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【本格的な山岳ロングレースに挑め】上州武尊山スカイビュートレイル140 2019

走行距離143K・獲得標高9,200mという途方も無い数字のトレイルランレースに出場。
なぜ、エントリーをしたのか。在籍しているランニングチームのビワッシーとシガウマラで、9月のメインレースどうする?という話題の中で、信越五岳トレイルランニングレースと上州武尊山スカイビュートレイルに二分された。
信越五岳の方は、110Kと100mile部門があり、100mileの方はそもそもエントリー資格がない。110Kの方はクリック合戦になるらしく、自分には不向きかと思っていた。また、信越五岳の方は、距離の割に累積標高が低く、全般的に走れるコースである。その一方で上州武尊の方は、獲得標高が9,200mもあり、ほぼ走れないコースであった。143Kであるが、参加資格を満たしており、その厳しさからクリック合戦にはならない。
進むスピードを必要とする信越五岳か、登りのパワーを必要とする上州武尊か。自分のタイプとしては、後者であると思っており、なおかつクリック合戦にならないエントリー方法だったため、迷わず上州武尊にエントリーを決めた。

エントリーだけは簡単である。ノリでエントリーフォームを埋めて入金すれば、スタートラインに立てるのだから。しかしながら、いざそのレースで完走しよう、良い成績を残そうと思った時に、距離と獲得標高の途方も無い数字に現実的に直面する。これまで経験した最長のトレイルランニングレースは2018年のSTYの92Kである。その時でさえも、終盤両太ももが吊ってしまい、一時歩けなくもなった苦い経験がある。しかも、そこからさらに50Kも走って登らないといけないなんて。想像を絶する。周囲は一度以上レースに参加しているメンバーばかりで、自分は簡単にエントリーしたものの、果たして走りきれるのだろうか、道中どんなトラブルが起こるのだろうか、その厳しさを知っているだけに不安でしょうがなかった。

もともと一年を通してほぼ休息なく、走ってはいるものの、さすがに特別な準備が必要である。何をどう準備すればいいのか、と考えた時に実際のコース分析から始めるのが通常だろう。上州武尊では、距離もさることながら、獲得標高がえげつない。9,200mなんて0m地点からエベレストを登るよりも登らされるし、それを1日(どれだけかかっても1.5日)で終えないといけない。普段のランニングで坂が多い街中コースを走っても50〜100mくらいの高度上昇だろう。それを1日で攻略するためには、走る練習よりも登る練習に特化した方がいいのではないだろうか。
そう考え、この夏はひたすら登る練習をする事に決めた。そして8月の月間目標高度上昇を25,000mに決めた。

月間25,000m上昇するためにはひたすら山を登るしかない。という事で、ロード練習をほぼ捨て、平日の夜でも時間があれば山に登りに行く事にした。いつもの比叡山ナイト練に加え、休日に足繁く伊吹山に通い、最低3本の往復登山を繰り返した。この練習がかなりキツかった。登る・下るスピードは全然速くないが、8月の為なんせ暑い。日陰がまるでない伊吹山は灼熱と化し、3本目の登りはいつも倒れそうだった。有り難い事に練習に付き合ってくれる方が毎回いたので、何とかやり切れた感じはある。また伊吹山ですれ違ったトレイルランナーから声かけてもらい、たまたま同じ上州武尊に出るという事で仲良くなった方もいた。8月にひたすら登り続け、何とか25,000m上昇を達成。8月は登り練習と主査試験勉強で忙しかったが、充実したトレーニングが出来た。

しかし、平地を速く走る練習をまるでしていないため、スピードが落ちているのではないか。そして登る事には自信がついたが、143Kという超長距離を走りきれる事が出来るのだろうか。その不安が9月に入ってから生じた。そこで、京都一周トレイルコース片道60Kの往復練習をやってみようと思った訳である。深夜1時台に山科を出発して、嵐山までトレイルを巡り、同じ道を引き返して夕方に山科に帰ってこようとするものである。その結果、途中付けていたライトの電池が切れるというアクシデントもあり、大幅に嵐山到着時間が遅れ、山科に向けて折り返すも中間地点である鞍馬に着く前に夕方を迎え、賀茂川沿いにロードで山科に帰る事になってしまった。走行距離は92Kで獲得標高3,600m程度に終わる練習となった。これでも足がパンパンで道中何度も休憩し、何度も挫けそうになった。こんな状態で本番完走できるのだろうかと超長距離に対する不安は消せなかった。

