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藤原薬子と雪平鍋

今メインで使っているのが、ジオプロダクトの雪平鍋の18cmですが、これがとても使いやすい。

これといって特徴もないはずなのですが、煮物はもちろん炒め物にも使えてお湯も沸かせちゃうオールマイティっぷりと、3分程度沸騰させて、蓋をして10分ほど放置しておけば固い野菜に火が通る保温っぷり、それほど重くなく、汚れも落ちやすいのでとにかく使い回しやすい。
今まで、ずーっとやれ無水鍋だ、鉄鍋だ、ルク何とか、スト何とか言っていたのは何だったのか?と思うほど、kinaには使いやすいお鍋です。
下手したら、一生このお鍋を使い倒すことになるかもしれません。

この雪平鍋は「行平鍋」とも書きまして、「行平」と言うのは伊勢物語の主人公在原業平の兄に当たる方です。
何でも、自分の任地の塩作りの際に使ったお鍋が現在の行平鍋だったんだとか。
それで「行平鍋」とも、そのお鍋についた塩の結晶が雪のように見えたから「雪平鍋」と呼ばれるようになったとも言われています。
昔は土鍋で、アルミが一般的に使われるようになってくるとアルミ製のものが普及し始めたとか。

ところで、この在原行平・業平兄弟は実は平城天皇の子孫になります。
親王から臣籍降下(一般人になった)というわけで。
どうしてそうなったかというと、薬子の乱が影響しています。
平城天皇は桓武天皇の長男安殿親王のことで、早良親王の祟りとされる実母の早逝と自身の病弱さから自分の妃の母である藤原薬子に溺れていきます。
これには父親の桓武天皇もブチ切れ、薬子は一度安殿親王から遠ざけられますが、桓武天皇の死後平城天皇が即位すると再び呼び戻されてイチャイチャな関係になりますσ^_^;
平城天皇は自身の病弱を理由に3年で退位、弟の嵯峨天皇を即位させますが、権力を握りたい薬子と嵯峨天皇が対立し、平城天皇は「平城京に遷都する」と言い出して乱が勃発、平城天皇と薬子側が敗れます。
これで平城天皇の血筋の子供達は権力の道を断たれ、臣籍降下することになり、在原姓を名乗った、と。

一連の流れを見ると、世が世なら天皇の地位も夢ではなかったであろう行平・業平の兄弟の心中は複雑だったと思いますが、少なくとも雪平鍋という、非常に使い勝手の良いお鍋を後世に生きるkinaが使えるようになったことは非常にありがたいと思っております。


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