日本唯一の島で、桜の朝礼台とよそものコロッケを楽しむ ー 琵琶湖編 ー #旅の栞
坂道にさしかかる。
コンクリートの舗装路がつづく。少し息があがる。
右手を見ると、キラキラと光る甍の波が広がる。その奥、港の突堤には、桜並木が延びる。
あぁ、春だなぁ。
少し滲んできた汗、額を風が通り過ぎてゆく
「ピンポンパーン ポーーン」
その時、近くのスピーカーから声がした。
「本日は、月に一度の沖島食堂の日です。近江牛カレー、50食限定です。みなさん、どうぞご来店ください。」
まじか!
妻と顔を見合わせる。
沖島食堂は、先ほど、登り口に入る前、沖島の中心街ロータリー正面にあったお店だ。なんとなく、「ココ(沖島)に来てカレーかぁ・・」という気がしてスルーしたのだ。11時前だったし、お昼には少し早いなぁとも思ったのだ。
今更戻れない、いったん頂上(ケンケン山)まで登ろう。
ふぅ、15分ほどで到着。
ケンケン山(見景山) 標高400m
別名:お花見広場
あぁ・・・
お弁当を食べるなら、ここだよなぁ・・
漁港脇の売店、沖島レディ弁当も、(早朝で)準備中だったし・・昼食難民になりそう、嫌な予感。
◇◇◇
前回の記事を読んでいない方もいるので、説明しよう。今我々のいる沖島は、琵琶湖に浮かぶ唯一の有人島。いや、淡水湖に浮かぶ島で、人が住んでいるのは世界中見渡しても数か所しかない。希少な島なのだ。その島の山中をテクテク散策中なのだ。
まだまだ、11時ちょいすぎ。
ここまで登ったなら、沖島縦走だ。
ホオジロ広場、見晴らし広場を通って、島の南東にある厳島神社を目指そう! 予定変更だ。
◇◇
山に入ると、小動物。特に鳥が多いことに驚く。小さな野鳥から、中型の猛禽類まで、多様だ。そして、これだけ小さな島なのに、少し歩くたびに植物相も変わる。東南のくだり道は、竹林になった。
そして、気づいたら、海・・じゃない、湖岸に出ていた。
湖岸沿いの道を、さらに10分ほど歩くと、厳島神社(弁財天)に到着。
世界平和を祈る
そして、本日のお昼にありつけますように・・・
◇◇
さらに西に向かって歩くと、突然芝生の広場が出現。
ん?
芝生の運動場だ
ここにも桜
妻がやめなさいというのを制して、朝礼台にのぼる。
「えー みなさん! おはようございます」
児童役は、妻ひとり
朝礼台って、こんなに低かったっけ? 小学生の時は、見上げる高みに校長先生がいたんだけどなぁ・・
こんな校庭で鬼ごっこをしてみたい。映画の舞台になりそうな情景である。
いかん、寄り道しすぎた。
人気の少ない、山側から中心地である港に戻ってくると、朝とは様相が一変していた。
平日にも関わらず、観光客が わっさー
食堂にも団体客が わっさーー
お弁当も売切れ・・
難民確定である 泣
唯一購入できたのが、コレ
左が「えびコロッケ」、沖島産のじゃがいもとたまねぎ、そして沖島名物「えびまめ」をすりつぶしたものが入っている。
つづいて右が「よそものコロッケ」、にっくき外来種ブラックバスを食べちゃえ!
程よい歩き疲れの空きっ腹に、アツアツ揚げたてのコロッケ
美味いにきまってる
あっ、えびまめを説明しよう!
正確には「えび豆の若煮」と言います。若煮は佃煮の一種ですが、佃煮よりあっさり調理。沖島産獲れたてのスジエビを、これでもか!とふんだんに使った贅沢な一品。おみやげにも「えび豆」ぜひどうぞ!
港を臨む段差に腰を下ろし、コロッケを食す。そして、こんなときのための非常食「麦チョコ」を取り出す。ふぅ、コイツが役立つときが、来て欲しくはなかった。でも美味しい・・
麦チョコ 大好きなんです!
堀切港に戻る次の船は、14時、これを逃すと2時間後の16時。必ず乗らねば。
まだ、30分ほどある。
散策しよう。
あーーっ、クイズの答え
忘れてたー!
ここで、前回のクイズの回答です。
もう一度ヒント
これは、使用中の三輪車(近くで農作業中)
下の状態が、駐輪中(しばらく使用しない)
そう!
しばらく使用しないときは、サドルに缶をかぶせるのが沖島流なのだ。
ということで、前回のクイズの答えは
「B」(持ち主は近くにいる)でした!
あっ、ブラブラしていたら、桟橋に大行列が!!!
「まずい!」
お昼の便で、わっさーと来ていた方々が、帰り始めたのだ。みなさん、もう少しじっくり観て行こうよ。桜のアーチだけじゃあ勿体ないよ。
◇◇
そのとき、またまたアナウンスが
「ピンポンパーン ポーーン」
「本日14時より、インボイス制度の説明会を実施します。」
そうか、漁師は適格請求書発行事業者なのか・・
のんびりムードから、急に現実に引き戻される。
そんなことより、この長い乗船待ちの行列。満席だったらどうなるんだろう・・次の船、2時間待ち?
不安を胸に抱えながら、順番を待つのであった。
(おしまい)
前回のクイズを読んでない方は、コチラ
そして、遠方から沖島に来られた方
もう一泊して、近場で歴史を楽しむタビはどうですか?
(このコース私も行ってみたい! 千世さん、参考にさせていただきます。)
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