登る事に対する不安はほぼ消せたが、距離に対する不安を持ったまま開催地である群馬県川場村に旅立った。大会日程は9月21〜23日の3連休を丸ごと使用して開催される。シガウマラのランナー2人とともに現地へ。21日の深夜1時滋賀発。車で向かい、朝方群馬県に到着プラン。先輩が運転する助手席に乗ったため、隣で寝るわけにはいかない。話をしながら運転をサポートする。途中で運転を交代し、現地に朝9時前に到着。睡眠時間は0。スーパーで買い出しをし、道の駅で昼ごはんを食べる。そしてレース前日受付をし、レースブリーフィングへ。会場に入って座った瞬間眠くて、寝落ちしそうになる私を見て、先輩がブリーフィング飛ばして、宿にチェックインしようと言っていただく。15時頃チェックイン。しかし、レースのパッキング等の用意をしないといけないため、色々と考えながらパッキングをする。するともう夕方に。夜ご飯を早く食べてしまい、お風呂に入って早く就寝する。普段の遠征では全く眠れない体質だが、滋賀からずっと起きていてとにかく眠かったため珍しく20時には眠れた。そして深夜1時起床。

レースは朝4時スタートである。朝ごはんを食べ、身支度をし、スタート会場に移動する。毎回レーススタート前は緊張はしないが、割とピリピリするものである。しかし、今回は優勝しないといけないとか、誰かに絶対負けてはならないとかの概念が特にない。関東のレースなので、自分の事を知っているランナーはほぼいないだろう。ノンプレッシャーで上州武尊の完走チャレンジが始まると考えるだけでいいのだ。しかし、実際のところは愛知県の黒河さんは強力なライバルであり、出来れば勝ちたいとは思っていた。黒河さんというランナーは、奥三河パワートレイルでしのぎを削った末、最後で逆転勝ちして私が優勝出来た時のランナーである。黒河さんのその後の勢いは凄まじく、比叡山ITRと同等かそれ以上である阿蘇ラウンドトレイル120Kというビッグレースで優勝している。また去年の当レースで3位に輝いている。今年こそはこのレースを獲りたいという意欲は並々ならぬものである。今思えば、この意欲の差があったのかもしれない。黒河さん以外には、日本山岳選手権(ハセツネ)という事実上の日本一を決める大会で、去年3位になった矢嶋信さんという元箱根ランナーがエントリーしていた。さらに去年の峨山道トレイルランと伊豆トレイルで勝てなかった木村隼人さんや、レイドライドというシューズ等のメーカーサポートランナーである須賀暁さんが強い。入賞ラインは総合6位までである。6位以下は年代別入賞が用意されている。総合でTOP10に入れば、年代別の賞には引っかかりそうな感じである。

完走が目標といいながらもそれは本当に最低目標であり、出来れば年代別入賞くらいは持って帰りたいとは思っていた。さらに欲を出していけば、ベストなレースができれば優勝も不可能ではないと頭の片隅に欲望があった。奥三河・比叡山・上州武尊とビッグレース三連勝出来れば、国内注目度も上がりトレイルランナーオブザイヤーも獲れるかな、獲れなくても候補者としてノミネートはされるだろうなとか、色々と理想を考えてしまっていた。

start〜A1
いざ、レーススタート。5時間程度ぐっすり眠れた事もあり、軽い走り出し。こういうレースではいつも思うが、自分が何番手の位置かを早く把握できた方がレース展開しやすい。最初はロードを少し走るが5番目である。キロ4:17で最初の1キロ通過。ここから登りが始まる。登りになり、1人パスして4番に。そのままトレイルに入っていく。少し前には矢嶋さんがいる。すぐ後ろには須賀さんがいる。まず入りの状況としてはまずまず。もう少し進むと4人くらいの集団となる。おそらくここは第2集団だろう。下りの林道を走っていた時に、茂みからガサッガサッと動物の気配。よく鹿には出くわすため、そういうのには動じないが、今回はやけに物体が黒い。ちょうど夜明け前だったため、一瞬で分からなかったが、鹿ではない事はすぐ分かった。後ろから現れたその黒い物体は何と熊だった。うそっ!え、追いかけてくる!熊と出会った時は熊に背を向けて逃げてはいけないという事は当然知っている。熊は逃げるものを追いかけてくる習性があるからだ。しかし、これはレース。進行方向に走るしかないので、必然的に熊から逃げる事になる。やばくないか。幸いそこまでの大きさではないように思えたが、熊は熊。さすがにテンパっているところに一緒に走っていた須賀さんが手を叩いたり、高い声で叫んだりをしてくれた結果熊は茂みに入っていった。難を逃れた。とにかく熊は未経験なので、怖かった。などしているとA1駐車場に4番で到着。

