SAND

新しい薬が処方される度、振り出しに戻る。

気分の波なんて誰しもあるよ、なんて言われるが、朝起きるまで自分の「性格」が分からない恐怖を味わったことがあるんだろうか。記憶にない言動、写真、預金残高の激減。人さえ簡単に殺せる気がしてしまう。そんな日が続いて鬱が治った、と思いきや、突然朝からどうしてもどうしても死にたくなって、動悸をおさえる薬を飲み続けないと生活ができなくなって、目が覚めなくなって、息が出来なくなって、自分との約束も守れなくなる。いつまで続くんだろう。自分の機嫌を自分で取りたい。けど、一体自分はどこにいるんだろう。

行方不明の私へ。お願いだから、明日の私は堂々とした、生徒会長をやっていた頃の強い、れっきとした私になって帰ってきて欲しい。私を唯一叱ったあなたの前で、自分を叱りたくなどない。死にたくないのに死んだあなたの前で、死にたいなどと思いたくない。

こうやって文字にしてただ祈るしかできない無力さに絶望しながら、上手に走れない夢の中みたいな気持ちを握り潰して、気絶したように眠る。なにもかもを酷い歯軋りに昇華して、明日の訪れと私の帰りを待つとします。

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