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カタン世界選手権のトーナメントルール和訳(ゲームプレイ部分以外)

公式HP上でカタン世界選手権2022(CWC2022)のオフィシャルトーナメントルールが"Coming soon!"の表示になり、さらにはCWC2022自体も終わり、間もなく一ヶ月になろうとしていますが、未だに原文は公表されておりません。
そんな中、しれっとゲームプレイ以外のトーナメントルールについても勝手和訳を参考用に作成してみます。「お前の勝手和訳なぞ信用ならん」という方はいずれ(いつ?)原文が公表されますので、是非原文をご覧下さい。

またゲームプレイのルールと同様に、筆者が時折コメント致しますので、そちらについてもご興味ある方は是非読んでみて下さい。


1.0 総則

ゲームは現行のカタン英語版第5版のルールに従います。参加者はイベント開始前にこのルールのコピーを受け取ります。


1.1 大会形式

1.1.1 言語

大会の公式言語は英語です。

《コメント》
どうでもいい話ですが、道を数える際なのか"un, deux, trois, quatre, ……"とフランス語が聞こえてきた卓がありました。但し、会話だったのかは不明です。


1.1.2 ラウンド数

予選ラウンド、準決勝ラウンド、決勝ラウンドの3つのラウンドで構成されます。


1.1.3 予選ラウンド

予選では、参加者全員がカタン base gameを用いて4回戦を行います。

《コメント》
特にCatan Universeでプレイしている方はご存知かと思いますが、日本で「スタンダード」と呼ばれるルールは"base game"と呼ばれています。


1.1.4 テーブル予定表

主催者は、各ゲームのテーブルと選択順を決定する予定表を作成します。予選ラウンドの予定は、以下の順で優先されなくてはなりません。
1) 異なる相手と対戦すること
2) 選手の番手選択順が重複しないこと
3) 同一国との同卓を回避すること

《コメント》
2)は4ゲームで1~4番手をそれぞれ経験するのではなく、次項で説明される番手選択順(そのまんまですが番手を決定する優先順位)について1~4番目をそれぞれ経験するという意味です。なので同じ番手を4回やる可能性も勿論あります、俺はたしか2番手を3回やりました。
3)は優先順位が低く、また複数人代表がいる国が何か国もあったため、結構破られていた印象があります。実際、日本人と複数回やった選手が何人もいましたし、俺もメキシコ人とは2回やりました。


1.1.5 番手の選択

選択順が最初のプレイヤーは席、駒の色を選択し、そして番手を決めます。次に2番目の選択順の人が駒の色、番手を選択し、3番目と4番目の人がそれに続きます。全てのプレイヤーが選択した番手順に合った席に座らなければなりません。


1.1.6 準決勝

4試合終了後、上位16名が準決勝に進みます。どのテーブルでプレイするかは、以下の表で決定します。

1番テーブル : 1位、8位、9位、16位
2番テーブル : 2位、7位、10位、15位
3番テーブル : 3位、6位、11位、14位 
4番テーブル : 4位、5位、12位、13位

盤面の配置が確定したら、各テーブルで予選での順位が最も高かったプレイヤーが、1.1.5に従って席、駒の色、手番順を選択します。以降のプレイヤーもランキング順に続きます。


1.1.7 ゲームの長さと手番の時間制限

各ゲームは10点に達するプレイヤーが現れるまで終了しません。大会主催者はゲーム自体に時間制限を設けることはありませんが、プレイヤーの手番に時間制限を導入、実施する権限があります。時間制限の長さは3分です。
初期配置の後、任意の時点でプレイヤーはジャッジを呼び、時間制限を実施させることができます。
試合が予想以上に長引いた場合、大会主催者は時間制限を課すことがあります。

《コメント》
実際には即時間制限が課される前に、1戦目のまもなく2時間を超えようかというタイミングでスタッフから「これ以上長引きそうなら時間制限入れるよ」との警告が先ずありました。


1.1.8 決勝戦

準決勝の各勝者が決勝戦に進みます。プレイヤーは1.1.5 に従って、予選の順位順に席、駒の色、手番順を選択します。抽選で決定された順位は引き継がれます。
決勝戦の勝者が世界チャンピオンとなります。

《コメント》
「抽選で決定された順位は引き継がれます。」はおそらく1.3.2のタイブレークの抽選のことを指しており、決勝の席決めにあたっては準決勝の占有率は加味されず、予選順位がそのまま引き継がれる、ということかと思われます。
"Any ranking determined by the drawing of lots carries forward."