A1〜A2
A1では、オレンジを軽く食べて水分を補給して出発する。A2までは、剣ヶ峰という2,000m超えの頂上目指して一気に登る。ここで、すぐ後ろに黒河さんと木村さんにへばり付かれた。須賀さんは先に行ってしまった。黒河さんとこの日始めて言葉を交わす。比叡山チャンプ、なに手加減してるんですかー、どんどん行っちゃって下さいよとユーモア交じりの挑発発言。もちろんスルー。黒河さんこそ、僕の前行きたいでしょとこちらも返す。絶対前行かないです。とお互い牽制し合って楽しむ。矢嶋さんとかだいぶ前行ってますよと伝えると、100Kくらいで絶対追いつきますからと。この辺は去年の大会を経験している強みだろうと思った。自分は100K以上走った事ないため、慎重に行きますとだけ伝える。そんなやり取りを踏まえながら、登っていくうちにどんどん明るくなり、山頂到達時には見事な景色が広がっていた。ほんとゆっくり堪能したいくらいの贅沢さ。台風も来ていたため、心配していた天気も嘘のように晴れ渡っている。そのまま剣ヶ峰を下り、林道を下りA2宝大樹スキー場到着。

A2〜A3
A2では、ビワッシーからチームサポートとして来てくれている方がスタンバイしてくれていた。もちろん私だけのサポートでは無く、私はついでに見てくれている感じである。ひと言交わし、バナナ等を食べれるだけ食べ出発する。スキー場のため、ゲレンデを登っていく。ゲレンデの登りは斜度が凄い。走れる感じはほぼ無く、先が見通せるが果てしなくリフト降り場が遠く感じる。ここで、須賀さんや木村さんがポールを使用開始していた。ポールを使って登っていった方がリズミカルで楽そうである。私はもちろん自分の足だけを信じる。信じるというかポール練習をしていないから使いようがない。ゲレンデを登り切ったら須賀さん・木村さん・黒河さんに先行される展開となった。通ってきた林道を逆に登り、ここから本レースの最高峰地点である武尊山へのアタック開始となる。登山口手前で須賀さんに追いつき、一緒に登る事になった。須賀さんは登りも速く、付いていくのがやっとだったが、2人でサクサク登る事が出来た。山頂手前では急登でしんどかったが、その時間も長くは続かず、山頂に到達。山頂から稜線ランになるのだが、ここも景色が見事だった。景色は見事だったが、70Kランナー(同日開催で70K距離種目)の渋滞に巻き込まれてタイムロスとなる。ここで後ろのランナーに追いつかれる事に。先を行ったはずの木村さんがなぜか後ろから現れた。私、須賀さん、木村さん、白戸さんという方の4人パックで武尊山を下っていく。下り切ったらA3に到着。

A3〜A4
A3ほたか牧場には、4人同時に到着した後、すぐ後ろに2人が到着。1〜3位は割と離れていそうだか、4〜9位まではほぼ差がなかった。ここで可能な限り食べ物を口に入れ、水分補給もして出発する。団子状態が嫌だったので、ほんの少しペースを上げる事を意識する。すると先にエイドを出た木村さんに林道で追いつき、木村さんより先にゲレンデ二発目を登り始める。ここも強烈な斜度であり、先が果てしなく遠い。70Kランナーがアリのようにたくさん登っている。70Kランナーを交わして行きながら、登るも中々進まない。チラチラ後ろを見るとポール使用の木村さんがどんどん迫ってきている。先をいく70Kランナーがゲレンデを登り切ったらバンザイをしていた。早くそこに行きたい。割と時間をかけてリフト降り場に到着し、自分も心の中でバンザイ。今度はゲレンデを降りていく。降り切ったら尾瀬岩倉スキー場のベース施設に到着。そこを通り過ぎるとロードを少し登り、見えてきたのが三発目のモンスターゲレンデ。事前に聞いていたが、やはり凄いコースだ。ただ嫌気が差す気持ちにはならなかった。そこまで追い込んで走ってきていないため、余裕度はまだまだあった。木村さんと同じペースで登り、ここで話かける。去年の峨山道で勝てなかった板垣ですと。これはお久しぶりですと。ここのコース厳しいですねと言うと、この先まだまだ厳しいところありますからねと。そのようなやり取りをして、下りに差し掛かって先を奪い返す。2人してA4エイドに到着。

