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凪の短編小説

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小説を書くのはこれが初めてですが、自分なりにやっていきます。
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記事一覧

【短編小説】魂売り

「はいはーい、魂、魂はいらんかねー」  今日も魂売りがやって来た。  ここ天国では、定期的…

凪
5か月前
6

【短編小説】こたつ記事

 こたつ-きじ【炬燵記事】  独自の調査や取材を行わず、テレビ番組やSNS上の情報のみなどで…

凪
6か月前
10

【短編小説】ホームレスと幼女

 冷たい秋風がぴゅうと吹き、落ち葉がカシャカシャと音を立てながら地面を滑っていく。  男…

凪
6か月前
5

【短編小説】塔に棲む少女

 この世界のどこかに、大きな大きな塔があるといいます。  いったいいつ、誰の手で、何のた…

凪
6か月前
5

【短編小説】豚の貯金箱

 ぼくのへやにはぶたのちょ金ばこがあります。  おかねを入れると「ちゃりん」という音がし…

凪
6か月前
4

【短編小説】深夜ラジオ

 ずっと夜が続けばいいのに。  私はベッドの上に体を横たえて、ぼんやりとそんなことを考え…

凪
6か月前
3

【短編小説】中華そばと焼きめし

 転勤で新しい街に引っ越して早五日。荷物の整理などもある程度落ち着いてきた頃。  これまではバタバタしており、自宅周辺の地理といえば職場とコンビニの位置くらいしか頭に入っていなかったが、そろそろ近所の様子をある程度把握しておきたいところだ。  時刻は午後七時過ぎ。丁度腹が減ってきたところだし、近所の美味いメシ屋の開拓でもしに行こう。  そう思った俺はケータイとサイフを手に、サンダルを引っ掛けて玄関のドアを開けた。  俺が引っ越して来たのはとある地方都市。  東京ほどの都会で

【短編小説】雪の旅

 ぼくは高い高い空の上の雲の中で生まれた。  小さな小さな水の粒として。  ふわふわと漂い…

凪
6か月前
4

【短編小説】豆太郎とのお散歩

 我が家は両親と私、そして豆太郎の四人家族。  豆太郎は七歳のコーギー犬だ。  私が小学六…

凪
6か月前
9

【短編小説】理想的なロボットとの暮らし

「ご主人様、今日は雨が降る予報ですので傘を持って行ってくださいね」  朝食で使った食器を…

凪
6か月前
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デジタル世代の躍進【毎週ショートショートnote】

「同期で仲が良かったお前もいつの間にか係長か」 「コツコツ身を削りながらここまで努力した…

凪
6か月前
8

【短編小説】あるペーパードライバーの受難

 ハンドルを握る俺の手にはじんわりと汗が滲んでいた。  心臓がドキドキと音を立てているの…

凪
6か月前
6

【短編小説】紙のタイムカプセル

 年末の大掃除をしていたら、本棚の中から古めかしい手帳が出てきた。  二十年近く前の手帳…

凪
6か月前
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【短編小説】先輩後輩、ザルと下戸

 師走のある夜、関東某所。  乾燥した空気がビルの隙間を吹き抜けている。  マフラーが風に乗ってひらりと踊り、首元の隙間から冷気が入り込んでくる。  思わず身を震わせ、隙間がなくなるようマフラーをしっかり締め直す。  ここは駅近くの交差点。私はいま、目の前の信号が赤から青に変わるのを待つ人の群れの中にいる。  この時間帯は仕事帰りのサラリーマンで歩道が埋め尽くされている。かく言う私もその内の一人、仕事帰りだ。  信号が青く灯り、皆一斉に歩き始めた。  向かいの人とぶつからな