【運用編 第3話】不動産投資は法人化したほうがいいのか

おはようございます。少し前に持続化給付金を法人化していれば受け取れるが、個人事業主は対象外といったニュースがありました。

個人と法人では税率が違い、だいたい年収が800万円、900万円を超えたら法人化したほうがよいなどと聞いた気がしますが、実際個人と法人はどのように違うのでしょうか。今日はその点を調べてみようと思います。

「不動産投資 個人 法人」と検索するとそれぞれのメリット・デメリット、法人化するべきタイミングなどが書かれているサイトが多かったです。

そこでわかったことをまとめたいと思います。


そもそも法人化とは

不動産投資における法人化とは、投資家本人が個人事業として不動産投資を行うのに対し、株式会社や合同会社を設立し会社が不動産投資を行うことを指します。

投資家は設立した会社の代表者として資本を出資する形式となり、実際に物件を購入・保有・管理するのは会社となります。そのため投資家は会社から役員報酬という形で収入を受け取ります。


個人と法人で何が違うのか

・収入に対する税率

個人と法人では家賃収入にかかる税が変わり、個人事業では所得税、法人では法人税がかかります。

所得税は累進課税制度で、図1のように所得が増えるほど税率も上がるようになっています。これに加えて個人事業の場合は「課税所得金額×10%+5000円(年額)」の住民税の納付も必要になります。

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図1 課税所得金額ごとの税率(参照:ライフルホームズhttps://toushi.homes.co.jp/column/lifull-homes-investment/beginner080/)


一方法人税は図2のようにほぼ一定率です。

画像2

図2 法人税率(参照:ライフルホームズhttps://toushi.homes.co.jp/column/lifull-homes-investment/beginner080/)


さらに法人には法人税に加えて、地方法人税、法人住民税、法人事業税、特別法人事業税などの税金がかかります。

これらを合計し、利益額に対して実質的にどれくらいの税負担がかかるのか、その割合を示したものが「法人実効税率」です。会社の所在地や規模、所得などによって異なりますが、だいたい30~35%程度が目安となるそうです。


・売却益に対する税率

個人事業における譲渡所得の税率は、短期譲渡(5年以下保有)のときは39%(所得税30%、住民税9%)、長期譲渡(5年以上保有)のときは20%(所得税15%、住民税5%)となります。

一方法人では実効税率が適用されおよそ30%が課せられます。そのため5年たたないうちの売却でしたら法人の方が、長期保有での売却であれば個人の方が得ということになります。

しかし個人事業では譲渡所得は分離課税となり、ほかの所得とは別に所得税と住民税が課せられるため、不動産所得との損益通算は出来ません。一方法人では所得の種類に関係なくすべての所得を合算して税率を計算するため、損益通算を行うことができます。

つまり、売却損が出た場合に家賃収入の利益と相殺し、全体の課税所得額を減らすことができる点にも注意が必要です。


・損失の繰越期間

個人も法人も青色申告をすれば損失を翌年に持ち越すことができます。例えばある年に1000万円の損失が出たとして、翌年に100万円の利益が出たとすると、前年の損失を繰り越すことで利益を相殺し、100万円分の利益を非課税にすることができます。

この繰り越し控除の期間が個人が3年なのに対して、法人は10年あり長期的な節税が可能となります。


・減価償却費の償却方法

減価償却費は個人事業主の場合は強制償却が決まりであり、毎年決められた金額を全額償却しなければいけません。

一方法人は経費の金額を自由に決められる任意償却なので、利益の調整が可能となります。


・役員報酬の経費計上

家族を会社の役員として働いてもらうことで給与を払いながら経費にすることができ、課税所得額を抑えることができます。個人事業でも青色申告で経費にすることが可能ですが、届け出が必要だったり、ほかにお勤めしていると払えないなど制約が多いです。


・生命保険の経費計上

個人事業では生命保険控除の上限である12万円までしか計上できませんが、法人は要件に当てはまれば保険料を全額経費に計上することができます。


法人化するタイミング

法人化するタイミングは投資開始前から法人化するケースと、事業の規模が大きくなった時に個人から法人に切り替える二つのパターンがあります。

法人に切り替える際には資産を個人から法人に移動する必要があり、物件購入時と同じように不動産取得税や登録免許税などが発生してしまいます。二重で税金を払うという無駄なコストが発生してしまうので、初めから大きな規模で投資を行うつもりなら開始前に法人化してもいいかもしれません。

しかし不動産投資事業を始める前に法人化すると、法人としての事業実績がない状態で物件を購入することになるため融資の審査が厳しくなったり、金利が高めに設定されることもあるので注意が必要です。

途中から法人化するタイミングとしては個人事業の税率よりも法人の税率の方が低くなる、課税所得額900万円を超えた時が目安となるそうです。


参考


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