A4〜W2
A4では、ミルクティーがあったので珍しいなと思って午後のティータイムを満喫。木村さんはすぐにエイドを出て行ってしまった。ここが最終エイドならすぐ追いかけるが、まだ半分も来ていないため、追いかける気持ちは全くない。午後のティータイムを終え、水分補給をし、ゆっくりと出発。ここから少し平坦な区間を行く。木村さんは見えないが、登り林道に入るとすぐに追いついた。言葉もかけず、先を行く。そしてゲレンデ以外のトレイルへ。久しぶりの登山道。急登アップダウンを繰り返し、W2へ到着。

W2〜A5
W2で水分補給を終えると、木村さんがやってきた。差は1分くらいか。そしてこの区間はモンスターゲレンデ4発目が現れる。やはり中々のコースである。うちの副部長はこのゲレンデ登れるだろうかとかM先輩ならゾンビ間違いなしだなとか色々考えながら進んだ。あくまでも、無理をしないペースで!を心掛けているため、バテる事はない。ただひたすら淡々と課題をクリアしていくイメージ。そして、中間点扱いのA5おぐなほたかスキー場到着。

A5〜A6
A5では、事前に預けていたドロップバックを受け取る事ができ、荷物の入れ替えが出来る。私は予備の靴を預けていたが、特に問題無かったため、スルーした。ここでカレーを食べてコーラを飲んだ。長い有酸素運動中のカレー+コーラ=最高である。のんびりもしていられないので、水分補給を終え出発する。出発と同時に木村さんが入ってきた。差は5分くらいだろうか。この時木村さんはしんどそうな顔になっていたため、差も広がりつつあるし、木村さんには勝ったのかなとこの時点で感じた。単独4位の状態で、さすがに前が気になる。トレイルサーチというものを使うとレースの各ポイント通過タイム・順位が分かる。走りながら検索してみると、前とは15〜18分差くらい。前の3人はほぼ近い位置を走っている。矢嶋さん、黒河さん、そして矢部さんというランナーだ。矢部さんはあまり存じ上げてないが、去年4位の招待選手であり、実力者である事は間違いない。
A6までは下り基調で、下り切って再び登り返して赤倉林道分岐に到着。

A6〜A7
ここで、先を行っていた矢嶋さんがエイドスタッフと楽しそうに喋っていた。お、追いついた!矢嶋さんは私に気づき、トイレを済ませ出発した。私もすばやく水分補給をして後を追う。どれ、矢嶋さんの走りをチェックしてやろうと思い、下りのフォームを後ろから見る。ピッチがだいぶ落ちている。これはペースダウン必至なフォームである。すかさず横に並び、そのまま抜こうとすると、板垣さんですよねと話かけられる。あ、どうも知ってくれてたんですね。比叡山の件で知ってますよと嬉しいやり取りをした。私の方もそんな凄いランナーの方に認識いただいて光栄ですと。ちなみに先を行く2人は元気ですかね?と聞くとまだまだ元気でしたよと。それはショックな情報。とりあえず健闘を誓い、先を行かせてもらった。3位に上昇。さらに前に少しでも追い付けるよう、気持ちペースアップする。そしてA7到着。