1.2 ジャッジ

1.2.1

ジャッジは大会期間中常駐し、全てのルール上の論争を最終的に解決する役割を担います。


1.2.2 ジャッジの呼び出し

各テーブルでルール違反が疑われる場合、プレイヤーはゲームを一時中断し、直ちにジャッジを呼び出さなければなりません。ジャッジの裁定が最終決定となります。ルール違反の疑いがあるにも関わらずプレイヤーが直ちに報告しない場合、それは「正常な」プレイとみなされ、最終的なゲーム結果への影響は受け入れなければなりません。
以前のインシデントが裁定されず「正常な」プレイとみなされたとしても、繰り返されたインシデントは個別に呼び出すことができます。

《コメント》
繰り返されたインシデント云々というのは、同様の事象についてにたとえば1回目にジャッジを呼ばなかったもしても、2回目以降からジャッジを呼んでもいいよ、ってことですね。1回疑わしいプレイをスルーされたことを根拠に、以降もそのプレイの正当性が主張できるわけではない、ということであり、日本でも割と重要なルールだと思います。「さっき何も言わなかったじゃん!」は通用しません。


1.2.3 ゲーム終了時の異議申立

ルール違反や不正なプレイによってゲームの結果が不当であると感じた場合、プレイヤーは直ちにジャッジに報告しなければなりません。記録用紙にサインをしてスコアが提出された後はそれ以上の抗議は認められず、またそれ以降は結果を変更する事はできません。プレイヤーがサインをしたくない場合、ジャッジがゲーム結果を最終的に決定します。


1.2.4 失格

ジャッジは、故意にゲームのルール違反をした場合(不正行為)、または大会中いつでもthe CATAN Code of Conductに違反したプレイヤーを失格にすることができます。このような状況には、ゲームに勝つことを意図してルール違反した場合、乱暴なプレイをした場合、プレイヤーが故意に他のプレイヤーを勝たせる、または勝たせるように仕向ける場合などが含まれますが、これらに限定されるものではありません。
ルールに関連する失格は対局中または対局終了直後のみ可能です。記録用紙にサインをした後に失格にすることはできません。

《コメント》
"the CATAN Code of Conduct"(行動規範)については2.1で。


1.2.5 談合

下手なゲームプレイは失格の正当な理由にはなりません。プレイヤー同士がゲーム中におけるお互いのポジションを有利にするために完全に結託することはフラストレーションになりますが、失格を正当化するものではありません。ゲーム中の自分のポジションを向上させるためではなく、大会における他プレイヤーのポジションを向上させるためにプレイヤー同士が結託することは奨励されず、警告が出されます。それ以上は失格となる場合があります。プレイヤーが故意に他プレイヤーを勝利させることは禁止されています。

《コメント》
自身の勝利ではなく、他プレイヤーを勝利させるような所謂利敵行為は失格を含む懲罰の対象となります。またゲームルールの3.0.11にも記載がありますが、利敵行為をしたプレイヤーだけでなく、利敵行為を受けたプレイヤーも懲罰対象となる点に注意が必要です。


1.3 ポイント

1.3.1 予選ラウンド

予選ラウンドでは、勝利数によって順位が決定されます。


1.3.2 タイブレーク

全4ゲームの勝利ポイントの合計が、最初のタイブレークとして使用されます。
それでも同点の場合は第2のタイブレークとして、各プレイヤーが4ゲームで獲得した勝利ポイントの割合の合計を使用します。計算方法は以下の1.3.3を参照してください。
それでも同点の場合は2位を獲得した数、次に3位を獲得した数が多い方が勝ちとなります。
その後も同点である場合は抽選とします。

例(第4ゲーム終了後)
AさんとBさんが共に3勝、両者とも勝利点38点でまだ引き分けです。ここで勝利点のパーセンテージが計算されます。

《コメント》
日本では、勝利ポイント割合の代わりに、その割合から計算された「占有点」と呼ばれている数値が用いられています(詳しくは次項参照)。


1.3.3 勝利ポイント割合の計算方法

プレイヤーAの場合
第1ゲーム
Aは10点を獲得し、テーブル合計は32点でした。このゲームでのA の勝利ポイント割合は 31.25%です。
第2ゲーム
Aは8点を獲得し、テーブル合計は30点でした。このゲームでのAの勝利ポイント割合は26.67%です。
第3ゲーム
Aは10点を獲得し、テーブル合計は36点でした。このゲームでのAの勝利ポイント割合は27.78%です。
第4ゲーム
Aは10点を獲得し、テーブル合計は29点でした。このゲームでのAの勝利ポイント割合は34.48%です。
勝利ポイント割合の合計
120.18(31.25+26.67+27.78+34.48)。

