、任意の発展カード(例えば騎士カード)をプレイすることができます。ダイスを振る前にそれ以外のアクションを起こすことはできません。

《コメント》
ダイスロール前に開くメリットがあるタイミングはだいぶ限られているため、稀に勘違いされている方がいますが、騎士カードのみならずVP以外の全ての発展カードをダイスロール前に開くことができます。


3.0.2 ダイスの出目の処理

ダイスを振ったら、他のアクションを起こす前にダイスの出目を処理(資源の分配、または盗賊を移動させてカードを引く)しなければなりません。このため、あらゆる資源交換に関する話し合いを含む交渉は禁止されており、これは取引・建設フェイズでのみ許可されます。もしプレイヤーが盗賊のアクションを完了する前に取引の交渉をしようとした場合、盗賊は砂漠に置かれ、プレイヤーはルール3.0.14(b)のようにカードを受け取れないことになります。盗賊を配置する場所についての協議を含む交渉は可能です。

《コメント》
盗賊については3.0.14(b)参照。盗賊をどこに置くかの協議は可能ということが明記されたのは興味深いです。
(11/28追記)
実際、ゲーム中に盗賊をどこに置くかの協議は割としょっちゅう行われていた印象です。
しかし時間制限がない世界大会だからこそで、時間制限60分の日本選手権でいちいち協議していたら全卓で時間切れになってしまいますね。もちろん有無を言わさず、盗賊を動かして協議する余地のないプレイヤーもいました。


3.0.3 道路の建設

プレイヤーは他のプレイヤーの開拓地や都市の先に道路を建設することはできません。 


3.0.4 都市の建設

プレイヤーは開拓地を建設した同じターンに、その開拓地を都市にアップグレードすることができます。アップグレードしたい開拓地は、プレイヤーのサプライに含まれていなければならず、建設地に置かなければ、その後でアップグレードすることはできません。

《コメント》
何が言いたいルールなのかというと、開拓地+都市の資源(土木羊麦3鉄3)を支払っても開拓地が5軒建て切りの状態では、新規の場所に開拓地をスキップしていきなり都市を作ることはできません、という話ですね。もちろん他の開拓地を都市にして、新規の場所に開拓地を建てることはできます。


3.0.5 発展カードでの勝利

プレイヤーは勝利ポイントが書かれている発展カードを引いた場合、 それが 10 ポイント目であれば直ちに公開し、ゲームに勝利するこ とができます。これは勝利ポイントが書かれている発展カードでのみ可能です。プレイヤーは、たとえそれが最大騎士力を獲得してゲームに勝つことにな るとしても、すぐに騎士を開くことはできません。プレイヤーは次の手番まで待ってから騎士を開かなければなりません。


3.0.6 取引フェイズと建設フェイズ

取引フェイズと建設フェイズは区別されていません。


3.0.7 ターンアクション

プレイヤーは自分の手番で一連のアクションを行います。アクションはプレイヤーが次のアクションを開始した時点で完了したとみなされます。例えば、街道を建設しているプレイヤーが街道を盤上に配置した場合、街道建設アクションの最中であれば街道を再配置することができます。しかし、プレイヤーが取引を始めたり、開拓地を作ったり、発展カードを引いたりといった別の行動を始めると、その街道建設のアクションは終了し、街道を移動することはできなくなります。同様に、盗賊の移動アクションは他のプレイヤーからカードを奪った時点で完了します。

《コメント》
別のアクションを始めたら前のアクションは完了したとみなされ、やり直しはできない、と文章そのままですが、よく見るプレイなので今後は注意が必要かと思われます。
(11/28追記)
この例示ですと、複数本同時に街道建設を行ったときに、その全ての街道建設を再配置できるように誤認し得ますが、1本1本が独立した街道建設というアクションとなり、最後に作成した街道だけ再配置することができます。


3.0.8 港での建築

プレイヤーが港に開拓地を建設したのと同じターンに、港を使用することができます。


3.0.9 資源カードの枯渇

サイコロを振った結果、ある種類の資源カードが複数プレイヤーに配るのに足りない場合、誰もその資源カードを受け取れません。他の資源カードは通常通りプレイヤーに配られます。もし1人のプレイヤーだけがその種類の資源カードを手に入れる場合は、枚数が足りない場合でも、そのプレイヤーは残りの資源カードを受け取れます。


3.0.10 手札の非公開

プレイヤーの取引フェイズに、取引のために見せたカード以外の資源カードを意図的に他のプレイヤーに見せることは反則になります。もし見せた場合、その取引フェイズが終了するまで公開情報になります。