A7〜A8
103キロ地点であるA7で、いよいよ日が暮れ暗くなってきた。再びライトを装着する。終わりから2つ目のエイドであるが、残り40Kもある。ここで差を確認すると黒河さんとは8分にも縮まっていた。トップの矢部さんとも13分と縮まっていて、これは来たな。まだまだ足は残せているし、追いつくのも時間の問題だなと思って、トップでゴールするイメージが湧き、ニヤニヤしながら走る。いやぁここで勝てたら大きいなとか、何が貰えるのかなとか、考えてしまう状態。もちろん相変わらずこの区間もアップダウンが厳しいが、前が近づいていると思ったら、十分耐え得る。ただ、まだまだ30Kはあるため、足を使う事はしにくい。引き続きマイペースで進む。いつ前のランナーの灯りが見えるだろうかとずっと光を探しながら走っていた。あれか!と思ったら単純に自分の光の反射であったりが多かった。光が見つからないまま、A8最終エイド到着。

A8〜finish
A8でどちらかのランナーが補給しているところには出くわすだろうと思い、姿を探すが、いない。くそ、まだ先か。と思い、ここでソーメンを食べれるだけ食べて、出発する。ここでトレイルサーチをチェック。すると黒河さんとの差が20分にもなっていた。矢部さんとの差も14分となっており、愕然とした。ここで前の2人はチャージをしたのか。まだそんな力が残っていたなんて。と、ここで正直心が折れた。残り20Kはあるので、逆転不可能なタイム差ではないが、現実的にはかなり苦しい差であった。でもここまで来たら3位でも上出来であり、無事完走する事が大事だと割り切る事にした。浅松山までコンクリートの林道をずっと進む。まだまだ足はあるため、歩く事はない。それでも長く感じるこの登り坂。ちなみに今度は4位とはどれくらいの差かを気にするようになった。4位のA8到着を再び調べると、木村さんとは20分の差があった。そしてこのコンクリート登りも全部走り切ったため、ほぼ3位は間違いなさそうな感じである。浅松山に到着すると、雨が降ってきた、そして霧で視界が悪くなった。ここから少し、長く感じた。これまでは、淡々と来たため、どんどん残り距離が減ってきたが、ここにきて急に残り15Kがやけに長く感じた。ここでも短い急登と急落の繰り返しで割と膝にも負担がかかってきた。急落では何回もコケて、山から早く下りたいと始めて思った。140K部門では全く前も後ろもランナーの気配はなかった。コースは70Kランナーと再び合流したため、夜間トレイルでも寂しくは無かった。そして、最後の雨乞山を下り切って、いよいよトレイルが終わり、田舎の風景になり、川場村役場付近に到着。橋を渡って栄光の143Kゴールへ。小雨になっている中、フィニッシュテープを切った。総合3位18時間39分で無事完走できた。

ゴール後
ゴール後は、3位の簡単なインタビューを受け、うどんをいただく。ふぅーとひと息。さて黒河さんとの差はどれくらいだろうと確認すると驚異の40分差。矢部さんとも20分差。負けた。タイム差を知って、力の差を感じた。先頭2人には100Kを超えてから、上げる力があり、さらに黒河さんに関してはもう一段スパートしている事に衝撃だった。前の2人は激しいトップ争いをしているからこそ差が広がったのかとは思うが、しかし凄い。私は今回3位だが、先頭争いには一度も絡めなかった事が残念極まりない。黒河さんの勝利への執念に全くもって対応出来ていなかった。最初から最後までパワーダウンはしなかったものの、勝負は出来なかった。これはレースに対する姿勢の問題。反省するところは反省し、次回に繋げたいと思う。来年はコース把握も出来、超長距離のイメージも掴めたため、勝負できるような走りがしたい。優勝した黒河さんは上州武尊杯が授与されていて、優勝者は杯に名前が刻まれる。鏑木さんのようなレジェンドランナー達が名前を連ねる杯であるため、ここに黒河さんの後に名前を彫ってもらえるよう挑みたい。その後、同行のシガウマラの先輩は朝4時前にゴールし、もう1人はなんとお昼の13時までかかってゴールした。やはり、大半のランナーが30時間を超えるため、相当厳しいレースである事は間違いない。心を何度も折りにくるような絶望的な登り・一度足を踏み外せば大ケガに繋がりそうな下り、そして時には熊も出没するような厳しいコースである。国内最難関のコースに挑んだ価値はある。主催者によると来年はもっと厳しいコースになるらしい。さぁ、皆さんも出場いかがでしょうか。ゴール出来た自分は必ず人生においても強くなっています。

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