プレイヤーBの場合
第1ゲーム
Bは10点を獲得し、テーブル合計は30点でした。このゲームでのBの勝利ポイント割合は33.33%です。
第2ゲーム
Bは10点を獲得し、テーブル合計は33点でした。このゲームでのBの勝利ポイント割合は30.3%です。
第3ゲーム
Bは8点を獲得し、テーブル合計は36点でした。このゲームでのBの勝利ポイント割合は22.22%です。
第4ゲーム
Bは10点を獲得し、テーブル合計は31点でした。このゲームでのBの勝利ポイント割合は32.26%です。
勝利ポイント割合の合計
118.11(33.33+30.3+22.22+32.26)

したがって、プレイヤーAはプレイヤーBより上位にランクされます。
3人プレイの場合、3人のスコアを平均して4人目のスコアを作成します(0.4の余りは切り捨て、0.5の余りは切り上げ)。
この平均点は、勝利ポイント割合の計算上、4人目のプレーヤーであるかのように計算に含まれます。

《コメント》
日本では占有点表が与えられ、自身の点数とテーブル全体の点数の交点にある数値を占有点としますが、その計算方法は
4人ゲーム : 333 × 勝利ポイント割合
3人ゲーム : 250 × 勝利ポイント割合
であり、計算の基礎となるのは勝利ポイント割合です。


1.3.4 準決勝および決勝

準決勝の後、5位から16位の選手の順位は、準決勝の試合結果を反映させて更新されます。決勝戦の後、決勝戦のテーブルでの1位から4位までの順で順位が更新されます。予選と準決勝の結果を考慮して、1.3.2に準じたタイブレークを行います。


2.0 プレイヤーの責任 - マテリアル

2.0.1 盤面のレイアウト

大会主催者が盤面のレイアウトを作成します。世界選手権の全てのゲームでは、全プレイヤーが同じレイアウトの盤面を使用します。各ゲームでは新しいレイアウトの盤面が使用されます。

《コメント》
原文に沿って(ゲーム)マテリアルと訳していますが、日本では「コンポーネント」といった方がわかりやすいかもしれません。


2.0.2 ゲームマテリアルの可視性

全てのゲームマテリアルは常にテーブルの上に置かれ、全てのプレイヤーからはっきりと見えるようにしなければなりません。特に発展カードと資源カードはゲーム中、テーブルの上に置かなければなりません。シャッフルは他のプレイヤーから奪われる場合も含め、全てテーブルの上で行います。


2.0.3 手札の枚数

プレイヤーの手札の枚数は公開情報であり、リクエストがあった場合には手札の枚数を明らかにしなければなりません。


2.0.4 資源配布

決勝戦を除くすべてのゲームにおいて、スタートプレイヤーは資源配布係として、使用済みの資源カードを受け取り山札へ戻し、また新しい資源カードを山札から配布します。
カードを山札に支払う際、プレイヤーは資源配布係に渡す前に全てのカードを明確に見せなければなりません。スタートプレイヤーは、自身がカードを受け取る、また山札に支払う前に資源を明確に示さなければなりません。
テーブルの合意により資源の山札を2つ作ること、カードの授受を自分自身で行うこともできます。もしプレイヤーが正しいカード枚数を受け取っているかに疑問がある場合、これらの合意は無効となり、スタートプレイヤーはすべてのカードを配布しなければなりません。
スタートプレイヤーが資源係になることに抵抗がある場合、全員の合意があれば、他プレイヤーを資源配布係に選出することができます。またプレイヤーは、いつでもジャッジに残りのゲームの間、全てのカードの処理を依頼する事ができます。決勝では、ジャッジが全ての資源配布係の役割を担います。

《コメント》
原則、1番手の人がバンカーをやります。結構バンカー業に集中力を削がれ、プレイに集中できなくなるので注意が必要です。


2.0.5 発展カード

テーブルの合意により、資源配布係が発展カードを配布することができます。
新たに入手した発展カードは、プレイヤーの他のカードから離して置かなければなりません。このルールを破った場合、そのプレイヤーは次のターンまで発展カードをプレイする機会を失います。


2.0.6 駒等

プレイヤーはゲーム開始時に正しい駒の数(開拓地5、都市4、街道15)を持っていることを確認する責任があります。
また、すべてのプレイヤーは発展カードが25枚、各資源カードが19枚ずつあることを確認します。問題が発生した場合、直ちにジャッジに知らせなければなりません。


