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ショートストーリーズ

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短編の小説。気づく人は気づくこと。
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記事一覧

夢中

「好きよ」
そう声に出した途端に、私はまた現実に戻ってきてしまっていた。夢の中であなたに気持ちを伝えるのは、もう何度目になるだろうか。あの頃当たり前だったはずのことは、今ではもう夢の中ですらままならなくなってしまっていた。
泣きながら目が覚める朝は、頭も心も痛いままで、眉間が深い皺を作る。夢の中で伸ばした手は、誰を掴むことも出来ずに空を切った。
2人が出会えたことの喜びを、あなたは最後に伝えてくれ

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距離

短針と長針が会いたがってる、日付がそろそろ変わろうとしてる。電話の向こうで「聞いてる?」って君が言ったような気がして、慌てて目線を戻した。電話口の問いかけに黙って頷いたけれど、そのジェスチャーが伝わるわけもなく、すぐに君の苛立った声が電波に乗って伝わる。私はまた昔みたいに、それを笑って誤魔化した。
君の心にいるのは誰なのか、過去から進めずにいる心が、その台詞を口から出すのを拒んでる。昔は簡単に言

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ショート 残り刹那

 これが最後の恋になると、そう思っていた。

「待った?」

 白い息を弾ませて掛けてくる、ただそれだけで寒い中を待っていたことも全て帳消しに出来た。

「皆まくのに、ちょっと時間かかっちゃって」

 これで何度目だろうか。二人だけの秘密は、時間が経つほどに信じられないほど増えていった。凍えるくらいの温度の時も一緒にいればいつも熱く感じられるということも、未だに私たちの他には誰も知らないまま、彼の

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しるしという

何もかもを飲み込んでしまうこの大都会に、埋没してどれくらいになるんだろう。慌ただしく過ぎる毎日を過ごしていく中で、僕は大切なものを一つまた一つと無くしていった。手の中から零れ落ちていくそれらを、止めることも抗うことも無くただ眺めていたのは、こうした毎日にもう疲れ切っていたからだろう。休む方法も分からずに、だけど目的地も忘れてしまった今となってはもう、行く当てもなく彷徨うしか術は無かった。
光速で

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逃走

手を取りながらごった返す街の中を疾走した。君が履く革靴の音と僕の吐く息、街はあんなにざわついていたのに、その二つの音しか耳に届いてこなかった。制服姿の僕達に何の趣味も示さない、この街はもう狂い始めている。汗が空中に舞って、涙に変わった。
見慣れた街に君が加わってから、こうなるまではそう時間は掛からなかった。暗いトンネルをただ進み地下鉄を行き交う下を向く人達に紛れて、僕らはただじっと息を殺していた

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