《コメント》(11/28追記)
こんなルールはあってないようなもので、皆交渉の時に普通に手札を見せていた印象があります。笑


3.0.11 無料での資源譲渡

1回のトレードでも、一連のトレードでも、プレイヤーが資源カードを「無料」で譲渡したり受け取ったりすることは反則になります。このようなことが起きた場合、両プレイヤーは談合の反則が課され、世界選手権からの失格を含む懲罰の対象となります。 

《コメント》
今までも当然に禁止であったとの認識ですが、改めて「一連のトレード」の結果として無償での資源授受となることも禁止であることが明文化されました。また両者に談合の反則が課される、と明示されたのも興味深いです。


3.0.12 勝利宣言

プレイヤーは、10点以上の勝利ポイント(ただし、ランキングには10点のみカウントされます)を獲得し、そのプレイヤーの手番となった場合、勝利したものとみなされます。もしプレイヤーが自分の手番で10点持っていることに気づかずに勝利を主張したとしても、そのプレイヤーが勝利するには次の手番まで待たなければなりません(他プレイヤーが先に勝利しておらず、そのプレイヤーがまだ10点持っていると仮定して)。


3.0.13 フレンドリールールなし

盗賊はゲームが始まるとすぐに効果を発揮します。盗賊を移動させるまでの「猶予期間」はありません。


3.0.14 忘れられた盗賊移動

プレイヤーが盗賊を移動させることを忘れ、かつまだ手番プレイヤーである場合: 
a) そのプレイヤーが他のプレイヤーとの取引を試みるなどのさらなるアクションを取っていない限り、盗賊はそのプレイヤーの選んだタイルに置くこと
ができます。その後、手番プレイヤーは、通常のルールに従って、他のプレイヤーの手札から資源カードを1枚引きます。
b) そうでなければ、盗賊は砂漠に配置され、カードを奪うこともできません。
 

《コメント》
前回までの海外トーナメントルールから簡素化され、「まだ手番プレイヤーであるが他のアクションを既に行った場合に、 盗賊を好きな資源タイルに動かすことはできるが、資源カードを奪うことはできない」という分類がなくなりました。つまり他のアクションを行った場合には問答無用で盗賊は砂漠へ送られ、カードを奪うことはできなくなりました。新たな変更点であり、注意が必要です。
(11/28追記)
適用が厳格でなく、盗賊を動かす前に交渉を口に出したプレイヤーがいても「いや先に盗賊を動かそう」といった注意・催促で済んでいるケースが殆どでした。ゲームが歪むため、厳密に適用するのではなく、上記のような運用があるべきだとは思います。


3.0.15 使用済みカード

適正な使用のために山札へ支払われたカードは使用済みカードとなります。使用済みのカードは、本来の目的と異なる用途に使用することができますが、取り返すことはできません。例えば、あるプレイヤーが羊4枚を麦1枚と交換した後、その交換アクション中である限りは、代わりに土1枚を取ることにしても構いません。プレイヤーは、手札を減らすために意図的にカードを誤使用することを禁じます。

《コメント》
"for a legal purchase"の訳として「適正な使用」が適当かはわかりませんが、最後段の「誤使用」と対応させています。つまり、誤使用でない限りは一度山札や支払ったカードは手札に戻せない、また意図的な誤使用は禁止、ということであり、3.0.7と併せて注意が必要だと考えます。


3.0.16 ダイスの転がし方

ダイスは用意されたダイストレイに転がします。テーブルから転がり落ちたり、コップやポケットに入ったりしてダイスの目が完全に見えなくなった場合、両方のダイスを振り直します。ダイスが傾いている場合はもう一方のダイスを上に乗せ、滑り落ちてしまった場合は両方を振り直します。

《コメント》
最後の文章がよくわかってませんが、あまり影響なさそうなのでいいか……。
"If a die is cocked, balance the other die on top, if it slides off, reroll both dice."
(11/28追記)
今回の世界大会では基本的にダイスカップが用意されなかったため、ダイスが盤上に転がって傾くだけでなく、テーブルクロスのシワによって傾くといったケースが頻発しました。
ダイスが傾いてしまった場合には、同卓者全員が見ている中で(これ重要)、傾いているダイスの上にもう一方のダイスを乗せ、安定すればその目でダイスが確定、乗せたダイスが滑り落ちるようであれば両方のダイスを振り直すことになります。
「同卓者全員が見ている中で」という部分が何故重要かというと、同卓者が誰も見ていない中で当ルールを適用し、滑り落ちたので振り直すことを主張したものの、ジャッジを呼ばれ、結果として振り直しが認められなかったケースがあったからです。そのため、ダイスを上に乗せる際には同卓者全員の注目が必要になります。


以上!

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