2.1 プレイヤーの責任 - 行動規範

2.1.1

カタンの公式大会、とりわけカタン世界選手権は招待制です。すべてのプレイヤーは招待者であり、この行動規範に従わなければなりません。
カタン世界選手権は安全で、敬意を払い、参加しやすく、かつ楽しい環境です。この行動規範はスタッフ、請負業者、その他の販売会社、ホテルスタッフ、ゲスト、広報など、すべての人に適用されます。当社は行動規範を遵守しない者を失格、排除、または追放する権利を有します。


2.1.2

CATAN は価値観に基づくブランドです。一般に、CATAN GmbH、CATAN Studio、およびKOSMOSは、プレイヤーがプレイ中、その他の大会活動中、関連イベント活動中、および大会とイベントプログラムを通じて、適法に、かつ礼儀正しく行動することを期待しています。


2.1.3

プレイヤーはプレイ中、他の大会の活動中、関連イベントの活動中、および大会とイベントプログラム全体を通じて、他人に対して親切、礼儀正しさ、敬意、およびフェアプレーを示すものとします。


2.1.4

ゲーム中、テーブルの上に電子機器を置くことは禁止されています。携帯電話やその他の機器は常に、ポケットに入れておくか仕舞っておかなければならず、写真とビデオに関する方針(3.1.2)に規定されている場合を除き、ゲーム中に使用することはできません。


2.1.5

試合前および試合終了時の盤面の撮影は認められています。


2.1.6

プレイヤーが緊急の電話をしなければならない場合は他プレイヤーに知らせなければならず、ゲームは一時停止し、そのプレイヤーは電話の間はテーブルから離れなければなりません。


2.1.7

プレイヤーは大会の活動、関連イベントの活動、または大会やイベント会場を取り巻く地域社会での活動を妨げてはなりません。


2.1.8

プレーヤーは、大会及びイベントプログラムの前後を問わず、カタンブランドを傷つけたり、実質的な損害を与えたりしてはなりません。


2.1.9

カタンの知的財産を侵害、希釈、流用してはいけません。


2.1.10

プレーヤーは、大会およびイベントプログラムに同席する友人および家族全員に対し、本行動規範を遵守させる責任を負うものとします。


2.1.11

CATAN GmbH、CATAN Studio、KOSMOS、またはそれらの指定代理人は、本行動規範に違反したプレーヤーを直ちに失格させる権利を有するものとします。本行動規範の違反が継続した場合、あるいは特に悪質な場合は、世界選手権またはマスターズ・プログラムから生涯追放されることがあります。


2.2 ハラスメント防止に関する方針

2.2.1 当社は、いかなる種類のハラスメントも容認しません。

これには以下が含まれます。
脅迫、不適切なイベントの妨害、傷つくような言葉、あらゆる種類の身体的暴行、不適切な身体的接触、望まない性的注目、望まない写真やビデオ撮影、いじめ、ストーキング、つきまとい。


2.2.2 特に関連性のあるもの

人種または民族、国籍、性自認またはジェンダー表現、性別または性的指向、年齢、障害、宗教、市民権の有無、病状または妊娠に関連するもの。


2.2.3 ハラスメントを受けた場合、または目撃した場合

CATAN Studioのスタッフまたは他のイベントスタッフにご連絡ください。上記のようなハラスメント行為を止めるように言われた場合は、直ちに止めてください。イベントスタッフが対応いたします。


3.0 追加規定と補足規定

以下の記事をご参照下さい。


3.1 写真・ビデオ撮影に関する方針

3.1.1

参加者はCATANチャンピオンシップ大会のイベントに参加することにより、CATAN GmbHおよびその譲受人、代理人、ならびにその許可を得て行動する者に対し、参加者の録音、音声、映像、画像、写真、および/またはその他の肖像を、写真、ビデオ録画、電子メディア、インターネットウェブサイト、ソーシャルメディアなどの宣伝、マーケティング、情報提供、その他の資料で使用する権利を許諾することになります。


3.1.2 個人使用/ソーシャルメディアのための録画。

  • 試合の録画は、以下のルールに従って許可されています。ライブストリーミングは不可。

  • 対局者は、盤面だけを含んだ対局を録画することができる。対局中、いかなる時も顔を映してはならない。録画機器は三脚などに取り付け、対局中に扱ってはならない。

  • 対局者は、対局中に解説したり、いかなる時点でも「観客」に向かって発言してはならない(すなわち、対局のライブVlog配信は禁止)。

  • 試合以外のビデオは、大会エリアの外で行わなければならず、明示的な許可を得ていない大会プレーヤーを含めることはできない。

  • ハラスメント防止に関する方針とcatanstudio.comの写真・ビデオ撮影に関する方針の完全版を参照してください。


以上!

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