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凪の短編小説

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小説を書くのはこれが初めてですが、自分なりにやっていきます。
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2024年1月の記事一覧

【短編小説】こたつ記事

 こたつ-きじ【炬燵記事】  独自の調査や取材を行わず、テレビ番組やSNS上の情報のみなどで…

凪
6か月前
10

【短編小説】ホームレスと幼女

 冷たい秋風がぴゅうと吹き、落ち葉がカシャカシャと音を立てながら地面を滑っていく。  男…

凪
6か月前
5

【短編小説】塔に棲む少女

 この世界のどこかに、大きな大きな塔があるといいます。  いったいいつ、誰の手で、何のた…

凪
6か月前
5

【短編小説】豚の貯金箱

 ぼくのへやにはぶたのちょ金ばこがあります。  おかねを入れると「ちゃりん」という音がし…

凪
6か月前
4

【短編小説】深夜ラジオ

 ずっと夜が続けばいいのに。  私はベッドの上に体を横たえて、ぼんやりとそんなことを考え…

凪
6か月前
3

【短編小説】中華そばと焼きめし

 転勤で新しい街に引っ越して早五日。荷物の整理などもある程度落ち着いてきた頃。  これま…

凪
6か月前
8

【短編小説】雪の旅

 ぼくは高い高い空の上の雲の中で生まれた。  小さな小さな水の粒として。  ふわふわと漂い色んな場所を旅しながら、地上の様子を眺めて過ごした。  やがてぼくには夢ができた。  雪になってあの地上に降り立つんだ。  たくさんの仲間たちと日々の研鑽に励んだ。  雪になるのは大変だ。  油断すると雪になる前に雨として落ちていってしまう。  実際、仲間たちの多くは雨になり雲を去っていった。  雪になることを決意し励まし合った仲間の中には、訓練の厳しさに耐え切れずドロップアウトする者

【短編小説】豆太郎とのお散歩

 我が家は両親と私、そして豆太郎の四人家族。  豆太郎は七歳のコーギー犬だ。  私が小学六…

凪
6か月前
9

【短編小説】理想的なロボットとの暮らし

「ご主人様、今日は雨が降る予報ですので傘を持って行ってくださいね」  朝食で使った食器を…

凪
6か月前
14

デジタル世代の躍進【毎週ショートショートnote】

「同期で仲が良かったお前もいつの間にか係長か」 「コツコツ身を削りながらここまで努力した…

凪
6か月前
8

【短編小説】あるペーパードライバーの受難

 ハンドルを握る俺の手にはじんわりと汗が滲んでいた。  心臓がドキドキと音を立てているの…

凪
6か月前
6

【短編小説】紙のタイムカプセル

 年末の大掃除をしていたら、本棚の中から古めかしい手帳が出てきた。  二十年近く前の手帳…

凪
6か月前
4

【短編小説】先輩後輩、ザルと下戸

 師走のある夜、関東某所。  乾燥した空気がビルの隙間を吹き抜けている。  マフラーが風に…

凪
6か月前
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【短編小説】君の影を追いかけながら

 大学二年の夏。  外に出掛けてた俺は突然の通り雨に降られ、屋根のある場所に逃げ込んで雨宿りをしていた。  さっきまでカラッと晴れて、照りつける太陽がジリジリと肌を焼き熱かったというのに、あっという間に空模様が変わり雨が落ち始めたのだった。  濡れてしまったTシャツが体に張り付いて気持ちが悪い。  スマートフォンを取り出し天気アプリを起動してみる。あと少し待てばこのザーザー雨が嘘だったかのように再び太陽が姿を見せるらしい。  ああ、そういえばあの日もちょうどこんな天気だったっ