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【株式投資】(実践編)EPS[1株当たりの利益]の活用

本記事は以下のサブ記事になります。

注意事項

投資は複数の分析手法や指標社会情勢など様々な情報を組み合わせて、分析を行うことが重要です。万能なものは無いので、一つの指標に囚われずに、柔軟な考えを持つようにしましょう。

EPSとは?

EPSとは「Earnings Per Share」の略で、「1株当たりの当期純利益」を計算するものとなります。
計算式は以下になります。

EPS(1株当たりの利益) = 当期純利益 ÷ 発行済株式総数

EPSを「当期純利益」で計算する理由としては、当期純利益が株主への配当の原資となるからです。

EPSのポイント

EPSは高ければ高いほど良いとされていますが、
「当期純利益」「発行済株式総数」によって数値が変わってきます。
EPSが高くなるパターンとしては以下の二つです。

①「当期純利益」が高くなる。
②「発行済株式総数」が少なくなる。

このルールをしっかり覚えておきましょう。
「発行済株式総数」が少なくなる場合はEPSも高くなり、保有している株の価値も上がることになりますので、株主に取ってはメリットが多いですが、
単にEPSが毎年増えているだけでは、必ずしも利益が伸びているわけではないで、しっかり「当期純利益」も増えているかを確認するのが重要だと思います。

「発行済株式総数」が少なくなるパターンで代表的なのが、自社株買い後の自社株消却になります。これにより、市場に出回っている株式だけでなく、発行済の株式の数が減ります。
直近ではオリックス(8591)が「2020 年 11 月 9 日〜」に実施したのが話題になりました。

EPSの注意ポイント

EPSはとてもシンプルな指標で分かりやすいですが、企業の本当の実力が反映されていない場合もあります。
注意ポイントとして以下の二つが考えられます。

①特別損益といった臨時の損益が発生した場合
例えば自社ビルを売却して利益が発生した場合も、その年のEPSは高くなります。しかしながら、自社ビルの売却は毎年行われるものでは無いので、本当の実力とは言えないですよね。EPSが急に増えていたりした場合は、特別損益が発生していなかったかをチェックするのが重要です。

②発行済株式総数が増減した場合
「発行済株式総数」が変わるとEPSにも影響があります。こちらも本当の実力がEPSに反映されなくなってしまっている状況になりますので、別の指標を用いて分析を行うか、どのくらいの株式数が増減したのかを把握した上で、EPSという指標を使用した方が良いと思います。

EPSの使い道

①色んな指標を計算をする時に使われる。(PERや配当性向など)
今後ファンダメンタルズ分析を行っていく上で、EPSは必須と言っても過言ではない指標になります。色々な場面で出てくるのでしっかり理解をしておくのが重要です。
②企業の成長率を測る指標として使える。
基本的にはEPSが年々上昇していれば、企業としても成長していることが分かりますし、年々減少していれば停滞していると言えます。
EPSの成長率を見ることで、その企業の成長度合いを知ることができます。

EPSの確認手順

今回は伊藤忠商事(8001)のEPSを確認してみましょう。

・iSPEEDアプリの場合
四季報タブの1株益(円)のところで確認ができます。

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・ミンカブの場合
決算タブの決算情報の1株益のところで確認ができます。

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【実践】EPSの成長率(増加率)から株価を予想してみよう

今回はEPSを用いて、2022年3月頃の伊藤忠商事(8001)の株価予想をしてみたいと思います。
iSPEEDのEPSの情報を用いて、まずは成長率を出します。
前年度のEPSと比較をするので、「2017年3月」時点での昨年からの成長率は

223.7(17.3月決算) ÷ 152.1(16.3月決算) = 1.47

と計算することができます。
EPSが一年で1.5倍に成長していることになるので、すごいですね。
各年を比較した場合の結果は以下になります。

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2020年度はコロナの影響もあり、昨年から0.84倍との予想になってしまっていますが、2022年度は持ち直すことが予想されていますね。

色々やり方はあると思いますが、今回は2016年度から2022年度(予)のEPSの成長率から、株価を予想したいと思います。

322.9(22.3月決算) ÷ 152.1(16.3月決算) = 2.123

成長率は「2.123倍」と出ました。
EPSの成長率は、株価の上昇率にも影響を与える部分が大きいので、
2016年3月時点の株価に「2.123」をかけて計算してみようと思います。
2016年3月時点の株価は「1386円」になります。

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1386円 ✖️2.123 = 2942円

計算結果は「2942円」です。
2021年2月22日時点の株価は「3250円」ですので、差がありますね。単純計算ですので、正確な値ではないですが、ものすごく離れているわけでもなさそうですね。(一年後の社会の状況によりますが)

現在株価が上がっている理由としては、以下が挙げられます。

①ウォーレン・バフェットが日本商社株を購入して注目が集まっている。
②日経平均に引っ張られて、一緒に株価が上昇している。
③1年後ではなくもっと先の成長性も見越した株価になっている。
④2022年度の売上の上方修正が期待されている。

①と②は正直予想できないので無視でいいと思います。
③について、株価は企業の将来性(1年2年もっと先)も含めています。伊藤忠商事はコロナがなければ年々売上やEPSを伸ばし続けている企業になりますので、今後の期待から株価が上昇している可能性があります。
④について、コロナの収束が早まれば、2022年度の売上予想が上方修正される可能性もあります。そのことを予想して買いが集まっている可能性もあります。(可能性は低いと思いますが)逆もしかりで、下方修正になれば株価はかなり下落しますよね。マーケットがどのようにみているのかをしっかり考える必要がありますね。

(注意点)
今回は本当にざっくりとした方法で株価の予想を行いました。
本来であればEPSだけで株価の予想なんてしません。
様々な指標を組み合わせるのと、EPS自体も色々な年度からの成長率と株価を比較して、現在が買い時なのか、売り時なのかを判断するのが重要です。
また、私は投資を初めてから日が浅いので、誤った情報がございましたら、優しく教えていただけると嬉しいです。

まとめ

今回はファンダメンタルズ分析の中で、基本中の基本とも言えるEPSについて、説明実践を行いました。
EPSは成長率を出すことで、将来の株価も予想することができます。
不明点があれば、コメントいただければ回答させていただきます。

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