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夏至にはセルフヒール

夏至


6月21日から7月6日まで「夏至(げし)」。

この期間の初日、2022年は6月21日が「夏至日」とされ、北半球では一年で一番、昼が長く、太陽が最も高くなる日です。

暦便覧には、「陽熱至極(しごく)し、また、日の長きの至りなるをもってなり」と書かれており、太陽の力が一番強いとされています。

ここからは冬至に向かってだんだんと日が短くなっていく、陽から陰への切り替わりのポイントでもあります。

夏至の日は、日の出と日の入りが最も北寄りになるので、北へ行くほど昼の時間が長くなり、北緯66.6度以上では1日中太陽が沈まない白夜となります。

南半球では、反対にこの日に一番昼が短くなり、南極圏では太陽が昇ることのない極夜(きょくや)となります。

北欧などでは「ミッドサマー・夏至祭」として盛大に祝うそうですね。

乃東枯(なつかれくさ かるる)

七十二候は、6月21日から26日まで「乃東枯(なつかれくさ かるる)」、「靱草(ウツボグサ)」が枯れる時期です。

ウツボグサは夏に紫色の花をつける植物で、花が終わると褐色に変化して枯れたように見えることから、別名を「夏に枯れる草」と書いて「夏枯草(カコソウ)」といいます。

セルフヒール


昔から利尿や消炎の生薬としても使われてきた植物で、ヨーロッパでは「セルフヒール」と呼ばれ、自然治癒を助けるハーブとして親しまれてきました。

ローマ時代、花の形が炎症を起こして腫れた喉の形に似ていることから、喉の不調に使われ始めたとのこと。

成分などわからない時代、見た目から効能を考えることもあったのですね。

6月27日から7月1日までは夏至の次候「菖蒲華(あやめ はなさく)」、あやめの花が咲き始める頃。

半夏生

そして7月2日から6日までは、夏至の末候「半夏生(はんげしょうず)」、半夏・別名「烏柄杓(からすびしゃく)」が生える時期です。

半夏・烏柄杓は、毒のある植物ですが、生薬でもあって、半夏厚朴湯、半夏瀉心湯などの漢方薬は、現代も広く使われています。

紛らわしいのですが、名前の似ている「半夏生(はんげしょう)」という植物も別にあるんです。

葉っぱの一部分だけが白くなって、まるで半分だけお化粧をしたように見えることからその名前が付いたと言われています。

夏至から数えて11日目が、雑節の1つ「半夏生」

2022年は、7月2日です。

雑節は、農作業の目安としても大切なものですが、半夏生は、田植えを終える時期の目安とされていました。

梅雨も後半のこの時期より遅くなってしまうと、稲が十分育たず、収穫がままならないので、遅くても半夏生までには終えるようにしていたそうです。

「半夏生」の期間は、「天から毒が降り、地から毒草が生える」と言い伝えもあったとか。

農作業は休んで野菜の収穫はせず、井戸にも蓋をして、疲れた身体を休めるための養生の日ともされていました。

この頃に降る雨は「半夏雨(はんげあめ)」と呼ばれて、大雨になることが多かったことから、警戒を促す意味もあったのでしょう。

七十二候でご紹介した夏枯草(かこそう)、「セルフヒール」というハーブは、日本語に訳すと「自ら癒す」という意味。

病気や大きな怪我の時には現代医療が必要ですが、日常のちょっとした不調や疲れ、ストレスにはこの「セルフヒール」という考え方が必要だと思います。

もともと私たちの身体には「自ら癒す力」が備わっていますから、その力を発揮できるように、日々の食事や睡眠、セルフケアを大切にしたいですね。


産業医櫻庭千穂
食とココロの処方箋

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