白昼

眠る眠る眠る眠る。

今日は音を抱き締めて眠った。
吐き気が酷かったから、生きながらえる度に生じる副作用を和らげるために頂いた薬を多めに含んで、幻聴とも言える不安を押し殺す薬で身体を自由にして、錆びたアコースティックギターの音と熱を帯びて柔らかくなった金属みたいな歌声、それらをただ抱き締めて、浅くて長い眠りに落ちる。薬は、自分の身体に嘘をつく道具にしかすぎない。そんなことわかってる、でも手放せない。

どれぐらいの時間眠ったかいつも分からないけど、眠ることが許されている事実が一つの安心材料だったりする。整理する記憶もないから、不吉を散々に浴びる日だって少なくはないけど、それでもこの時間だけはあたしの無駄で過敏な五感が、何も捉えずに済む。

親が玄関の鍵を回す音に罪悪感を芽生えさせて、膨張が止まらない悲しみを奥へ奥へ仕舞い込んで、毅然とした態度で振る舞いを達成する。今日もこうして、小さな罪滅ぼしをして、弱々しい奇跡の積み重ねで生きながらえている。

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